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新華社による中米関係についての王毅国務委員兼外交部長単独インタビュー
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2020-08-07 07:52:35 | 新華社 | 編集: 张一

5日、新華社の単独インタビューに応じる王毅氏。(北京=新華社記者/翟健嵐)

【新華社北京8月7日】王毅(おう・き)国務委員兼外交部長は5日、新華社の単独インタビューに応じた。

新華社記者:ポンペオ米国務長官は最近、カリフォニア州のニクソン大統領図書館で演説し、ニクソン大統領以来の米歴代政府の対中関与政策は予想していた目標に達成できず、すでに失敗したと述べた。米国内には、同氏の発言は明確かつ実行可能な進路を示さず、「イデオロギーの咆哮」だと疑問や批判を示す人も多い。これについてどう思うか。

王毅:いわゆる「米国の対中関与政策失敗論」は冷戦思考を再び持ち出し、中米両国数十年にわたる交流の成果を全否定した。これは歴史のプロセスに対する無知だけでなく、中米両国の人民を尊重していない。このような「政治ウイルス」を撒き散らすやり方は当然、米国内ひいては国際社会から疑問視され、批判を浴びるだろう。

40数年前、中米両国の指導者が太平洋を越えて握手を実現したもっとも根本的な理由は、互いに尊重しあい、求同存異(大同を求めて小異を残し)の原則を堅持し、双方のイデオロギーの違いを棚上げしたからだ。1972年ニクソン大統領が初めて訪中した際に、周恩来総理は、中米双方は互いの食い違いを明らかにし、力を入れて共通点を探し、我々両国の関係に新たなスタートを切るべきだと強調した。ニクソン大統領も中米の間には大きな食い違いが存在したが、これらの食い違いを超える共通利益こそ両国が歩み寄ってきた原因だと明確に語った。

その後の歴史が証明したように、双方が共に下したこの重大な決断は完全に正しい。国交樹立から40年余り、双方の複数世代にわたる人々の共同の努力により、中米関係は世界中で相互の融合がもっとも深く、協力分野がもっとも広く、共通利益がもっとも大きい二国間関係の一つとなる。中米両国の経済総生産は世界の三分の一を超え、世界経済に対する貢献率は50%を上回った。二国間貿易総額は国交樹立当初から250倍以上も成長し、世界の五分の一に達していた。双方の投資額はほぼゼロから2400億ドル近くまで上がり、年間人的往来は延べ500万人に達した。両国は世界の平和と発展に関わるほぼすべての地球規模の課題で重要な責任を担っていた。これらは全部否定を許さず、否めない事実だ。

40数年が過ぎた現在、中米は社会制度など多くの面で依然としてまったく異なっているが、これらの相違は過去、現在、将来にわたり両国が引き続き平和的に共存し、協力・ウィンウィンを進めることに影響を与えることはなく、与えるべきではない。双方は相手を変える必要も可能性もなく、相手国の人民の自主的な選択を尊重すべきだ。数十年以来中国が収めた大きな発展の成果が証明しているように、中国の特色ある社会主義の道は中国に合っていて、終始して中国人民のもっとも広くて断固たる支持を得ているだけでなく、世界にも恩恵をもたらし、米国を含む各国の人々に恵みを与えている。中国はかならず引き続き中国人民の願いに沿って、とどまることなく発展と進歩を続け、人類に更なる新たな貢献をしていく。いかなる人物がこのプロセスを阻止し、又は変えようとするなら、身の程知らずだけでなく、自分で悩みの種をまくことになる。

新華社記者:最近の一時期、米国側の一部の人は、米中関係が長期にわたって不公平、不対等で、米国が中米の往来で「損をした」とし、米国が中国の再建を助けたと言い続けている。これは事実に合致すると思われるか?

