古書店が建ち並ぶ日本最大の本の街、神田古書店街は、中国国内の数多くの読書愛好家の間でも評価が高い。香港の小説家・金庸氏が創刊した「明報月刊」の創刊10周年の際、金庸氏が記念の文章を寄稿した。そこには、「明報月刊」を創刊してからの10年間のいきさつが詳細に綴(つづ)られていた。金庸氏は、「最初の10年間は相当苦しかった。執筆する作家も少なく、読者もあまり多いとは言えず、学者の間でもあまり大きな注目を集めることができず、孤独な闘いを続けた」と語った。私が編集長を務めていた期間、よく日本を訪れた。東京神田町の古書店街に1人で出かけ、挿絵に使える古い写真を見つけるために、書店内に長い間置かれている古本のページをめくった。その時の気持ちもどこか物寂しかった。山西日報が伝えた。
私は混雑や人の流れをなるべく避け、中国書籍を専門に売っている古書店をゆっくりと散策する。中でも、すでに70年以上の歴史を有する内山書店は、早くから中国の読者の間で高い評判を博している書店だ。魯迅先生と書店の創設者・内山完造氏が親交を結んでいた関係もあり、ここを訪れる中国人は皆それぞれ、内山書店に対して特別な思いを抱いていると思う。
書店の入り口の上には、中国を代表する画家、郭沫若氏が揮毫(きごう)した「内山書店」の横額が掛けられている。書店に入ると、書架いっぱいに本が整然と並べられており、訪れた人を興奮させる。店内は非常に爽やかな印象で、書架に並んでいるのは基本的に新書だ。非常に年若い店主が、私を2階に案内してくれた。2階に置かれているのは全部古書だった。「3階にも本があるのですか?」と聞くと、店主は、「3階は文房具を売っているだけです」と答えた。そこで、3階に行くという考えを打ち消し、2階を回った。ここの古書は多くは日本語だが、中国語書籍も置いてある。1時間以上をかけて本を選び、たくさんの本を抱えて1階に降りた。選んだ本の中には、「三光―日本人の中国における戦争犯罪の告白」も含まれており、非常に気に入った。これは、日本の旧日本軍の元兵士の回顧録で、当時参加した中国侵略戦争で行った罪行について綴っている。この本は、我々中国の読者が知ることができない細菌戦や日本人が行った罪行の背景の物語など、多くの謎を解明したと言える告白本で、70年前の罪深い戦争を理解するために非常に参考になる書籍だ。これを見ると、日本にも戦争を正しく認識する人がいたことがわかる。