【新華社東京11月19日】日本の安倍晋三首相は17日、所信表明演説を行い、憲法改正進展の加速、朝鮮への圧力など内外の政策について述べた。日本メディアは、安倍首相の今回の所信表明は新味に欠け、説得力も乏しいと評している。
評論家によると、連立与党はこのほど行われた衆議院選挙で勝利したものの、今後も依然として多くの難題に直面しなければならない。安倍政権がスキャンダルの影響から完全に脱することは難しく、改憲推進に対する抵抗も大きく、周辺国家との相互信頼も課題に直面している。
所信表明演説で改憲を強調
安倍首相は17日午後、第195回特別国会で所信表明演説を行った。
安倍首相は特に、憲法改正の進展を加速しなければならないと強調し、各党派が「与野党の枠を超えて、建設的な政策論議を行い、共に、前に進んでいこうではありませんか」と呼びかけた。
評論家は、連立与党が衆議院選挙で勝利し、改憲派が国会の3分の2以上の議席を占めたことが、安倍首相に憲法改正を加速させる意欲を与えたと指摘した。
自民党改憲推進本部は16日、約2カ月ぶりとなる全体会議を開催した。共同通信社の報道によると、自民党は具体的な改憲条項の整理を急いでおり、2018年に改憲草案を提出する計画だ。
『朝日新聞』は、安倍首相が今回の所信表明演説で提起した政治的課題は、これまでの選挙の際の演説とほぼ一致しており、新たな内容は追加されていないとみなしている。共同通信社は、安倍首相の演説は各議題に対する「具体的な対応措置に乏しく」、説得力に欠ける印象を受けたとした。
内政・外交で試練に直面
共同通信社は、連立与党は衆議院選挙で大勝したものの、安倍政権は今後も内政と外交における難題に直面しなければならず、いずれかの問題の対応が不適切な場合には、政権に打撃をもたらす可能性があると見ている。
まず、安倍内閣の支持率を30%以下の「危険水域」まで一時低下させ、安倍「独裁」体制を崩壊寸前まで追い込んだ森友、加計学園のスキャンダルはまだ解決していない。林芳正文部科学大臣は14日、政府が加計学園の獣医学部新設を正式に認可したと発表し、再び各界からの批判を引き起こした。野党側は、20日から始まる特別国会審議で、加計学園問題について安倍政権にさらに圧力をかける計画だ。
日本・山口大学の名誉教授である纐纈厚氏によると、日本の選挙制度の問題のため、安倍政権の支持者はわずか3割であるにもかかわらず、国会の7割の議席を獲得している。このような「独裁」の局面は一見、非常に堅固に見えるが、実際には見かけ倒しである。安倍首相が終始外交での成果を強調しているのも、森友、加計学園のスキャンダルなど内政の問題を隠すためだ。
次に、安倍首相は改憲推進を強調しているものの、依然として大きな抵抗に直面している。護憲派である野党が断固反対しているだけでなく、改憲派の内部でも意見が分かれている。
自民党と連立を組む公明党は、一貫して改憲に対して慎重な態度を取ってきた。改憲推進に積極的な自民党の態度に対し、公明党の山口那津男党首は衆議院選挙後に公の場で「焦ってはいけない」と発言した。これは、自民党に対するけん制だと見られている。
日本の時事評論家である船橋洋一氏は、公明党の存在には重要な意義があり、安倍政権のさらなる右傾化をある程度阻止できると見ている。
纐纈厚氏は、日本社会は表面的には繁栄しているが、貧富の格差の拡大など現実的な問題を陰に抱えていると考える。民衆にとって、社会保障と経済再建こそが注目する重点であり、憲法の問題は政府が優先的に処理すべき対象ではない。改憲派が表面的には優勢を占めているとはいえ、国民の反対の声は大きく、護憲派である立憲民主党が選挙で一躍最大野党となったことも加わって、平和憲法というこの国家の基盤を改正するのはたやすいことではないだろう。
安倍首相はまた、所信表明演説の中で朝鮮への圧力を強化すると強調するだけでなく、日米同盟と日本の自国の防衛体制をさらに強化すると述べた。これは、周辺国家の懸念を引き起こす恐れがある。
纐纈厚氏は、日本が米国に迎合すればするほど、日本と周辺国家間との隔たりは深まると述べた。日本は、米国に対する「従属外交」から脱却し、平和憲法の理念に基づいて周辺国家との関係を改善し、対立のさらなる拡大を防止しなければならない。
纐纈厚氏は、日中両国が平和で友好的な関係を築くことは、地域平和の点で深い意義を持つと指摘した。両国の関係には積極的な兆しが見られており、歓迎に値する。ただ、同氏はまた、安倍首相とその側近は依然として歴史の問題に対する正確な認識に欠けており、まず歴史を積極的に直視する実際の行動を取らなければならないと述べた。
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