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売上高15年で30倍 スマホ時代の「隠れたトップ企業」
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2018-08-29 11:06:06 | 新華社 | 編集: 张一

  【新華社広州8月29日】今年に入って以来、保護貿易主義がはっきりと台頭し、国際市場環境の情勢も変化している。だが中国の大手音響部品メーカー、瑞声科技控股有限公司(AACテクノロジーズ・ホールディングス)に言わせれば、これは「中国製造」が必ず越えなくてはならない構造転換、アップグレードの「ハードル」であり、中国企業がさなぎから蝶へと姿を変える契機となる「扉」なのだ。

  同社の江南(こうなん)高級副総裁は、「企業は心を落ち着け、現実を直視すべきだ。弱い部分に目を向け自身の競争力を強化し、技術の敷居が高い分野に照準を当て、ニッチな分野を探り、自社を真のハイテクプラットフォームに育て上げることだ」と話している。

  中国広東省深圳市南山区にある同社本社ビルの展示ホールに入ると、「下一代」(次世代)という三文字に目が釘付けになる。

  次世代のウエハレベルガラスレンズはスマートフォンで撮った写真の効果を目に見えて改善できる。次世代のスーパーリニアオーディオシステムは、ユーザーにより迫力の高音質再生効果をもたらせる。次世代RF(高周波)部品は、超高速、超低遅延の5G時代に対応する準備ができている。

  同社の徐斌(じょひん)研究開発シニアディレクターは、「これらの技術は実験室と設計図上にとどまるものではなく、市場に投入済みか、投入間近なものだ。世界の主要なスマートフォンブランドは皆、われわれと共同で製品を開発している」と話す。「次世代」は自分たちが激烈な国際競争の中で無敵の地位を築く上での基礎であり、会社の最大の「功労者」だと同氏は説明し、「経験から言えば、ニッチな分野を深く掘り下げることに専念し、5~8年先んじて技術的な布石を打つ必要がある」と指摘する。

  1993年設立の瑞声科技は現在、3万5千人を超える従業員を抱え、世界中に五つの生産基地と15の研究開発センターを擁している。2003年以来、企業の売上高は7億元(1元=約16円)から211億元へと、15年で30倍余り増加した。2017年には純利益53億元を達成した。

  電磁、精密加工などの独自コア技術を持ち、世界中のスマートフォンに話のできる「金の喉」(高音質な音響部品)と、よりクリアに見える「透視眼」(高性能な光学レンズ)を組み込ませた。これこそ同社が常に40%以上の粗利益率を維持している秘密にほかならない。江氏は、世界のブランドスマートフォンの3台に1台のレシーバー、スピーカー、モーターなどの小型部品は瑞声科技製だと説明、また同社は米アップル社の世界最大の音響部品サプライヤーでもあり、現在は世界の主要な映像部品サプライヤーという発展目標へ向けスパートをかけていると語った。

  江氏は「コア技術は市場で替えのきかないものだ。お金があってもコア技術は買えない。必ず独自研究開発し、蓄積しなければ」と語り、独自研究開発と技術革新を堅持してきたからこそ、瑞声科技はグローバル・バリューチェーンにおけるハイエンド先進製造発展の道を歩むことができたのだと振り返った。

  実際、設立当初の瑞声科技は小さな郷鎮工場にすぎなかった。1996年の米国モトローラ社との提携により、一足飛びに発展するチャンスをつかんだのだ。当時モトローラの出した買い付けの前提は、半年以内に必ず日本企業によるレシーバーのコイル巻線技術独占を打破し、独自知的財産権を持つコストパフォーマンスの高いマイクロ音響デバイスを開発することだった。

  中国国内の専門家の力で瑞声科技は期限内に難題を克服、急速に輸入製品に取って代わり、この分野のリーダー的企業となった。

  2009年、同社は世界規模で技術統合の歩みを開始、相次いで音響、光学などニッチ分野で先導する技術優位性を持つデンマークや日本の「隠れたトップ」企業(それぞれの市場でシェアの大半を占めながら知名度は高くない企業)を買収・合併し、引き続き大量の資金を投入して先端技術の研究開発を進め、一挙に世界のスマートフォン音響分野における「隠れたトップ」となった。

  郷鎮企業からグローバルな「隠れたトップ」へ躍進した瑞声科技の奥義の一つは、一貫して本業に焦点を合わせ、研究開発の主導権を決して手放さなかった点にある。

  同社は研究開発に投資を惜しまない。毎年売上高の7・5%超の資金を投入しており、2017年の研究開発費は17億元にもなる。世界に4300人余りいる研究者とエンジニアの努力の下、同社はすでに2503件の特許と2377件の出願中の特許を保有している。

  複雑な国際競争態勢の中で先導優位性を維持している第二の秘訣(ひけつ)は、重要部分で決して他人に左右されないことだ。高精度な製品の生産は高精度な設備にかかっている。同社は技術チームを増やして精密製造装置開発に取り組んでおり、開発した生産設備の精度は、同種の設備の国際的な水準に並ぶか、それを超えるものもある。

  「わが社が長年、一貫して技術優位性を保ってこられたのは、生産ラインの構築や調整、コントロールシステムのアップグレードを全て自前でやってきたからだ」と江氏は話す。

  同社は自主研究開発した情報シミュレーションシステムと工場自動化(FA:ファクトリーオートメーション)に立脚し、1本の生産ラインを構築するのにわずか1年しか必要としない。これは世界の同種企業の3分の1の期間だ。万単位のスピーカーを生産するのに、毎日必要とする工員はわずか6人。設備自動化前の5分の1だ。生産工程のたゆまぬ研究開発と革新を通じ、同社は携帯端末機器の音響、ハプティクス(触覚技術)、RF無線という三大製品の市場シェアでいずれも世界トップの座にある。2017年には輸出額150億元を達成した。

