かつて時代の潮流を華々しくリードしたシャープが、近年の多くの競争者の挑戦の下、勢いを急速に失っている。このほど公表された最新業績によると、今年度上半期が巨額の赤字になっただけでなく、通年の収入も大幅な下落となる見込みだ。巨額の債務を前に、シャープは、液晶ディスプレイ(LCD)などの重要業務を次々と売却することを迫られる可能性もある。業界関係者によると、シャープにとっては、モデルの転換を徹底的に追求することが唯一の出口となる。
巨額の赤字
シャープがこのほど発表した最新の財務報告によると、2015年度上半期(4-9月)の連結最終損益は840億円だった。前年同期は47億円の黒字だった。売上高は前年同期から4%減って1兆2700億円となり、予測を約300億円下回った。営業損益は260億円の赤字だった。事前の予測は100億円の黒字で、前年同期も292億円の黒字だった。最終損益の段階では、3200人を超える「自主退職」に伴い、240億円を超える特別損失も見込まれている。
シャープによると、スマートフォン画面業務の圧力が大きいことが業績の振るわない主因の一つとなっている。中国などの市場のスマートフォンユーザー向けの中小サイズの液晶画面のニーズは縮小し続け、価格も下がり続けており、販売不振に陥っている。
シャープは事実上、10月にはすでに、スマートフォンの液晶画面市場が厳しい局面に直面していることから、2015年度上半期の業績目標は実現できないとの見込みを示していた。2011年度以来、シャープは液晶画面業務の泥沼に陥っていた。シャープの液晶画面業務の2014年度(2015年3月まで)の連結売上額は9071億円、営業利潤は301億円だった。だが2015年4-6月期は、スマートフォン画面の価格下落による影響を受け、137億円の営業赤字に転じていた。
重要業務の売却も視野
ロイター社の最新報道によると、シャープの主要取引銀行はシャープに対し、苦境に陥っている傘下の液晶ディスプレイ業務の全部または一部を買収する買い手を数カ月以内に見つけるよう求め、その他の分野からより多くの資本を獲得するよう促している。これらの取引銀行はすでに、大規模な救済資金をシャープに対して2度にわたって提供している。銀行からのプレッシャーは、巨額の赤字を公表したばかりのシャープにとっては弱り目にたたり目となる。
これらの取引銀行は、5月に17億ドルの救済資金を獲得したにもかかわらず、シャープは赤字が連続しており、ディスプレイ事業の競争力を維持するために投資を続けることはすでに不可能となっていると指摘する。主要取引銀行のある幹部によると、同銀行はシャープに対してすでに、年内に関連パートナーの問題を決定し、遅くとも来年3月の年度内にはこの問題を解決することを求めている。
市場アナリストによると、関連主要銀行はすでにシャープに巨額の融資を提供しており、シャープが完全に倒れるのを放置する可能性は低い。だがアップルの評価の高いサプライヤーでもあったシャープが業務提携での合意を達成できるかは確かではない。
ロイター社はさらに、有力な協力対象の一つとしてフォックスコンの名前が上がっているとも報道している。フォックスコンはすでに、シャープの最先端LCD工場の37.6%の株式を保有している。だが両社の2012年の話し合いは失敗に終わっている。また日本政府の支援する基金がシャープに投資する、シャープのLCD部門がジャパンディスプレイ社と合併するとの情報もある。だがシャープはこれについてコメントしていない。
ある研究企業の幹部によると、経営不振に陥ってはいるものの、シャープはハイエンドLCDパネルで30年余りの経験を積み、専門技術では依然として業界をリードする強みを持っており、売却が見込まれる資産は多くの関係者の注目を集めている。
(チャイナネット)
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