東京都渋谷区の書店で3日、村上春樹氏の最新長編作品「騎士団長殺し」が陳列された。日本の有名作家、村上春樹氏の最新長編作品「騎士団長殺し」が、2月24日に正式に発売された。この1000ページ超の作品に期待していたファンや文芸界は、現在も作品を味わっている最中だが、日本の右翼は待ちきれず飛び上がり、村上氏の新作を「反日」「中国の機嫌取り」と批判している。
南京大虐殺に言及
記者はこのほど、東京都内の繁華街の駅近くにある、大型書店を訪れた。入口のショーケースには、「騎士団長殺し」の上下巻が陳列されていた。店内のベストセラー書籍欄の目立つ位置にも、本書が置かれていた。店内のベストセラーランキングでは、小説部門と総合部門で1位になっていた。出版社によると、上下巻は初版で130万部。日本の出版界では、村上氏にしかなし得ない記録だ。
注目すべきは、村上氏が本書で歴史問題に言及し、南京大虐殺を認めたことから、日本の右翼とネット右翼の怒りを買った。
日本の右翼が激怒
村上氏は南京大虐殺を認めたことで、日本の右翼から批判を浴びている。
日本の右翼作家、百田尚樹氏は本書の発売日当日、ツイッターで「村上春樹氏の新刊『騎士団長殺し』の中に、『日本軍は南京で大虐殺をした』という文章があるらしい。これでまた彼の本は中国でベストセラーになるね。中国は日本の誇る大作家も『南京大虐殺』を認めているということを世界に広めるためにも、村上氏にノーベル賞を取らせようと応援するかもしれない」と投稿した。
百田氏の投稿に多くの右翼が反応し、ネット上で「村上春樹が反日作家の理由」「【悲報】村上春樹さん、南京事件の犠牲者数を40万人とする」などのスレッドを立てた。日本のSNSでは、村上氏やその新作を罵り、誹謗し、さらには人身攻撃する動きが見られた。村上氏のボイコットを行い、新作による南京大虐殺の宣伝と反日的な言行を絶対に許さないと暴言を吐く人もいる。
右翼とネット右翼が村上氏のボイコットと攻撃を展開するなか、日本の文芸評論界と主流メディアも、新書が言及した歴史問題に注意し始めた。
28日付読売新聞は学者、作家、メディア関係者による、村上氏の新作への評価を掲載した。全体的な評価は「期待を裏切らない傑作」「村上氏の代表作の一つになる可能性も」だ。尾崎真理子編集委員は村上氏について「日本が発動した戦争とドイツのことについて言及した……(中略)……物議を醸し続ける問題に言及し、非常に勇気がある」と評価した。
共同通信の岡田充客員論説委員は「村上氏の作品が世界で広く読まれているのは、国境 民族 階級を超越し、大都会に住む人々の孤独など、共通する気持ちを描写することに長けているからだ。村上氏が作中で何度もナチスについて言及し、日本の侵略戦争を取り上げ、謝罪を直接呼びかけたのは、国と認識の異なる人々が魂の交流と意思疎通を図るためには、まず共に経験したこの歴史の事実を認めるべきだと感じているからだろう」と指摘した。
同じく理性的な声を出すネットユーザーもいる。「村上氏の新作を読んでいるが、個人的にはとても気に入っている。ところが南京大虐殺について書いたため、ツイッターで売国奴だ、中国に媚を売っていると攻撃されている。これらの発言には本当に驚いている」
村上作品の歴史観
村上氏はこれまで多くの場で、侵略戦争について日本は謝罪すべきという観点を示してきた。日本の安倍晋三首相が2015年に「戦後70年談話」を発表する前、村上氏は東京新聞のインタビューに応じた際に「歴史問題は非常に重要な問題であり、誠意ある謝罪は非常に重要だ。謝罪は恥ずかしいことではない」と話していた。
「騎士団長殺し」は、村上氏が初めて中国を侵略した日本軍の暴行に言及した作品ではない。1994年の「ねじまき鳥クロニクル」でも、登場人物の口を借りて、日本軍の中国侵略戦争における数々の暴力行為について描写している。(記者/楊汀、沈鴻輝)
(写真/新華網 翻訳/チャイナネット)
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