王毅:中米協力は従来、一方的に恩恵を施すことや利益を奪い取ることではない。中米双方とも協力で大きな利益を獲得し、どちら側が損をして、どちら側が得したようなことは存在しない。

長年以来、中米両国は優位性の相互補完、互恵協力を生かし、互いに融合する利益共同体を構築した。中国の高速発展は米国を含む世界各国の開放と協力から益を得ていると同時に、中国が成長し続けることもまた米国などの国々に持続的な成長の原動力と大きな市場を提供した。統計によると、中米経済貿易関係は米国で260万の雇用を創出し、両国貿易で毎年米国の家庭が一戸当たりの家計支出を850ドル節約できる。中国に投資・進出する米国企業は7万社も超え、年間売上高は7000億ドルに達し、その中の97%の企業が利益を上げている。中米貿易摩擦と新型コロナウィルスの影響を受けても、絶対多数の米国企業が依然として中国に残ることを望み、逆境を乗り越えて対中投資を拡大している。もし本当に一部の人が言ったように、中米の協力は不公平や不対等であれば、このような状況はどのようにして数十年も持続できたか?中米関係はどのようにして今日のような深さと広さに発展できたか?

もちろん、グローバル化と自由貿易は発展のボーナスを作り出すと同時に、各国の経済構造と利益の配分に矛盾と問題をもたらすこともある。これは自国の改革によって調整すべきで、自分の病気で他人に薬を飲ませる筋合いはない。ひたすら責任を他人になすりつけて、さらにはいわゆる「デカップリング」によって問題解決を図ろうとは、木に縁りて魚を求むようなことや南轅北轍にほかならなく、結局米国の企業と人民をさらに傷つけることになる。

グローバル化が今日に発展して、各国の利益がすでに互いに融合している。中国側は一貫して、中米両国の発展がゼロサムな関係ではなく、相手を排斥する必要がなく、互いに力を借り合って発展を成し遂げられると主張する。目下、世界経済は新型コロナウィルスの深刻な打撃を受けている。中米は世界最大の二つの経済大国として、平等互恵を堅持し、デカップリングではなく協力をもって両国関係の発展を推進し、世界のために然るべき責任を担うべきだ。

新華社記者:最近、米国は中米の人的文化交流を損なう一連の消極的な措置を取った。中国留学生を妨げたり、正常な学術交流を妨害したり、中国メディアを制限、弾圧するなどのことが挙げられる。マッカーシズムの「幽霊」が再び米国で現れたとする見方が多くあるが、中米が本当に「新冷戦」に陥ると思われるのか。

王毅:現在、中米関係が国交樹立以来最も厳しい局面に直面し、各分野における交流協力が深刻に妨害されている。その根本的な原因は、米国内の一部の政治勢力が中国に対する偏見と敵視がゆえに、手に握った権力を利用し、たくさんの嘘をでっち上げ、悪意的に中国に濡れ衣を着せ、さまざまな口実を作って中米間の正常往来を妨げている。彼らがこうするのは、マッカーシズムの「幽霊」を復活させ、中米間のつながりを破壊し、両国民意の対立を煽り立て、両国の相互信頼の根幹を損なうことによって、再び中米を衝突や対抗に引きずり込み、世界を不安定や分断に向かわせるためである。

中国はこのような陰謀の実現を容認できない。われわれは人為的に「新冷戦」を作り出すことを断固反対する。それは、中米両国国民の根本的な利益に背き、世界の発展と進歩の潮流に逆行しているからだ。過去の冷戦が世界人民にもたらした傷と苦痛の二の舞を決して踏んではいけない。平和を共に図り、発展を共に促すことこそが世界各国の普遍的な願望である。もし、誰かが21世紀の現在に、いわゆる「新冷戦」を引き起こそうとするなら、前進する歴史の反対側に立つこととなり、国際協力の最大の破壊者となり、歴史上に恥を残すことになる。

今日の中国は当時の旧ソ連ではなく、二つ目の米国になるつもりもない。中国はイデオロギーを輸出せず、他国の内政も干渉しない。世界最大の発展途上国と安保理の常任理事国として、中国は引き続き揺ぎ無く平和発展の道を歩み、互恵ウィンウィンの開放戦略を遂行し、引き続き世界平和の推進者、世界発展の貢献者、国際秩序の維持者としていく。

新華社記者:現在の米政権が、中米間で対話を行うことに冷淡な態度をとり、「対話無用論」を打ち出していることに留意している。ポンペオ氏が最近、中国に対して「不信と検証」をとるべきだと述べた。これについて、コメントをお伺いする。

