北京故宮博物院は29日、故宮の西側部分である「断虹橋」から「慈寧宮」までの地域の一般開放を発表した。「断虹橋」と「慈寧宮」の間にある南北通路を開け、一般開放の面積を拡大する。参観者は故宮の威風をより広い角度から楽しむことができる。先に「断虹橋」から「十八槐古跡」までを一般開放する。「故宮文化資産デジタルアプリケーション研究所」の「VRホール」も学生団体向けに観覧予約を受け付ける。神秘的な「故宮氷室」も、顧客サービスセンターとしてオープンする。
「氷室」エリアは故宮隆宗門の外側に設置される。半地下に作られたアーチ型洞窟の建築である。氷室は乾隆年間に建造され、4棟が現存する。清代王朝のために作られた氷室で、300名近い参観者を収容できる。同所にはカフェや書店、レストランが設けられる。故宮博物院の単霽翔院長は、リノベーションのコンセプトを「氷室建築の特徴を踏まえつつさらに心地よい環境を作ること」とした上で、参観者に休憩してもらうと同時に古代宮廷の避暑方法と文化的背景を理解できるようにしたと話す。氷室は現在、最後の仕上げ段階にあり、間もなく一般開放される。
氷室を出て武英殿東にある「断虹橋」に向かう。橋は南北に掛けられており、床版には大理石が敷き詰められている。橋両側にある石の欄干には花や龍の模様が刻まれている。欄干の柱には石の獅子が立っている。故宮の関係者は、この橋は建材がよく研究されており、装飾も華麗。彫刻も細緻であり、故宮の橋の中でも一番だと話す。この橋で有名な「萌え獅子」は「断虹橋」の欄干にある。下腹をさすりながら恥ずかしそうにしている獅子だ。「断虹橋」の北側に立つ18本の古く高い槐(エンジュ)は、「十八棵槐」と呼ばれる。
新たに一般公開されるエリア内にある故宮文化資産デジタルアプリケーション研究所も一般向けに公開される。所内にあるVRホールは毎回、数十人の参観者を収容できる。同ホールはまず学生団体に向け予約を受け付ける。現在、上映作品を準備中だ。単霽翔院長は、3Dスキャン、デジタル撮影、3Dプリンター技術などを使いながら、故宮文物の3Dデータバンクを作り、文化遺産の本来の姿を立体的に再現すると説明する。
単霽翔院長は、「故宮は今年、様々なルートを開放し、明清代の王朝文化を全面的に参観者に伝えたい」と話す。2015年の一般開放面積は65%だったが、2016年の目標は76%である。2020年までに「赤い壁の内側は全て開放エリア」を目指す考えだ。その際、赤い壁内部は全て、故宮博物院の陳列展覧エリア、サービスエリア、参観エリアになる。そのときには、故宮博物院が一般公開する面積は全体の80%に達することになる。
(チャイナネット)
関連記事: