チベット高原は「世界の屋根」と呼ばれるが、いかにして今日の高さと規模を形成したのか、その隆起によりチベットの環境がどのように変化したのかといった問題をめぐる、科学者の意見は一致していない。中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の呉飛翔氏のチームは、このほど科学誌「Scientific Reports」に論文を掲載した。その中で特定の魚の化石とそれに伴う植物の化石の研究により、チベット高原中部が今から約2600−2400万年前に、温かく湿度の高い低地だったと推測している。光明日報が伝えた。
呉氏と同僚は標高5000メートル弱のチベット高原中部の、倫坡拉及び尼瑪盆地の漸新世後期(今から約2600−2400万年前)の地層から、保存状態の良好なキノボリウオの化石を発見し、「Eoanabasthibetana」と命名した。興味深いことに、研究者はその化石を観察し、現代のキノボリウオに似た特徴を発見した。キノボリウオは今日、主に南アジア・東南アジア、アフリカ中西部の熱帯地区の川・湖の畔、もしくは沼や池など水質が悪く、酸素欠乏状態の水の中に分布している。呉氏は「Eoanabasthibetanaは温かく湿った環境で暮らしていた可能性が高い。このことからチベット高原奥地の当時の環境は、今日の南アジア・東南アジアの一部地域の環境に近かった可能性がある」と推測している。
(人民網日本語版)
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