王毅:現在の国際関係において、対話こそが食い違いを解決する賢明な選択であり、相互信頼を築く正確なルートである。対抗ではなく対話を望むことは中国側の立場だけではなく、世界の絶対多数の国々の共通認識でもある。中米は社会制度が異なり、歴史文化に相違がある二大国として、それぞれの利益と関心事を有しているのは正常なことである。肝心なのは、いかなる時でも対話の扉を一方的に閉ざさず、食い違いや誤った判断、対抗によって両国関係が主導されることを放置しないことだ。

中国は責任ある大国であり、正々堂々と米国側と率直且つ有効な意思疎通を行い、冷静と理性で米国側の衝動と焦りに対応する用意がある。われわれはいつでも米国側と各レベル、各分野の対話メカニズムを再始動する用意があり、いかなる問題もテーブルに載せて対話することができる。さらに、われわれは、協力、対話、食い違いのマネージについての三つのリストを策定し、今後の交流のためにロードマップを確定することを提案した。われわれの目的は一つしかない。即ち、米国側に傲慢と偏見を捨て、平等かつ建設的な対話を通じて、当面の緊張な局面を緩和させ、衝突や対抗をせず、相互尊重、協力ウィンウィンの正しい軌道に戻るよう促すことである。これこそが、両国国民の共通利益に合致し、国際社会の普遍的な期待に応じたものだ。

新華社記者:最近、香港問題は中米関係において非常に際立っている。米国側は中国の国家安全法実施が「一国二制度」を放棄したと主張し、香港に対する一連の制裁措置を発表した。米国側は香港問題において更なるトラブルを引き起すと思われるのか。

王毅:香港は中国領土の一部であり、香港事務は中国の内政である。内政不干渉は国際関係の基本原則で、いかなる国も、他国による自国の主権と領土保全への恣意的な破壊を容認することはできない。今般行われた国連人権理事会の会合で、70以上の国々が中国の正当な立場を支持し、香港問題を利用する中国への内政干渉を非難した。これは国際社会の共通な声と公正な立場を反映したものだ。

国家安全法制は一国の安全と安定を守る基本であり、各国な普遍な法律実践でもある。香港国家安全法の制定は長年存在する香港における法律上の抜け穴を塞ぎ、「一国二制度」が法治の道で安定的かつ長期的発展の実現及び香港の長期的安定の維持に資するものだ。数百万人の香港市民が自発的に国家安全法を支持すると署名したことは、香港の人々は平和的で安定した生活を望んでいて、国家安全法の制定は民意に応えた必然的な流れだと証明している。

「一国二制度」は中国の既定の国策である。「一国二制度」の維持と発展は祖国本土の力強い支持、より完備された法的環境、香港同胞の団結奮闘に依拠している。香港事務への横暴な干渉は、「一国二制度」の健全的な実行を破壊することであり、必ず香港同胞を含む炎黄子孫に断固として反対される。

新華社記者:最近、米国側は在ヒューストン中国総領事館を閉鎖し、総領事館が中国側のスパイと知的財産窃取の拠点だと主張している。中国側はすでに対等な対抗として、在成都米国総領事館を閉鎖した。中米の「外交戦」がエスカレートすることを懸念されるのか。

王毅:在ヒューストン中国総領事館は中米国交樹立後中国側が設立した総領事館第一号として、一貫して中米友好の重要な象徴であり続けた。40年以上、在ヒューストン中国総領事館は両国民の友好と協力の促進に重要な役割を果たしてきた。コロナ感染症が蔓延している中でも、総領事館は進んで困難を乗り越え、中国とアメリカ南部との感染症対策協力の架け橋となった。このような重要な歴史と現実的な意義を有する総領事館を閉鎖することは、中米両国民の相互交流と理解の窓口を閉鎖するようなまねであり、中米関係の正常な発展と民間友好を損害している。加えて、アメリカ側が挙げた理由はすべて事実無根な捏造であり、検証に耐えられる証拠は一つも示されていない。

アメリカ側の横暴で理不尽な振る舞いに対し、中国側は当然座視できない。我々の対抗措置は合法で情理にかなっていて、外交慣例にも合致している。中国側はアメリカ側と所謂「外交戦」をする意欲も興味もない。これは両国民の利益により大きな損害を与えるにしかないからだ。「外交戦」を引き起こすことは米国の強さを証明することはできなく、かえって米国が自信不足になりつつあることを露にした。アメリカ側がこれ以上過ちを繰り返すのなら、中国側も必ず最後まで付き合う。