  瑞声科技は現在新段階の発展へのスタートを切っており、全方位の開放協力実現のため、グローバルな研究開発配置から、グローバルな生産配置へとまい進している。

 

当社のコンテンツは著作権法によって保護されます。無断転用、複製、掲載、転載、営利目的の引用は禁じます。

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新華網日本語 2018-08-29 11:06:06

  【新華社広州8月29日】今年に入って以来、保護貿易主義がはっきりと台頭し、国際市場環境の情勢も変化している。だが中国の大手音響部品メーカー、瑞声科技控股有限公司(AACテクノロジーズ・ホールディングス)に言わせれば、これは「中国製造」が必ず越えなくてはならない構造転換、アップグレードの「ハードル」であり、中国企業がさなぎから蝶へと姿を変える契機となる「扉」なのだ。

  同社の江南(こうなん)高級副総裁は、「企業は心を落ち着け、現実を直視すべきだ。弱い部分に目を向け自身の競争力を強化し、技術の敷居が高い分野に照準を当て、ニッチな分野を探り、自社を真のハイテクプラットフォームに育て上げることだ」と話している。

  中国広東省深圳市南山区にある同社本社ビルの展示ホールに入ると、「下一代」(次世代)という三文字に目が釘付けになる。

  次世代のウエハレベルガラスレンズはスマートフォンで撮った写真の効果を目に見えて改善できる。次世代のスーパーリニアオーディオシステムは、ユーザーにより迫力の高音質再生効果をもたらせる。次世代RF(高周波)部品は、超高速、超低遅延の5G時代に対応する準備ができている。

  同社の徐斌(じょひん)研究開発シニアディレクターは、「これらの技術は実験室と設計図上にとどまるものではなく、市場に投入済みか、投入間近なものだ。世界の主要なスマートフォンブランドは皆、われわれと共同で製品を開発している」と話す。「次世代」は自分たちが激烈な国際競争の中で無敵の地位を築く上での基礎であり、会社の最大の「功労者」だと同氏は説明し、「経験から言えば、ニッチな分野を深く掘り下げることに専念し、5~8年先んじて技術的な布石を打つ必要がある」と指摘する。

  1993年設立の瑞声科技は現在、3万5千人を超える従業員を抱え、世界中に五つの生産基地と15の研究開発センターを擁している。2003年以来、企業の売上高は7億元(1元=約16円)から211億元へと、15年で30倍余り増加した。2017年には純利益53億元を達成した。

  電磁、精密加工などの独自コア技術を持ち、世界中のスマートフォンに話のできる「金の喉」(高音質な音響部品)と、よりクリアに見える「透視眼」(高性能な光学レンズ)を組み込ませた。これこそ同社が常に40%以上の粗利益率を維持している秘密にほかならない。江氏は、世界のブランドスマートフォンの3台に1台のレシーバー、スピーカー、モーターなどの小型部品は瑞声科技製だと説明、また同社は米アップル社の世界最大の音響部品サプライヤーでもあり、現在は世界の主要な映像部品サプライヤーという発展目標へ向けスパートをかけていると語った。

  江氏は「コア技術は市場で替えのきかないものだ。お金があってもコア技術は買えない。必ず独自研究開発し、蓄積しなければ」と語り、独自研究開発と技術革新を堅持してきたからこそ、瑞声科技はグローバル・バリューチェーンにおけるハイエンド先進製造発展の道を歩むことができたのだと振り返った。

  実際、設立当初の瑞声科技は小さな郷鎮工場にすぎなかった。1996年の米国モトローラ社との提携により、一足飛びに発展するチャンスをつかんだのだ。当時モトローラの出した買い付けの前提は、半年以内に必ず日本企業によるレシーバーのコイル巻線技術独占を打破し、独自知的財産権を持つコストパフォーマンスの高いマイクロ音響デバイスを開発することだった。

  中国国内の専門家の力で瑞声科技は期限内に難題を克服、急速に輸入製品に取って代わり、この分野のリーダー的企業となった。

  2009年、同社は世界規模で技術統合の歩みを開始、相次いで音響、光学などニッチ分野で先導する技術優位性を持つデンマークや日本の「隠れたトップ」企業(それぞれの市場でシェアの大半を占めながら知名度は高くない企業)を買収・合併し、引き続き大量の資金を投入して先端技術の研究開発を進め、一挙に世界のスマートフォン音響分野における「隠れたトップ」となった。

  郷鎮企業からグローバルな「隠れたトップ」へ躍進した瑞声科技の奥義の一つは、一貫して本業に焦点を合わせ、研究開発の主導権を決して手放さなかった点にある。

  同社は研究開発に投資を惜しまない。毎年売上高の7・5%超の資金を投入しており、2017年の研究開発費は17億元にもなる。世界に4300人余りいる研究者とエンジニアの努力の下、同社はすでに2503件の特許と2377件の出願中の特許を保有している。

  複雑な国際競争態勢の中で先導優位性を維持している第二の秘訣(ひけつ)は、重要部分で決して他人に左右されないことだ。高精度な製品の生産は高精度な設備にかかっている。同社は技術チームを増やして精密製造装置開発に取り組んでおり、開発した生産設備の精度は、同種の設備の国際的な水準に並ぶか、それを超えるものもある。

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  瑞声科技は現在新段階の発展へのスタートを切っており、全方位の開放協力実現のため、グローバルな研究開発配置から、グローバルな生産配置へとまい進している。

 

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