経済協力開発機構(OECD)が3日に発表した最新の報告書によると、中国経済は新常態(ニューノーマル)への移行過程を進んでおり、成長ペースは鈍化したが、構造調整は秩序をもって進められている。改革措置の多くが効果を上げるようになり、経済の「安定成長」を力強く支えているという。海外の専門家は、「中国の経済成長ペースの鈍化は適切なものだ。モデル転換の成功がこれからの中国経済の持続的発展にとって着実な基礎をうち立てることになる」との見方を示す。人民日報が伝えた。
▽経済構造調整は「秩序をもって進められている」
OECDの報告書では次の点が強く主張された。中国の経済構造調整は「秩序をもって進められている」。国内総生産(GDP)の伸びに対する消費の貢献度が投資を上回るようになり、中国の実質的世帯収入の増加によって、消費はこれから力強い伸びを維持するとみられる。シャドーバンキングが効果的に抑制され、銀行の貸出が生産性のある用途により多く振り向けられるようになった。一部の企業に対する国からの形を変えた担保が解消されつつあり、リスクに対抗するためのよりよい価格設定メカニズムが形成されつつある。民間企業の資金調達難問題が好転し、減税政策の恩恵が中小企業にも及ぶようになった、などだ。
ドイツアジア太平洋ビジネス協会(OAV)の代表によると、中国の経済成長ペースの鈍化は適切なもので、経済のバブルを回避する上でプラスになる。全体としていえることは、中国経済は量の増加を重視する方向から質の伸びを重視する方向にモデル転換を遂げつつあるということだ。モデル転換の成功がこれからの中国経済の持続的発展にとって着実な基礎をうち立てることになるという。
同報告書によると、都市化の深化発展と「1ベルト、1ロード」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)の建設により大量のインフラ投資需要がもたらされ、金融政策の緩和、中古不動産の頭金の比率の引き下げといった措置が、短期的な経済成長を支えているという。前出の代表は、「経済の推進や雇用の創出に対する不動産の役割は軽視できない。これと同時に、不動産バブルは慎重に防がなければならない」と話す。
▽中国経済の発展はイノベーションをより重視する方向へ
同報告書は、中国経済の成長ペースは持続的に鈍化し、2015年は6.8%、16年は6.7%になると予測する。
オーストラリアのモナシュ大学経済学部の史鶴凌教授は、「単純に数字を重視するのに比べ、報告書にある具体的な分析の内容は注目に値する。報告では、中国のGDPの伸びに対する消費の貢献が投資を上回ることがわかる。ここから中国の一般庶民の所得が増加し、消費水準がさらに高まり、消費が経済発展の牽引でますます重要な役割を果たしていることがわかる。これまでの投資によって経済成長を牽引するモデルに比べ、現在は経済発展の安定性と持続可能性が一層レベルアップしており、ここには画期的な意義がある」と話す。
シドニー工科大学オーストラリア・中国関係研究院のジェームズ・ローレンティアン副院長(専門は中国経済)は中国経済に高い信頼を寄せており、「今年の中国経済の成長率は7%に到達するか、7%にわずかのところまで迫ることになる。経済成長の新常態の下で、中国経済の発展は健全な状態にあり、サービス業の発展ペースが建築業と工業を上回り、小売産業の増加ペースも固定資産投資を上回った。中国は今、経済構造の調整を進めており、民間企業が生み出す価値が大幅に増加しており、目下の中国経済の発展は大量生産よりもイノベーションをより重視するようになった」と話す。
(人民網日本語版)
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