中国外文局(中国国際出版集団)と日本言論NPOが共同で主催する第11回北京―東京フォーラム「両国の政治・外交分科会」が24日午後、北京で開かれた。上海国際問題研究所の呉寄南主任は、中日関係の現状について「緩やかな回復基調にあると見られるものの、全面的な改善の臨界点にまだ達していなく、今後も慎重に楽観視していく必要がある」との認識を示した。
呉主任は「昨年11月、楊潔チ国務委員と谷内正太郎国家安全局局長との間で4つの原則的共通認識に至って以降、中日関係はゆるやかな回復局面にある。共通認識によって中日首脳会談の開催の道が開かれただけでなく、この1年間両国の関係は明るさを見せ始めている。これまでに2回行われた中日首脳会談は、今度のAPEC会議あるいは東アジアサミットの際に3回目が開かれるかもしれない。中日財務対話やソウルでの中日韓首脳会議を含む両国間・多国間の対話も再開しつつある」「経済分野の動きをみると、世界的な景気減速を受けて両国の2か国間貿易や直接投資は減少傾向にある。しかし環境保護の分野で成果が報告されており、民間交流も活発になっている。特に中国から日本への旅行者の数は爆発的に増えており、両国民の間の交流が高まっている」と述べた。
しかし、中日関係にこうした明るさが見え始めたにもかかわらず、呉主任は「中日関係がまだ全面的な改善の臨界点に達していない」と指摘する。中日両国の間に構造的に存在する障害が、ときに矛盾となって表れ、改善傾向を阻害し、さらに後退を招く恐れもあるという。その主な摩擦点は3つあるとする。「第1は歴史問題。一部の政治家が、過去に日本政府が示した反省の態度に背こうとしていること。これは何度も問題を引き起こしている。第2は領土問題。中日間では海上での危機管理メカニズムについて、ある程度合意ができているが、実際にはまだ始動していない。それには両国の指導者会談が必要になる。それまでに衝突が起きることは想像できないものではない。第3は安保・安全問題。日本ではこのほど安保関連法案が成立した。これは戦後の防衛政策におけるかつてない重大な変化であり、当然中国をはじめとする周辺国は重大な関心を寄せている。日米同盟は冷戦の産物であり、日本には地域の安定を破壊したり、中国の主権を侵したりしないことが求められている。最近米国で南中国海問題に関して、中国の12海里の海域に艦船を派遣するなどの声が出ており、日本にもこれに追随すべきとの意見も聞かれる。そういった場合、中日間で衝突が起きる可能性もある」と指摘した。
「現在、中日両国には、350組の友好都市が築かれ、人の往来は500万人を超えている。国交正常化以来続いた43年の交流の絆は簡単に断ち切られるものではない。現在最も大切なことは、4つの政治文書の原則的精神を遵守することである。これらは両国の政治家の知恵の結晶であり、歴史の総括でもある。これを遵守してこそ、両国の長期にわたる健全で安定した発展の道が築かれるのである」
(チャイナネット)
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