新華社記者:アメリカ側はファーウェイを全方位的に包囲して封鎖・抑圧し、他国と共に「クリーン国家連盟」を作り上げるとまで宣言している。このような行動は実際にアメリカ側の焦りと恐怖の表れだとする見方も少なくはないが、これについてはどう思われるのか。

王毅:なんら事実根拠も出せないまま、アメリカは中国の一民間企業を手段を選ばずに世界範囲で封鎖・抑圧し、教科書的ないじめを見せている。誰が見ても一目瞭然なことに、アメリカの目的は自国の科学技術上の独占的地位を維持し、ほかの国の正当な発展する権利を剥奪するにほかならない。このあからさまな横暴さは公平な国際貿易のルールを破壊するだけでなく、自由なグローバル市場環境をも損害している。重ねて強調したいのは、ファーウェイを含め、現在アメリカに一方的に制裁されている多くの中国企業は無辜であり、彼らの技術や製品は安全で、いかなる国を害したことは一向にない。反対に、「プリズム事件」や「エシュロン」のようなスキャンダルの裏にはいつもアメリカの存在があり、彼らが世界中で他国を盗聴、監視する良からぬ行為は世に知りわたっている。米国には「クリーン国家連盟」なんてものを作る資格がなく、彼ら自身はすでに泥まみれだからだ。

情報化が代表する新たな科学技術革命は加速している。中国は引き続き世界各国と共に、公平・公正・開放・非差別的なビジネス環境の維持に取り組み、国際科学技術交流と協力を促進し、安全で信頼できる質の高い情報技術を世界経済の回復と各国人民のより良い生活に新たな原動力を提供させていく。アメリカにも狭量で利己的な考え方を改め、開放と協力の正しい道に戻ってくるよう希望する。

新華社記者:最近、アメリカの一部の政治屋は事ある度に中国共産党に言及し、極力中国共産党と中国人民の関係に水をさそうとしている。中米国交樹立から41年が経ち、アメリカ側は今更手のひらを返して中国の与党を中傷するのは、どのような動機があると思われるのか?

王毅:アメリカ国内には常に中国共産党の指導と中国の特色ある社会主義の道を否定しようとする勢力が存在している。彼らの目的は明白であり、すなわち中国を抑圧し、中国を乱れようとすることである。

来年は中国共産党成立100周年にあたる年である。100年間を振り返れば、中国共産党があるからこそ、中国人民は殖民され、支配される運命から完全に脱却し、民族の解放と独立を真に実現できた。中国共産党の導きのもと、我々は中国の特色ある社会主義という発展の道に辿り着き、中国を貧弱状態から世界第二の経済大国にまで建設できた。中国共産党の導きの下、我々は中国に一人当たりの国内総生産を40年前の200ドル足らずから今の1万ドル以上に向上させ、8億以上の人々を貧困から脱却させた。中国共産党が牽引する中国人民の偉大なる奮闘は歴史に輝かしい一ページを刻み、人類近代化の歴史的プロセスにおけるもっとも壮大な一章を綴った。

実践は真理を検証する唯一の基準であり、人民は歴史の採点者である。中国の制度は良いかどうか、中国人民にこそ最大の発言権がある。ハーバード大学のケネディ行政大学院が中国で13年連続行った調査の結果によると、中国人民は中国共産党が指導する中国政府に対する満足度は93%にも達している。近年多くの国際機関による世論調査も、中国国民が政府に対する信頼度は九割以上であると示している。中国共産党と中国人民との関係は、水魚の交わりで、大地と種のように共生している。中国共産党と中国人民の血肉のつながりを動揺させ、切り離そうとすることは、14億の中国人民を敵に回す行為である。

我々は中国の特色ある社会主義制度に強大な自信を持っていると同時に、世界各国人民が自主的に選択した発展の道を尊重し、いかなる国とイデオロギー上で対抗するつもりがない。米国側にも中国の社会制度と中国人民の選択を尊重し、必ず失敗する干渉主義を放棄してもらいたいと思う。習近平主席が指摘したように、我々は挑戦に立ち向かう確固たる決意と意志と国力を有し、いかなるリスクや試練を打ち勝てる十分な勇気、能力と知恵を持っている。いかなる国や人物も、中華民族が偉大な復興を実現する歴史的な歩みを阻むことはできない。

