しかし、中国には日本がかなわない強みがある。中国は人口や国土面積からみても、欧州全体に相当する規模を持つ人口・地理大国だ。広大な国土を有するため、成長規模の地域差も大きい。1人当たりのGDPについては、最高の天津市と最低の貴州省で4倍の開きがある(2014年統計)。所得分配については、高所得層の上位10%が全体の35%を占めており、3分の1近くの国民の所得が1日2米ドルに満たない水準だ(2012年統計)。このような大きな格差があることも、中国の経済成長に大きな潜在力があることを示している。
欧州統合の歩みも中国にとって参考になる。東欧諸国は25年前の革命後、所得水準が世界の中間層から更に低下した。しかしEU加盟後は、生産・生活水準ともに急ピッチで上昇し、多くの国が高所得国の仲間入りを果たした。これは経済成長の「収斂理論」の典型的な例だ。「収斂理論」では、同じ経済政策を実施した場合、所得が低い国は所得が高い国に比べ、速いスピードで成長する。
北京大学国家発展研究院の姚洋院長はこれらを踏まえ、中国の今後の経済成長について自信を示した。沿海部の成長ペースは鈍化しているものの、内陸部が沿海部に習って成長すれば、成長ペースが上昇する可能性がある。中国政府は内陸部の開発計画策定を急いでおり、中西部の産業発展と都市化を推進し、所得水準を今後20年で東部沿海部とほぼ同水準に近づける方針だ。目標達成に向け、年平均成長率は沿海部を少なくとも3~4ポイント上回る水準を目指しているため、沿海部の成長ペースが5~6%程度に鈍化しても、中国全体では7%前後の成長率維持が可能となる。
(チャイナネット)
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