ネット通販大手・阿里巴巴(アリババ)が運営する無人スーパーが最近、浙江省杭州市でオープンし、話題になっている。無人スーパーはテクノロジーを駆使しており、負担のかかる作業を大幅に減少させている。では、無人スーパーではどのような「ブラックテクノロジー」が駆使されているのだろう? 工人日報が報じた。
顔認識技術
消費者が商品を購入する過程において、入店する際の顔認識技術と、決済する際の商品認識システムが大きな役割を果たしている。
顔認識技術は人の顔の特徴に基づいて、入力された画像、または監視カメラのデジタル画像から、人を自動的に識別する技術だ。まず、人の顔があるかを判断し、あると認識されると、顔の位置や大きさ、顔の各パーツなどの情報を読み取る。その後、それらの情報に基づいて、それぞれの顔の特徴を導き出し、すでに登録されている顔のデータと比較して、それが誰かを識別する。
顔認識はほとんどの無人スーパーが採用している技術の一つだ。例えば、アマゾンが運営する無人スーパー・AmazonGoでは、客はまず、専用のアプリで入店用のバーコードを表示し、それを入り口にあるゲートにかざして入店する。それと同時に、入り口に設置されているカメラが顔認識を行う。採用されているのはアマゾンが自主開発した顔認識システムAmazon Rekognitionだ。ディープラーニング(深層学習)を利用した人工知能技術で、画像を分析し、画像の内容や関連対象の内容を詳しく分析することができる。また、スキャンした画像に映る人物の性別や表情、感情、服、さらにひげなども分析することができる。
RFタグ――無線周波数認識技術
無人スーパーで採用されている技術を一言で総括するなら、各商品に付いている「RFタグ」だろう。同技術では電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信によって、RFタグに埋め込まれたID情報を読み取り、関連のデータを取得する。そして、接触することなく商品を認識し、商品を購入することができる。
商品を認識するために、ほとんどの無人スーパーがRFタグを採用している。RFIDは、無線周波数認識とも呼ばれる通信技術で、無線通信によって特定のターゲットと情報をやりとりする技術だ。認識システムとターゲットの物理的な接触は必要としない。無線周波は通常、電磁界や電波で短距離の認識通信に適している。
各商品にRFタグがあり、決済システムと連動して、客が購入した商品を認識し、決済も行う。RFIDは成熟した安価な技術。世界最大のスーパーマーケットチェーン・ウォルマートも同様の技術を採用して、サプライチェーンの管理効率を向上させている。
客が店から出る時、センサーがRFタグをスキャンし、消費者が購入した商品を再確認し、自動的に客の口座から購入した分のお金が引き落とされる。
もちろん、課題も残っている。例えば、ガラスなどの特殊な材質の商品は認識できない。そのため、中国の無人スーパー「小麦」などは、RFIDのデメリットを避けるために、スマホを使って、棚の商品のQRコードやパッケージのバーコードをスキャンしてモバイル決済を行うことができるシステムを採用している。
IoT決済技術とビックデータ分析
決済の面で、「小麦」では客がスキャンする必要があるものの、杭州でオープンした阿里巴巴の無人スーパーは、さらに最先端の技術を採用している。
このスーパーの広さは約200平方メートル。約50人が同時に買い物をすることができる。客は、スマホを使ってゲートを通過すると、店内で商品を自由に選ぶことができ、店から出る時に「決済ゲート」をくぐると、商品が認識され、数秒で自動的に決済が完了する。これが、モノのインターネット(IoT)決済技術だ。
阿里巴巴の無人スーパーの決済ゲートは、IoT決済技術を応用している。阿里巴巴傘下の金融サービス企業・アントファイナンシャルの関連のスタッフは、取材に対して、「入店する際にスキャンして客を特定し、小額の引き落としの授権が行われる。どの無人スーパーに入る時も、客の特定と授権が行われる。そのようにして、人を『モバイルID』として識別する。小額の引き落としの授権が、客が決済ゲートを通過するだけで決済が自動的に行われるという、不思議なシステムのカギ」と説明する。
顔認識、360度全方位の監視カメラ、消費行為のビックデータ収集・分析などが駆使され、客が入店してから出るまでのすべての行動がデジタル化され、それが記録されていく。これらのハイテクシステムが、小さな無人スーパーを消費者の消費行為を科学的に分析する「実験室」にしている。
(人民網日本語版)
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