新華網ワシントン8月16日(記者/金旼旼 高攀)米トランプ大統領は14日、大統領令に署名し、米通商代表部のライトハイザー通商代表に権限を与えて、中国の技術移転など知的財産権分野に関する対処を含むいわゆる「中国の貿易行為」を審査させる。この前、あるアナリストが、ライトハイザー通商代表は中国に対し「301調査」を発動する可能性があると述べた。米国のこの一方的な行動は、中米貿易関係を損なうのではないかという各界からの懸念を招いている。
いわゆる「301調査」とは、米「1947年通商法」第301条に由来する。この条項は、通商代表に他国の「不合理な、又は不公平な貿易行為」に対する調査発動の権限を授与するとともに、調査終了後に米大統領へ、貿易優遇措置の廃止や報復関税などを含む一方的制裁を実施するよう提言できるとしている。
米ピーターソン国際経済研究所(PIIE)シニア・フェローのチャド・バウン氏は、この調査において米国政府は警察(外国政府に誤りがあるか否かを判断する)の役割を果たせば、検察官(訴訟を提起する)、陪審団(証拠を見分ける)、裁判官(報復措置を採るか否かを決定する)の役割も果たしていると述べた。
実は「301調査」の他にも、米国政府はすでに中国に対し、その他の類似する調査を展開してきた。例えば米商務省が現在実施中の鉄鋼とアルミニウムの輸入が米国の安全保障を損ねていないかを調査する「232調査」、米国国際貿易委員会(USITC)が太陽光電池とモジュールに対して緊急輸入制限を発動中の「201調査」などである。
これらの調査の共通点は、いずれも一国主義的措置の色合いが強く、しかも引用されているのが冷戦時期に制定された法律や世界貿易機関(WTO)の設立後ほとんど適用されていない法律であることだ。米国政府がこれらの長期間放置されていた法律を大規模に「復活」させて経済貿易問題を処理しようとする方法は、各界からの懸念を招いている。
如何なるWTO加盟国が講じる貿易措置はいずれもWTOのルールを遵守しなければならない。中米貿易関係は中米関係の安定装置と推進装置であり、双方にとって「和すれば則ち共に栄え、争えば共に傷つく」のである。世界の2大経済大国として、国際的な多国間貿易体系の安定を維持する上で中米両国は非常に重要な役割を担っている。グローバル化が日に日に発展していく今日、平等で開放された多国間貿易体制を共同で維持し、ルールを基礎とした多国間紛争解決メカニズムを守るのが、中米両国にとって当然引き受けるべき責任である。
(新華社より)
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