最近、米国や欧州の経済が弱々しく復興に向かう中で、「日本病」の症状がひっそりとみられるようになった。消費の不振、通貨の過剰供給、これ以上は下がりようのない金利、深刻なインフレなどだ。08~15年には、ユーロ圏のGDP年平均成長率はわずか0.1%だった。欧州中央銀行は16年のユーロ圏のGDP成長率予測を1.7%から1.4%に下方修正した。同じように米国でも米連邦準備制度理事会(FRB)がGDP予測を2.4%から2.2%に引き下げた。
欧米などの発達したエコノミーだけでなく、中国を除く新興エコノミーもGDP成長率が軒並み低下し、成長の鈍化が一般的な現象となり、15年の経済成長率は4%にとどまった。モルガン スタンレーの予測では、16年のグローバル経済成長率は3%で、以前にうち出した予測の3.3%を下回り、これから日本のような長期的低迷に陥る可能性があるという。
そこで安倍内閣はサミットの前に大規模な経済活性化プランを再びうち出し、財政 金融の「無制限フリーマッチ」を戦おうとしている。財政予算約450億ドル(約4兆8299億円)を追加拠出して、公共事業の費用を前倒しで支払ったり、「プレミアム商品券」を発行したりするほか、消費税率引き上げの先送りも検討している。ここから「アベノミクス」には目新しいカードがそれほどないことがわかる。
海外の経済専門家の中には、グローバル経済の低迷に対処するには、「アベノミクス」のバージョンアップ版を早急にうち出す必要がある。また金融 財政政策を一層緩和し、構造改革と関連づける必要がある、とみる人もいる。この提案は「船に目印をつけて落とした剣を探そうとする」ようなものだ。腕のある医者ならば、症状に応じて適切な薬を処方し、病状に応じて量を調節し、いろいろな薬を用いて、さまざまな病気を治すことができるからだ。
「日本病」は直りにくい病気ではなく、処方箋がないわけでもない。安倍内閣の経済活性化のための使い古したやり方が、新たな情勢の変化に追いついていないだけだ。
(人民網日本語版)
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