東芝の社長が謝罪と辞職
同様に、厳格な管理と規範で知られる日本の百年企業、東芝も会計偽装スキャンダルに見舞われた。2016年、7年にわたり3人の社長が関与する、19億ドルに上る重大な偽装会計が発覚した。2008年から2014年にかけて、2248億円の税引前利益を虚偽報告した。これは7年間の税引前利益の3割に当たる。今年3月、さらに東芝で通信部門の偽装会計が発覚した。虚偽の利益は58億円だった。11月になると、さらに偽装会計の声明が発表された。偽装率は高く、継続期間は長く、金額は巨大なものになった。
東芝の偽装会計の背後には、同社の業績低迷と経営管理層の業績数字に対するあくなき追求があった。古川猛氏は、大企業の経営は高速で走る大型トラックのようなものだと述べる。もし急ブレーキをかければ(企業でいえば抜本的な改革を指す)、容易に転倒してしまうのだ。株主を刺激しないように株価の続落を防ぎたい。トラックはとにかく走り続けるしかない。
その結果、間違った道を遠くまで走り続けることになる。政治評論家の本沢二郎氏は、東芝の会計偽装事件は悪質で、日本の株式市場に大きな損害を与えたとした上で、「東芝の組織だった偽装行為は、もし内部の有力な告発がなければ発覚しなかった可能性がある。同事件は日本の証券株式市場に大きな悪影響を与えた」と述べる。
それ以外にも、東洋ゴム工業はかつて、鉄道車両と船舶の生産で使われる免震装置ゴムで性能データ偽装をした。少なくとも1000車両の鉄道車両生産に影響を与え、そのうち240車両が新幹線の車両だった。世界500社に入っている旭化成建材も昨年10月、くい打ち工事のデータを改ざんする事件を起こしている。同社が過去10年に請け負った3000件以上の不動産プロジェクトのうち、10%をデータ改ざんしていた。問題ある建築は全日本を覆っている。
日本企業の偽装は、もはや個別の企業の問題とはいえず、一部業界の慣例になっており、ある業界にいたっては全体が“陥没”した状態になっている。立て続けに発生する一連の偽装事件は日本社会に大きな衝撃を与えた。多くの人々が「信用を大切にする日本企業」に疑いを持ち始めている。古川猛氏は、「企業にとって信用を失うことは自身の価値を失うことに等しい。信頼を失えば、他にも何か問題があるのではないかと疑われる。信頼を失えば企業の価値もなくなる」と述べる。
ある分析は、企業の偽装問題の根本的な原因は、長期にわたる日本経済の不振にあるとする。国内市場が飽和する中、企業間競争はますます過熱化する。国際市場の日本企業の優位性もかつてほどではない。ひとたび経営が悪化すると、市場シェアの維持や投資家の信頼を得るため、経営者はインチキに走りやすくなる。そして製品品質はないがしろになる。問題を起こした企業は最高経営者の首をすげ替え、責任者はメディアの前で深々と頭を下げ、心からの謝罪をする。しかし、「千里の堤もアリの穴から崩れる(ちょっとした不注意から大問題を引き起こす)」で、まさに古川猛氏の指摘するように、日本企業が一旦失われた信頼を取り戻すのは簡単なことではない。
「日本は人口が減少し、市場はシュリンクしている。この状況の中で、経営面で不正を犯し、技術面で偽装することで利益を追求するならば、日本経済は遅かれ早かれ破たんするだろう。このような行為が日本のイメージを傷つけるのは間違いない。信頼を獲得するためには100年かかるが、信用を失うのは1分もかからない。まさにこれが日本の現状なのだ」。
(チャイナネット)
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