写真はネットより
複数のメディアが25日に伝えたところによると、日本の家電大手シャープは台湾地区の鴻海精密工業(富士康の親会社)による買収案に合意したという。支援額は7千億円に上り、シャープは今後、富士康の傘下に入る見込みだ。だが富士康サイドがこのほど声明を出し、「合意に達するまでしばらく契約を見合わせる」との考えを示した。「京華時報」が伝えた。
▽シャープは最終的に鴻海の買収案を受け入れ
日本紙「日本経済新聞」の報道によると、シャープは最終的に富士康による7千億円の買収案を受け入れることを決定した。富士康は7千億円の支援を提供するほか、主要取引銀行が保有するシャープの株式を買い取り、銀行への追加金融支援は求めない方針だ。
シャープの富士康買収案受け入れに先立ち、富士康を創業した鴻海の郭台銘会長は5年にわたってシャープを「追いかけて」いた。郭会長によると、「韓国のサムスンなどのライバルとアップル社の受注を争う上での最もよい方法は、シャープを傘下に置くことだ。シャープはアップル携帯電話のタッチパネルの3大サプライヤーの1つだからだ」という。
シャープと富士康は4年前にも買収合意に達し、富士康がシャープに出資することになっていたが、その後、株価の値下がりが原因で、買収は実現しなかった。今年2月5日、郭会長は日本の大阪市にあるシャープ本社を訪れ、7千億円の買収案について詳しい説明を行った。シャープは同日、月末に最終的な判断を下すことを明らかにした。
▽富士康はシャープ買収契約を見合わせ
シャープは買収案の受け入れを表明したが、富士康は契約をしばらく見合わせるとしている。
鴻海が発表した声明によると、シャープは24日、鴻海に新たな重要文書を送り、鴻海側は25日(シャープが同日の取締役を開催する前)、シャープに「(重要文書を)精査する必要があり、合意に達するまでしばらく契約を見合わせる」と伝えたという。
メディアの報道によれば、富士康が契約を見合わせるのは、シャープが一連の新たな情報を明らかにしたからで、特に約3500億円の「偶発債務」の存在があるという。
富士康は声明の中で新情報について詳しく述べていないが、情報通によると、「富士康はシャープの今後の財務リスクを検討して契約をしばらく見合わせると決めた。富士康は24日にシャープから約3500億円の『偶発債務』のリストを受け取った」という。
同情報通は、「富士康は100項目に及ぶリストを精査中で、シャープ買収取引を放棄したわけではない」と話す。
▽買収は最善の帰結か
シャープは液晶事業の低迷により、2014年度(14年4月~15年3月)に2200億円を超える大幅な赤字を出した。15年度も予断を許さない状況で、100億円の黒字を達成するのは非常に厳しい状況だ。
家電専門家の劉歩塵さんは、「シャープの立場に立つと、ここ数年の経営状況は下り坂だ。業界では有機ELパネルが次世代のディスプレーとみなされており、世代交代前に液晶事業の売却に成功すれば、シャープは最後のチャンスをうまくつかまえたことになる」と話す。
富士康にとっては、事業を消費電子製品に集中させる上で、液晶パネルには極めて大きな需要がある。液晶を主業務とするシャープを買収すれば、鴻海自身の今後の発展にとって、またライバルのサムスンとの競争において、有利な立場に立つことになる。
業界関係者の中には次のように指摘する人もいる。シャープ買収は郭会長が社内でさかんに言及するディスプレー タッチパネルビジネス事業計画「眼球計画」を体現するものだ。同計画では高級スマートフォンディスプレーの主要サプライヤーになることを目指す。アップルのスマートフォン「iPhone」(アイフォーン)を構成する部品で単価が最も高いのはタッチパネルで、製造コストの20%あまりを占める。富士康がアップルの受注を獲得しようと力を入れる理由はここにある。
(人民網日本語版)
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