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「村民+テクノロジー」で地質災害に備える 中国四川省
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2018-06-21 09:59:43 | 新華社 | 編集: 张一

19日、四川省成都市の街頭に設置された緊急避難指示標識。災害発生時に人々を案内し迅速に避難させる。

【新華社成都6月21日】中国西部の四川省は日本と同じく地震多発地帯であり、度重なる地震で地すべりや土石流などの地質災害が頻発している。このほど、同省カンゼ・チベット族自治州雅江県悪古郷悪古村で、チベット族の村民ダンポさんが土石流が起きる前に危険を察知し、74戸482人が死傷の危険を免れた。

ダンポさんは地元政府が任命した村の地質災害専従監視員だ。地質災害危険箇所に指定されている村内の峡谷の監視を担当しており、雨の降る前、降っている間、降った後ごとに実地調査をしている。

成都理工大学地質災害整備予防・地質環境保護国家重点実験室の許強教授は「四川省は中国で地質災害が最も深刻な省の一つだ」と話している。同省は青蔵高原が隆起を続けた結果形成された地形急変帯と活発な地質構造帯に位置するのに加え、「強震後効果」や極端な気候などの原因により、地質災害が多発、頻発している。

地質災害に備えるべく、同省では5万人余りの地質災害専従監視チームを編成した。メンバーはいずれも危険箇所付近の村民だ。各危険箇所に少なくとも1人の監視員を配置し、災害発生前の「自主避難、事前避難、予防避難」実現に努めている。

6月1日午後、ダンポさんは上級からの警戒情報を受け、雨の中、村の地質災害危険箇所を調べに向かい、峡谷の水量が急増し水が濁っていることに気づいた。日頃の訓練の知識から土石流発生の可能性に思い至った彼は、すぐさま携帯していた警報器を鳴らし、村民たちに危険を知らせた。

その後すぐに地元政府の職員と協力し、危険地域内の村民を防災計画で決められた避難ルートに沿って安全地帯へ移動させた。人々が避難した後に土石流が発生し、約7千立方メートルの石と泥水が一瞬にして彼らがもともといた道路や田畑、家屋をのみ込んでしまった。

悪古村のような危険回避成功事例はほかにも多くある。四川省国土資源庁地質環境処の胡涛処長によると、今月公布されたばかりの「2017年四川省国土資源公報」は、昨年同省では56カ所で地質災害の回避に成功、1869人が災害による死傷の危険を免れ、回避された直接の経済損失は1億3300万元(1元=約17円)に上ったことを明らかにしているという。

防災について、中国ではダンポさんのような監視員の他に、テクノロジー運用重視の姿勢を強めている。昨年、同省では衛星リモートセンシングや無人機などの運用によって、従来の「人力ローラー作戦」による調査方式では発見が難しかった新たな地質災害危険箇所2837カ所を発見、これらは増えた危険箇所全体の68・38%を占めた。このほかに2100カ所の重点危険箇所に変移・変形モニター、雨量計、地面ひび割れ警報器などの自動監視装置を取り付けた。

今年、同省では詳細な調査も開始する予定で、第1段階として竜門山断層帯、大渡河沿岸の16カ所の地質災害多発、頻発県を選び、衛星リモートセンシングや干渉合成開口レーダー、レーザーレーダーなどの先進技術を活用し、地質災害危険箇所を特定し、さらに専門の土地調査ユニットを編成して実地調査で確認する。

胡処長は「こうした、衛星リモートセンシングなどの技術的手段で広範囲に地質災害の詳細な調査を展開するのは中国でも例がなく、四川省が先頭に立って道を開くことになる」と語っている。(記者/陳健)

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新華網日本語

「村民+テクノロジー」で地質災害に備える 中国四川省

新華網日本語 2018-06-21 09:59:43

19日、四川省成都市の街頭に設置された緊急避難指示標識。災害発生時に人々を案内し迅速に避難させる。

【新華社成都6月21日】中国西部の四川省は日本と同じく地震多発地帯であり、度重なる地震で地すべりや土石流などの地質災害が頻発している。このほど、同省カンゼ・チベット族自治州雅江県悪古郷悪古村で、チベット族の村民ダンポさんが土石流が起きる前に危険を察知し、74戸482人が死傷の危険を免れた。

ダンポさんは地元政府が任命した村の地質災害専従監視員だ。地質災害危険箇所に指定されている村内の峡谷の監視を担当しており、雨の降る前、降っている間、降った後ごとに実地調査をしている。

成都理工大学地質災害整備予防・地質環境保護国家重点実験室の許強教授は「四川省は中国で地質災害が最も深刻な省の一つだ」と話している。同省は青蔵高原が隆起を続けた結果形成された地形急変帯と活発な地質構造帯に位置するのに加え、「強震後効果」や極端な気候などの原因により、地質災害が多発、頻発している。

地質災害に備えるべく、同省では5万人余りの地質災害専従監視チームを編成した。メンバーはいずれも危険箇所付近の村民だ。各危険箇所に少なくとも1人の監視員を配置し、災害発生前の「自主避難、事前避難、予防避難」実現に努めている。

6月1日午後、ダンポさんは上級からの警戒情報を受け、雨の中、村の地質災害危険箇所を調べに向かい、峡谷の水量が急増し水が濁っていることに気づいた。日頃の訓練の知識から土石流発生の可能性に思い至った彼は、すぐさま携帯していた警報器を鳴らし、村民たちに危険を知らせた。

その後すぐに地元政府の職員と協力し、危険地域内の村民を防災計画で決められた避難ルートに沿って安全地帯へ移動させた。人々が避難した後に土石流が発生し、約7千立方メートルの石と泥水が一瞬にして彼らがもともといた道路や田畑、家屋をのみ込んでしまった。

悪古村のような危険回避成功事例はほかにも多くある。四川省国土資源庁地質環境処の胡涛処長によると、今月公布されたばかりの「2017年四川省国土資源公報」は、昨年同省では56カ所で地質災害の回避に成功、1869人が災害による死傷の危険を免れ、回避された直接の経済損失は1億3300万元(1元=約17円)に上ったことを明らかにしているという。

防災について、中国ではダンポさんのような監視員の他に、テクノロジー運用重視の姿勢を強めている。昨年、同省では衛星リモートセンシングや無人機などの運用によって、従来の「人力ローラー作戦」による調査方式では発見が難しかった新たな地質災害危険箇所2837カ所を発見、これらは増えた危険箇所全体の68・38%を占めた。このほかに2100カ所の重点危険箇所に変移・変形モニター、雨量計、地面ひび割れ警報器などの自動監視装置を取り付けた。

今年、同省では詳細な調査も開始する予定で、第1段階として竜門山断層帯、大渡河沿岸の16カ所の地質災害多発、頻発県を選び、衛星リモートセンシングや干渉合成開口レーダー、レーザーレーダーなどの先進技術を活用し、地質災害危険箇所を特定し、さらに専門の土地調査ユニットを編成して実地調査で確認する。

胡処長は「こうした、衛星リモートセンシングなどの技術的手段で広範囲に地質災害の詳細な調査を展開するのは中国でも例がなく、四川省が先頭に立って道を開くことになる」と語っている。(記者/陳健)

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