〇激しく嗚咽しながら実験の様子を語った七三一部隊の元隊員
七三一部隊は、捕まえた捕虜を「マルタ」と呼び、捕虜のひとりひとりに3桁の番号を振った。捕虜には名前など不要というわけだ。彼らは、単に言葉を話す、生きた「実験材料」に過ぎなかった。
「悪魔の飽食」には、青酸カリの毒ガス実験の対象となる母と娘が登場する。この実験は、様々な毒ガス、あるいは同じ毒ガスの異なる濃度といった環境の違いによる人間の生存時間の違いを調べ、日本軍に毒ガス戦のための資料を提供することを目的に行われた。母と娘を同時に実験室に入れて、成人と子供がそれぞれ、同じ毒ガスでどれくらいの間「持ちこたえられるか」をテストした。母親は、毒ガスが密閉された実験室に充満しているのを見て、娘の頭を地面に押し付け、自分の身体で娘を護ろうとした。しばらくすると、先に娘が、後を追うように母親が息絶えた。