【新華社銀川4月29日】中国西北部に位置する寧夏回族自治区の黄河灌漑区域で4月下旬、春の種まき作業が続いていた。呉忠市利通区塔湾村の野菜栽培農場で、農民たちが例年同様キャベツの苗の植替え作業に追われている。平らな大地を1台のトラクターが、野菜移植機をけん引しながらゆっくりと進んでいる。
遠くから眺めると例年と同じ風景だが、近づいてみると「大きな違い」に気づく。トラクターは無人で、運転席に液晶タッチパネルを設置しているだけで、運転席の上部に1本のアンテナが立っている。近くのあぜ道には高さ1メートル余りの三脚型「移動通信基地局」が設置されている。
トラクターのそばに立つオペレータの馬海涛さんは「タッチパネルで作業の幅や列の間隔などを設定するだけで、トラクターが自動で直進し、種まき、畝立てなどを行う。1千メートル作業をして、誤差は3センチ未満だった」と語った。
「ハイテク機械」は周辺の村民、特に野菜を栽培する大規模農家の注目を集め、大勢の人が見学に訪れている。利通区金積鎮の農民、閻学さんは「トラクターは確かにまっすぐ進むので、移植機で植えた野菜は自然と、さらに均一に育つ」と語り、何度もトラクターの後ろをついて歩いていた。閻さんは、来年には自身の500ムー(約33ヘクタール)の野菜農場で試すつもりだという。
「自動運転」トラクターが畑に入っていけるのは、中国が独自に開発し、すでに民用化を開始している衛星測位システム「北斗衛星導航系統」の貢献による。
譚振竜さんは、寧夏回族自治区呉忠市で農業機器サービスの会社を経営している。「北斗」の性能と価格を確認すると、譚さんはシステムを購入した。2年の試験期間を経て2017年3月、トラクターへ測位システムを搭載し、植樹や小麦の間作などの作業で使用に成功した。譚さんは地元でトラクターの自動運転に初めて「挑戦した」人となった。
呉忠市は近くを流れる黄河からの灌漑を利用し、野菜栽培産業を大々的に発展させている。野菜移植機は現地の農家に広く普及していることにヒントを得た譚さんは「自動運転」トラクターと野菜移植機を組み合わせ、植替えシステムを開発した。譚さんは「今では、畝立てやマルチング(畑の表面をわらやビニールで覆うこと)、植え替えなどの作業で、効率と精度が一層高まった。現地の農家は技術を高く評価している」と話した。
譚さんの会社はすでに、北斗衛星測位システムを応用した設備を7セット、正式に投入している。譚さんは「今後は半径30キロの通信が可能な固定基地局を建設して、自動運転の応用範囲をさらに拡大する計画だ」と述べた。
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