「擀面皮」は、陝西省宝鶏市岐山県の人々にとって、日常生活で最も親しまれている地方色の濃いシャオチー(軽食)だ。だがここ数年、電子商取引の普及と真空パック技術の発展にともない、この小ぶりの「擀面皮」は、岐山県民が起業する際の第一選択肢となり、そのビジネスは海外に進出するまでとなった。華商報が伝えた。
○遥かなるパリ販売されている「擀面皮」価格は60元
今年の春節(旧正月)後、あるサクセス・ストーリーが岐山県で噂の的となった。29歳になる西安出身の趙宝硯さんは、数年前にパリに店舗を開き、陝西の軽食を売り始めた。商品のひとつ「擀面皮」の売価は7ユーロ、人民元換算で60元(約1千円)だ。この噂に県民はこぞって興奮した。県政府も、この情報が事実であると確認している。趙宝硯さんとパリで会ったという県政府幹部は、華商報の取材に対し、「ノルウェー人の夫婦が、『擀面皮』を食べるために、パリまで車を数百キロメートル走らせた。食べ終わるとこれを絶賛したそうだ」と話した。
2014年国慶節(建国記念日、10月1日)の前夜、岐山県の何宏年・県長は、自信たっぷりに、「岐山は『擀面皮』を海外に売り出す」と宣言した。その1年後、この努力は現実のものとなった。現地での電子商取引業務を担当している同県購買・販売協同組合の趙立玉・副組合長は、「2015年、岐山県の電子商取引による営業収入は5750万元(約9億9千万円)、うち『擀面皮』の販売収入は約7割を占めた」と紹介した。県関連部門の統計データによると、2015年以降、「擀面皮」の売れ行きはすこぶる好調という。毎日最低8万食以上が、全国各地さらには欧米諸国に宅配便で届けられている。
○最初は皇后・側室だけの「特別の食べ物」だった「擀面皮」
岐山の文学・歴史関連資料によると、岐山「擀面皮」が誕生したのは、清の康煕年間にさかのぼる。当時、岐山八亩溝に住んでいた王同江が、宮廷料理人となった。彼は、自らの経験を活かし、この美食を生み出した。これが皇后や側室に大評判となった。都で宮廷人だけが味わえる料理として、門外不出となったため、「御京粉」と名付けられた。
晩年、高齢のため退職し故郷に戻った王氏は、弟子を集めて技術を伝えた。これに伴い、宮廷の軽食が民間人に伝わり、いまでは全国津々浦々に知れ渡る「西の都の美食」となった。手作業による製作プロセスで「擀(押し伸ばす)」作業があることから、人々は「御京粉」を「擀面皮」と好んで呼ぶようになった。
(人民網日本語版)
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