:
コロナウイルスから湖北省を守れ 地元地域と医師らが奮闘
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2020-03-02 17:13:08 | 新華社 | 編集: 张一

http://www.xinhuanet.com/english/2020-02/29/138830603_15829796437361n.jpg

湖北省武漢市にある武漢市第一医院で、隔離病棟に入る前に防護服などを着用する医療従事者。(2月22日撮影、武漢=新華社記者/肖芸九)

【新華社武漢3月2日】陳彬(ちん・ひん)さんは1月28日、新型コロナウイルス陽性と診断された。今は自宅の寝室で療養しながら、今後は自分のように回復する人が増えると確信している。

新型ウイルス流行の中心地である武漢市から約120キロ離れた随州市に住む陳さんの症状は軽かった。2月20日に退院し、現在は自宅で隔離生活を送っている。

「2週間ほど前には、省外の医師たちが入り、ベッドも増えて、人々の間で信頼感が高まった」と陳さんはふりかえっている。

中国保健部門の2月29日の発表によると、新型コロナウイルス感染症患者のうち3万9002人が28日までに回復・退院した。

中国は、湖北省とその省都・武漢を新型コロナウイルスから守るために異例の厳しい措置を講じており、その焦点は地域社会単位での感染拡大防止と患者の治療に置かれている。

湖北省武漢市にある武漢スポーツセンターに設置された臨時医療施設で患者を診察する、江蘇省から派遣された医療従事者。(2月17日撮影、武漢=新華社記者/肖芸九)

▽根気強い対策

武漢市瀋陽社区(コミュニティー)の雷莉華(らい・りか)党支部書記によると、各社区は患者を隔離したり、病院への搬送を手配したり、社区内を巡回したり、住民の健康状態を監視したりして、ウイルス対策に貢献している。

中国国家衛生健康委員会によれば、武漢市はコロナウイルス流行に伴う病床不足に対処するため、体育館や展示センターなどの施設を利用した臨時医療施設を16か所に設置し、1万3千床以上の病床を用意した。

「臨時医療施設で病床が空いたら私たちのところに連絡が入り、その後私たちは隔離現場の患者に対し移送の準備をするよう伝える」と雷さん。

雷さんによると、1月23日以降、病院や住民からの電話に24時間体制で応じてきた。幸いなことに、同社区でウイルス感染により自宅で死亡した人はこれまで確認されていない。

移送の段取りは迅速化している。最初は住民が入院するまで1週間ほどかかっていたが、それが2~3日に短縮され、今では毎日2~3人の患者を治療施設に搬送できるという。

同社区ではここ数日、新たな感染者は確認されていない。

武漢市内各地の臨時医療施設は28日までに計1万2千人の患者を受け入れてきた。現在は7600人以上の患者が治療を受けており、約5千床の空きがある。

陳さんが入院していた随州の病院も当初、病床が不足し、3人用の病室に4床を詰め込む状態だったが、その後状況が改善したため、部屋は元に戻されたという。

陳さんの入院中、家族は自宅に隔離された。家族が必要としていた日用品などは、社区職員が届けてくれた。

陳さんの妻、張夕陽(ちょう・せきよう)さんは「職員に食用油を注文すると、どのブランドを買いたいかまで聞いてくれた」と話した。

陳さんが住む柳樹趟社区のトップ、陳永紅(ちん・えいこう)さんは「ここ数週間、市内の各社区は管理を強化している」と語った。

約7400人が暮らす同社区では、陳さんに続き2人目の感染者が出たことから、2月20日に41か所の出入口すべてを閉鎖。現在、全物資は社区職員が注文し、配達している。

各出入口には人員が1人割り当てられ、午前7時から午後10時まで巡回を行う。

陳さんは「反復作業だが、油断は絶対にできない」と語った。「これは感染拡大を防ぐために続けなければいけない最低限のことだ」

湖北省武漢市にある武漢市第一医院のICU病棟で働く、江蘇省から派遣された医療従事者。(2月22日撮影、武漢=新華社記者/肖芸九)

▽「私たちは退却しない」

武漢には2月21日までに、全国から軍医を含む4万人以上の医療関係者が集まり、コロナウイルス対策に加わった。

現場の医療チームは、重篤・重症患者の治療のための方法を編み出している。

四川省にある華西医院の医療チームを率いる康焔(こう・えん)さんによれば、同院では効率化のため患者エリアを緑、黄、赤のゾーンに分け、患者の状態に応じて治療を行っている。重篤患者137人の半数以上が快方に向かい、軽症患者を治療する臨時医療施設に移ったという。

武漢市漢陽区の臨時医療施設では、山東省の医療チームにより、患者が心理カウンセリングを受けるためのソーシャルメディアグループが立ち上げられた。

チームを率いる呂永濤(りょ・えいとう)さんは「看護師は折り鶴を作り、励ましの言葉を書いてベッドや廊下につるした」と語った。

荊門市の病院では、浙江省の医療チームが、重篤患者を治療する集中治療室(ICU)を24時間で設置した。

ICUでは常時稼働のために100人以上のスタッフが必要で、チームは現地の病院職員と協力して24時間体制で患者のケアに当たっている。

チームの副隊長を務める劉利民(りゅう・りみん)さんによれば、チームが到着してから半月で、重症・重篤患者のほとんどが治療を受けた。

「私たちは厳しい状況に対処するために来た」と劉さん。「コロナウイルスが抑えられないかぎり、私たちは退却しない」

当社のコンテンツは著作権法によって保護されます。無断転用、複製、掲載、転載、営利目的の引用は禁じます。

新華網日本語

コロナウイルスから湖北省を守れ 地元地域と医師らが奮闘

新華網日本語 2020-03-02 17:13:08

http://www.xinhuanet.com/english/2020-02/29/138830603_15829796437361n.jpg

湖北省武漢市にある武漢市第一医院で、隔離病棟に入る前に防護服などを着用する医療従事者。(2月22日撮影、武漢=新華社記者/肖芸九)

【新華社武漢3月2日】陳彬(ちん・ひん)さんは1月28日、新型コロナウイルス陽性と診断された。今は自宅の寝室で療養しながら、今後は自分のように回復する人が増えると確信している。

新型ウイルス流行の中心地である武漢市から約120キロ離れた随州市に住む陳さんの症状は軽かった。2月20日に退院し、現在は自宅で隔離生活を送っている。

「2週間ほど前には、省外の医師たちが入り、ベッドも増えて、人々の間で信頼感が高まった」と陳さんはふりかえっている。

中国保健部門の2月29日の発表によると、新型コロナウイルス感染症患者のうち3万9002人が28日までに回復・退院した。

中国は、湖北省とその省都・武漢を新型コロナウイルスから守るために異例の厳しい措置を講じており、その焦点は地域社会単位での感染拡大防止と患者の治療に置かれている。

湖北省武漢市にある武漢スポーツセンターに設置された臨時医療施設で患者を診察する、江蘇省から派遣された医療従事者。(2月17日撮影、武漢=新華社記者/肖芸九)

▽根気強い対策

武漢市瀋陽社区(コミュニティー)の雷莉華(らい・りか)党支部書記によると、各社区は患者を隔離したり、病院への搬送を手配したり、社区内を巡回したり、住民の健康状態を監視したりして、ウイルス対策に貢献している。

中国国家衛生健康委員会によれば、武漢市はコロナウイルス流行に伴う病床不足に対処するため、体育館や展示センターなどの施設を利用した臨時医療施設を16か所に設置し、1万3千床以上の病床を用意した。

「臨時医療施設で病床が空いたら私たちのところに連絡が入り、その後私たちは隔離現場の患者に対し移送の準備をするよう伝える」と雷さん。

雷さんによると、1月23日以降、病院や住民からの電話に24時間体制で応じてきた。幸いなことに、同社区でウイルス感染により自宅で死亡した人はこれまで確認されていない。

移送の段取りは迅速化している。最初は住民が入院するまで1週間ほどかかっていたが、それが2~3日に短縮され、今では毎日2~3人の患者を治療施設に搬送できるという。

同社区ではここ数日、新たな感染者は確認されていない。

武漢市内各地の臨時医療施設は28日までに計1万2千人の患者を受け入れてきた。現在は7600人以上の患者が治療を受けており、約5千床の空きがある。

陳さんが入院していた随州の病院も当初、病床が不足し、3人用の病室に4床を詰め込む状態だったが、その後状況が改善したため、部屋は元に戻されたという。

陳さんの入院中、家族は自宅に隔離された。家族が必要としていた日用品などは、社区職員が届けてくれた。

陳さんの妻、張夕陽(ちょう・せきよう)さんは「職員に食用油を注文すると、どのブランドを買いたいかまで聞いてくれた」と話した。

陳さんが住む柳樹趟社区のトップ、陳永紅(ちん・えいこう)さんは「ここ数週間、市内の各社区は管理を強化している」と語った。

約7400人が暮らす同社区では、陳さんに続き2人目の感染者が出たことから、2月20日に41か所の出入口すべてを閉鎖。現在、全物資は社区職員が注文し、配達している。

各出入口には人員が1人割り当てられ、午前7時から午後10時まで巡回を行う。

陳さんは「反復作業だが、油断は絶対にできない」と語った。「これは感染拡大を防ぐために続けなければいけない最低限のことだ」

湖北省武漢市にある武漢市第一医院のICU病棟で働く、江蘇省から派遣された医療従事者。(2月22日撮影、武漢=新華社記者/肖芸九)

▽「私たちは退却しない」

武漢には2月21日までに、全国から軍医を含む4万人以上の医療関係者が集まり、コロナウイルス対策に加わった。

現場の医療チームは、重篤・重症患者の治療のための方法を編み出している。

四川省にある華西医院の医療チームを率いる康焔(こう・えん)さんによれば、同院では効率化のため患者エリアを緑、黄、赤のゾーンに分け、患者の状態に応じて治療を行っている。重篤患者137人の半数以上が快方に向かい、軽症患者を治療する臨時医療施設に移ったという。

武漢市漢陽区の臨時医療施設では、山東省の医療チームにより、患者が心理カウンセリングを受けるためのソーシャルメディアグループが立ち上げられた。

チームを率いる呂永濤(りょ・えいとう)さんは「看護師は折り鶴を作り、励ましの言葉を書いてベッドや廊下につるした」と語った。

荊門市の病院では、浙江省の医療チームが、重篤患者を治療する集中治療室(ICU)を24時間で設置した。

ICUでは常時稼働のために100人以上のスタッフが必要で、チームは現地の病院職員と協力して24時間体制で患者のケアに当たっている。

チームの副隊長を務める劉利民(りゅう・りみん)さんによれば、チームが到着してから半月で、重症・重篤患者のほとんどが治療を受けた。

「私たちは厳しい状況に対処するために来た」と劉さん。「コロナウイルスが抑えられないかぎり、私たちは退却しない」

当社のコンテンツは著作権法によって保護されます。無断転用、複製、掲載、転載、営利目的の引用は禁じます。

010020030360000000000000011100441388358531