2011年3月11日、日本の大地震によって引き起こされた放射能漏れは、福島を世界の注目の焦点とした。放射能は食品安全への信頼に直接ダメージを与え、各国の人々は、福島の食品は口にしてはならないと考えるようになった。日本の安倍晋三首相はこのセールスに熱心で、当局もこうした食品が安全であることを繰り返し強調している。5年後の今、福島の農産品に対して、国内外の人々はいかなる認識を持っているのだろうか。
首相自ら安全性アピール
日本政府は、福島の農産品のマイナスイメージを打ち消す努力をしている。安倍首相も自ら出陣し、選挙活動の現場で現地の特産の焼き魚を食べて見せ、現地の農産品への支持を示した。「首相でさえあんなにおいしそうに食べている。何を恐れる必要があるのだ」というわけである。
安倍首相が口にしたのは魚だけではない。福島産のキュウリやモモ、干し柿などを何度も試食し、福島の食品に対する無条件の信頼を示している。
「福島産」避ける日本の庶民
上は首相から下は農家に至るまで、「福島産」の潔白を証明するための宣伝や試食は大々的に行われている。だが日本の民衆はやはり、目に見えない放射能の問題に不安を拭えていない。福島県産の農産品に対するイメージは依然として回復していない。
日本消費者庁の調査によると、17.4%の消費者はいまだに福島県産品の購入を「ためらう」としており、福島とその周辺県の農産品を避ける人はまだ多い。これらの地の産品の放射能レベルが基準を超えているとは言えないが、自国の人々でさえ不安に思っているものは他国に売るというのは問題だろう。
外国人がどう見る?
2015年、中国台湾地区で販売されている日本食品の中に福島産の商品が多くあり、産地偽装も行われていたことが大きな問題となった。この影響を受け、中国台湾地区は同年5月20日から、日本からの農産品の輸入を一時的に全面停止した。
福島産に対する不安は、日本の農産品輸出業全体に影響している。調査によると、日本の農産品と食品加工業の輸出額は2011年、前年から407億円減り、8.3%の縮小となった。このような苦しい状況を前に、安倍首相は外遊の際、福島の農産品をしばしば宣伝し、外国人の胃袋にアピールしている。
EUはこれまでに、福島産の野菜や牛肉などの一部の食品に対する輸入制限を緩和している。だが米やキノコ、大豆などは依然として制限対象となっている。
カナダやチリなどの一部の国は「半信半疑」で福島産の食品輸入を解禁している。だが多くの国は、日本の食品を輸入する際、放射性物質の検出証明の提出を求めている。
隣国の韓国は中でも比較的「強硬」で、日本の福島周辺8県からの水産品輸入を全面的に禁止している。放射性物質の含有量が基準値以下の水産品に対しても、ストロンチウムとプルトニウムの含有量の検出報告を求めている。
2016年3月11日は東日本大震災の5年目の記念日となる。放射能漏れが人々の心に残した影はまだ完全に消え去ってはいない。福島の農産品の苦境もまだしばらくは続きそうだ。
(チャイナネット)
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