生活保護世帯を訪ねてトウモロコシの作柄を聞き、生活保護政策を説明する張海華さん(右)。(新華社記者/谷訓)
【新華社重慶8月29日】中国重慶市酉陽(ゆうよう)県麻旺(まおう)鎮光明村で暮らす張海華(ちょうかいか)さんは3年前、病気の祖母の世話をするため、22歳で北京の仕事を辞め、中国西南部の山岳地帯にある深刻な「貧困村」へと帰郷。都会のホワイトカラーから貧困脱却支援の専門担当者に転身した。
張さんは以前、北京で「エコ野菜」のトマトが1個10元(1元=約16円)で売られているのを見たことがあった。だが故郷のエコ農産物は低価格でしか売れず、畑でそのまま腐らせることもあった。そこで張さんは昨年、自身が先頭に立って農業会社を設立。同郷の人々を率いて、貧困を脱却し富をもたらす道を突き進む決心をした。
農業会社は畜産業をメインとした。張さんは県外から技術者を招き、畜産農家を育成し、大規模かつ科学的な畜産業へと発展させた。また、技術も資金もない貧困世帯に対し、少額無利息融資を申し出、貧困救済技能研修への参加を呼びかけた。さらに、自ら各一線都市(北京市、上海市、広州市、深圳市)に足を運んで商品を売り込み、オンラインやオフラインの販路を開拓していった。
張さんによると、自身のやり方の最大の特徴は、あらゆる農産物をできる限り利用可能な資源に変えることだという。「私たちは村民の農産物を一切無駄にしないことを目標にしています」と話す張さんは、畜産業をしながら栽培農家を増収へと導いている。
これまでに約20村の200戸余りの貧困世帯が張さんの農業会社に参加。8割の貧困世帯が畜産基地の管理者となり、オンラインやオフラインでの売上高は毎月100万元に達している。一部の貧困世帯は稼いだ金で自社株を取得し株主となり、二人の貧困世帯出身者が会社のマネージャーになった。張さんが暮らす光明村は、すでに「貧困村」というレッテルを返上している。(記者/谷訓)