:
UBS、中国ハブセンターを拡大 中国戦略深化へ
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2018-07-15 11:19:45 | 新華社 | 編集: 郭丹

  【新華社北京7月15日】スイスの金融大手UBSの最高執行責任者(COO)を務めるザビーネ・ケラー・ブッセ氏は、UBSの中国戦略展開の新たな考え方と措置を紹介し、「UBSにとっての中国の重要性は言うまでもない。中国での各事業分野の成長は明るいと見込んでいる」と語った。上海証券報が伝えた。

 中国事業の高評価の背後には、UBSが世界に展開する7大ハブセンター(HUB centers)の中で中国の存在感が高まっていることがある。中国市場が果たす役割は、既存の事業と技術の追随者から、フィンテックの革新と応用のリーダーへと変わりつつある。

 ▽中国で3センター展開

 無錫で大きく発展 上海市から無錫市(江蘇省)まで、最も速い高速列車に乗ればわずか30分で到着できる。

 UBSは3年前、優れた地理的位置、便利な交通施設、都市の成長性を評価し、中国の新たなビジネスソリューションセンターとして無錫を選定した。無錫はこれで、上海と北京に続き、UBSが中国でビジネスソリューションセンターを設立した3番目の都市になった。

 UBSはここ2年、無錫センターに重要な任務を配備してきた。まずは、中国での事業拡張のために人材を育成・備蓄し、中国での業績成長をはかることだ。「中国はすでにグループの戦略の重点となっており、外部の技術への依存度を減らすため、内部の人材育成を強化した」とケラー・ブッセ氏は語る。

 また、アジアにあるほかのビジネスソリューションセンターの業務がオンショア事業向けに限られているのと異なり、無錫センターは世界のオフショア事業にバックオフィス業務を提供し、その決済サービスはアジア太平洋地域全体をカバーしている。

 2016年の設立時に200人だった無錫センターの従業員数はすでに300人を超え、上海と北京の両センターの総従業員数に迫っている。

 UBSの中国拡張はこれにとどまらない。ケラー・ブッセ氏によると、UBSは、中国でのビジネスソリューションセンターの規模を拡大する機会を探り、中国フィンテックの力を借りて、UBSのグローバル運営能力を高めようとしている。

  ▽科学技術の開発を強化

 10年前、外資が中国に入ってきたばかりの頃、先進国の進んだ金融商品・技術は、当時の中国資本が模倣を試みる舶来品だった。だが10年が経った今、中国のフィンテックの発展により、中国はイノベーションの生まれる聖地となりつつある。ケラー・ブッセ氏は「フィンテック応用分野では、中国はすでに世界をリードしている」と語る。

 スイス本土に「デジタルファクトリー」を設立したUBSは、中国の上海でもフィンテックチームを結成、主にビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの技術の研究開発と応用を手掛けている。

 昨年、上海ビジネスソリューションセンターは、RPA(ロボットによる業務自動化)プロジェクトを始動し、すでに29ロボットを運用している。RPAチームはさらに30ロボットを生産する予定だ。こうした革新措置は、中国ビジネスソリューションセンターが顧客に24時間年中無休のノンストップのハイクオリティサービスを提供することを可能とし、人件費の削減にも役立つ。

 事業部門では、中国市場はUBSの業績が最も伸びている地域の一つで、中でも資産管理は同社が力を入れるブルーオーシャン(未開拓市場)となっている。中国で増加する高所得者は、大量の資産管理ニーズをもたらしており、これはちょうどUBSの強みと合致する。「中国の資産管理事業のさらなる開拓はUBSの重点事業の一つだ。われわれは世界的な競争優位を持っている」とケラー・ブッセ氏は自信をのぞかせる。

  ▽人材育成を強化 

  より幅広く多様な事業を展開 UBSは2年前、「2020中国戦略」を策定した。期限まで半ばを過ぎた現在、この中で示された目標と約束は一つ一つ実現しつつある。

 外銀が現地にどこまで根を下ろしているかを判断するには、人材育成が重要な指標となる。計画によると、北京・上海・無錫にあるUBSのビジネスソリューションセンターの従業員数は年末までに700人に増える。2020年に中国全体の従業員を2016年の倍の1200人に増やすという目標を実現するため、UBS大学は北京と無錫に相次いでキャンパスを開き、現地人材の育成に踏み切った。

 株式投資でも、UBSは同業他社の先を行っている。今年4月末の「外商投資証券会社管理弁法」の発表後、UBS証券は、合弁会社で出資比率を51%に増やすことを申請した最初の合弁証券会社となった。

 ケラー・ブッセ氏によると、中国ハブセンターは将来、事業の幅をさらに広げ、バックオフィスの支援サービスを提供するだけでなく、フロントオフィスの投資銀行や資産管理などの業務ともより緊密な協力・連動を形成、アジア太平洋地域でフロントオフィスからバックオフィスまでをカバーするサービス共有センターになる。

 中国のハブセンターはさらに、多彩なニーズに対応したビジネスソリューションを提供し、ほかの地域のハブセンターとの差別化をはかる。より複雑で高精度な量的分析やモデリング、株式研究などのカスタムサービスを世界の顧客に提供することで、中国ハブセンターの価値と地位はさらに浮き彫りになる見通しだ。

 

当社のコンテンツは著作権法によって保護されます。無断転用、複製、掲載、転載、営利目的の引用は禁じます。

 

推薦記事

事業拡大図る、米テスラの北京研究開発拠点

BMW、中国に電気自動車輸出基地を建設

 

 

