国内の出版社もこれをビジネスチャンスと捉えている。出版社はジョハンナ・バスフォード氏のすでに出版されている2冊の塗り絵ブックの出版権を手に入れただけでなく、まだ正式には出版されていない3冊の塗り絵ブックの著作権もすでに取得している。また、ネット通販大手の京東網図書チャンネルは、塗り絵、アンチストレスなどの海外シリーズに加え、最も売れ筋の「ひみつの花園」のほか、フランスの画家ソフィー・ルブランの「リラックス塗り絵」シリーズや「フランスの大人のためのぬりえ」シリーズの「ZENアンチストレスノート」「ヴィンテージ アンチストレスノート」「アール・ヌーヴォー アンチストレスノート」「jardin アンチストレスノート」などを輸入している。
■塗り絵で子供の頃のような童心に戻る
多くの人は「ひみつの花園」を、「ストレス緩和の神器」とする大人のための塗り絵の代表作と見ている。出版社側もストレス解消を最大のセールスポイントとして打ち出している。心理学の修士号を取得している「リラックス塗り絵 ふしぎな花園(大人の塗り絵シリーズ)」の作者、ソフィー・ルブランは、本の中で、「塗り絵は子供だけの専売特許ではない。塗り絵は、人を静寂な雰囲気に浸らせる活動であり、塗り絵をする過程で自己を見つめなおすとともに心をリラックスさせ、自分の内心世界に刻まれる貴重な時に静かに耳を傾けるものだ」と綴(つづ)っている。
アートセラピー(芸術療法)の専門家、国家2級心理カウンセラーの張秋氏は、大人が塗り絵ブックを仕上げる過程において、アートセラピーの効果があるという見方を示す。「塗り絵にはエネルギーが必要で、精神を集中させて行うもの。この間、人はストレスをしばし忘れるので、ストレス緩和をもたらす心理的な効果がある」。また、「The Creative Coloring book for Grown-ups」シリーズの中国版の編集者、袁小茶氏は、「塗り絵は非常に奇妙な心理体験で、作業中、何を考えてもいいし、何も考えなくてもいい。単に無心になって塗り続けるだけでいい」として、「自分が好きな場所を見つけ、デジタル製品を一切手放し、一枚の紙と何本かの色鉛筆を取り出す。携帯の電源を切り、邪魔されることなく、まるで子供の頃の童心に戻ったような気分になる」と語る。