▽新味乏しい「新3本の矢」 目標と実際が乖離
安倍晋三首相は9月14日にアベノミクスの「新3本の矢」(希望を生み出す強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、安心につながる社会保障)をうち出した。「戦後最大の経済」、「戦後最大の国民生活の豊かさ」というスローガンを提起し、20年度をめどに国内総生産(GDP)600兆円を達成し、希望出生率を現在の1.42から1.8に引き上げ、介護離職をゼロにするとした。
市場の「新3本の矢」に対する反応は冷淡で、政策に新味が乏しく、目標が実際と乖離しているとされた。
安倍首相の2回目の登板後、日本の実質GDP成長率は13年度が2.1%、14年度がマイナス0.9%で、15年度は1.5%と予想される。14年度GDPは約500兆円で、600兆円の目標を達成するには、今後5年間、名目GDPで3%、実質GDPで2%の年間成長率を達成しなければならない。だがバブル経済崩壊から20年近くの間、日本の名目GDP成長率が3%を超えたことはない。経済同友会の小林喜光代表幹事は600兆円の目標について、「あり得ない数値だ。政治的メッセージとしか思えない」と述べた。
共同通信社によると、「新3本の矢」には量的緩和や経済成長戦略の政策的方向性についての詳しい説明がなく、だた目標を羅列しているだけで、後退した印象があるという。
日本総研の湯元健治副理事長は報告書「アベノミクス第2ステージに向けた課題‐新3本の矢と追加緩和の可能性」の中で、「旧3本の矢の効果検証もないまま、新たな3本の矢と言われても、戸惑いを覚えるのは当然といえよう。……アベノミクスの効果は、主として円安を通じて、企業収益面に大きく表れたが、円安の副作用も同時に生じ、企業収益から賃上げ、設備投資という『経済の好循環』は力強さを欠く。日本経済は、デフレ脱却目前であり、第2ステージと言われる新たな段階に差し掛かっているという政府の認識は、明らかに誇張だといえよう」と述べた。
(人民網日本語版)
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