新華網日本語

UBS、中国ハブセンターを拡大 中国戦略深化へ

新華網日本語 2018-07-15 11:19:45

  【新華社北京7月15日】スイスの金融大手UBSの最高執行責任者(COO)を務めるザビーネ・ケラー・ブッセ氏は、UBSの中国戦略展開の新たな考え方と措置を紹介し、「UBSにとっての中国の重要性は言うまでもない。中国での各事業分野の成長は明るいと見込んでいる」と語った。上海証券報が伝えた。

 中国事業の高評価の背後には、UBSが世界に展開する7大ハブセンター(HUB centers)の中で中国の存在感が高まっていることがある。中国市場が果たす役割は、既存の事業と技術の追随者から、フィンテックの革新と応用のリーダーへと変わりつつある。

 ▽中国で3センター展開

 無錫で大きく発展 上海市から無錫市(江蘇省)まで、最も速い高速列車に乗ればわずか30分で到着できる。

 UBSは3年前、優れた地理的位置、便利な交通施設、都市の成長性を評価し、中国の新たなビジネスソリューションセンターとして無錫を選定した。無錫はこれで、上海と北京に続き、UBSが中国でビジネスソリューションセンターを設立した3番目の都市になった。

 UBSはここ2年、無錫センターに重要な任務を配備してきた。まずは、中国での事業拡張のために人材を育成・備蓄し、中国での業績成長をはかることだ。「中国はすでにグループの戦略の重点となっており、外部の技術への依存度を減らすため、内部の人材育成を強化した」とケラー・ブッセ氏は語る。

 また、アジアにあるほかのビジネスソリューションセンターの業務がオンショア事業向けに限られているのと異なり、無錫センターは世界のオフショア事業にバックオフィス業務を提供し、その決済サービスはアジア太平洋地域全体をカバーしている。

 2016年の設立時に200人だった無錫センターの従業員数はすでに300人を超え、上海と北京の両センターの総従業員数に迫っている。

 UBSの中国拡張はこれにとどまらない。ケラー・ブッセ氏によると、UBSは、中国でのビジネスソリューションセンターの規模を拡大する機会を探り、中国フィンテックの力を借りて、UBSのグローバル運営能力を高めようとしている。

  ▽科学技術の開発を強化

 10年前、外資が中国に入ってきたばかりの頃、先進国の進んだ金融商品・技術は、当時の中国資本が模倣を試みる舶来品だった。だが10年が経った今、中国のフィンテックの発展により、中国はイノベーションの生まれる聖地となりつつある。ケラー・ブッセ氏は「フィンテック応用分野では、中国はすでに世界をリードしている」と語る。

 スイス本土に「デジタルファクトリー」を設立したUBSは、中国の上海でもフィンテックチームを結成、主にビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの技術の研究開発と応用を手掛けている。

 昨年、上海ビジネスソリューションセンターは、RPA(ロボットによる業務自動化)プロジェクトを始動し、すでに29ロボットを運用している。RPAチームはさらに30ロボットを生産する予定だ。こうした革新措置は、中国ビジネスソリューションセンターが顧客に24時間年中無休のノンストップのハイクオリティサービスを提供することを可能とし、人件費の削減にも役立つ。

 事業部門では、中国市場はUBSの業績が最も伸びている地域の一つで、中でも資産管理は同社が力を入れるブルーオーシャン(未開拓市場)となっている。中国で増加する高所得者は、大量の資産管理ニーズをもたらしており、これはちょうどUBSの強みと合致する。「中国の資産管理事業のさらなる開拓はUBSの重点事業の一つだ。われわれは世界的な競争優位を持っている」とケラー・ブッセ氏は自信をのぞかせる。

  ▽人材育成を強化 

  より幅広く多様な事業を展開 UBSは2年前、「2020中国戦略」を策定した。期限まで半ばを過ぎた現在、この中で示された目標と約束は一つ一つ実現しつつある。

 外銀が現地にどこまで根を下ろしているかを判断するには、人材育成が重要な指標となる。計画によると、北京・上海・無錫にあるUBSのビジネスソリューションセンターの従業員数は年末までに700人に増える。2020年に中国全体の従業員を2016年の倍の1200人に増やすという目標を実現するため、UBS大学は北京と無錫に相次いでキャンパスを開き、現地人材の育成に踏み切った。

 株式投資でも、UBSは同業他社の先を行っている。今年4月末の「外商投資証券会社管理弁法」の発表後、UBS証券は、合弁会社で出資比率を51%に増やすことを申請した最初の合弁証券会社となった。

 ケラー・ブッセ氏によると、中国ハブセンターは将来、事業の幅をさらに広げ、バックオフィスの支援サービスを提供するだけでなく、フロントオフィスの投資銀行や資産管理などの業務ともより緊密な協力・連動を形成、アジア太平洋地域でフロントオフィスからバックオフィスまでをカバーするサービス共有センターになる。

 中国のハブセンターはさらに、多彩なニーズに対応したビジネスソリューションを提供し、ほかの地域のハブセンターとの差別化をはかる。より複雑で高精度な量的分析やモデリング、株式研究などのカスタムサービスを世界の顧客に提供することで、中国ハブセンターの価値と地位はさらに浮き彫りになる見通しだ。

 

当社のコンテンツは著作権法によって保護されます。無断転用、複製、掲載、転載、営利目的の引用は禁じます。

 

推薦記事

事業拡大図る、米テスラの北京研究開発拠点

BMW、中国に電気自動車輸出基地を建設

 

 

010020030360000000000000011100531373253311