新華社記者:ポンペオ氏は新民主連盟を結成し中国に対応することを煽り、他国にいわゆる「自由」と「専制」から二者択一するよう威嚇しているが、彼の言論は国際社会で反応わずかであることに留意している。アメリカ側の企みが実現できると思われるのか。

王毅:対抗を煽り立て、分断を作り出す振る舞いは歴史上に珍しくないが、最終的には全部歴史に唾棄されることになる。まさか人類が21世紀に入った現在、また新しい「鉄のカーテン」を降ろし、新たな分断を引き起こし、政治的アイデンティティー作りと陣営対抗の古いやり方を再び持ち出そうとする人が現れている。これは人類の進歩や知恵を公然と蔑視し、公然と歴史に逆行することであり、時代の潮流と相容れなく、多数の国の願望と反対の方向へ向かっているから、当然人心を得られなく、応える人が少ないに決まっているだろう。

中国は帝国主義と殖民主義の支配や専制を破り、自由を勝ち取った国である。自由、民主、法治はとっくに中国の憲法に書き込まれており、中国の特色ある社会主義核心価値観の重要な内容ともなっている。同時に、自由とは放任ではないこと、科学と理性、法的秩序及国際ルールも全部自由の土台であることを我々が深く認識している。コロナ感染症を前に、中国人民は防疫専門家の科学的なアドバイスに基づき、マスクをつけることにしたが、一部の米国の政治屋に中傷され、中国は「専制」と「自由がない」の表れだと言われた。結局のところ、彼らは今自分に恥じをかくことになった。

中国は古来から「和合」を尊ぶ国で、「分かてば争い、争えば乱れ、乱れば窮す」と認識しいる。中国側は一貫してイデオロギーで世界を区分けする危険なやり方に反対する。従いまして、われわれは協力・ウィンウィンの新型国際関係を積極的に提唱し、全面的に各国との友好協力を発展させ、全世界をカバーするパートナーシップ・ネットワークを築き上げた。習近平主席が人類運命共同体を構築する重大な提案を打ち出したのは、制度の違いとゼロサムゲーム思考を乗り越え、異なる国、異なる民族、異なる文明の共通した奮闘の方向性を示すためである。中国側はこの全人類の明るいビジョンを実現させるためにたゆまぬ努力をしていく。

新華社記者:ポンペオ氏は中国が世界覇権を握ろうとすると述べたが、ご周知のとおり、米国こそが国際条約や国際機関から脱退する一方だ。未来の国際秩序が重大な影響を受けると国際社会から広く懸念されている。これについてはどう考えているのか。

王毅:今国際秩序と国際体制が直面する現実的な挑戦とは、米国は総合的実力が最も強い国であるにもかかわらず、「自国優先」を行動規範にしており、一国主義と覇権主義を極端まで推進し、国際責任と多国間のルールを見捨てるのも惜しまず、コロナ感染症が最も深刻な時期でさえ、WHOを理不尽に中傷し、脱退したということである。いまの米国政権が脱退した国際条約の数は嘗ての歴代政権より多いもので、現行の国際秩序のる最大な破壊者となっている。

中国は終始して、国際秩序と国際体制の断固たる擁護者である。新中国成立70年来、中国は自ら戦争を起こしたことは一度もなく、他国の領土を一寸も占拠したことがない。われわれは自国の平和発展を堅持するとの内容を憲法の中に書き込み、世界で初めてこのような承諾をした国となっている。われわれは、この平和発展の道を揺ぎ無く歩み続け、永遠に覇権を唱えず、永遠に拡張をせず、永遠に平和を守る中堅的な力であるよう取り組んでいく所存である。

今年は世界反ファシズム戦争勝利と国連設立75周年にあたる。痛ましい歴史の教訓を汲み取った上で、世界は近代以来最も長い時期の安定と繁栄を実現した。今日になって、われわれは国際体制が再び破壊されるのを放置するわけにはいけなく、世界を再び分断に陥らせるわけにはいかない。中国は最初に国連憲章にサインした国である。われわれはほぼ全ての国際条約と協議に参加し、然るべき国際責任と義務を忠実に履行する。世界の前途運命のかかる大事な瀬戸際には、われわれは引き続き揺ぎ無く多国間主義を実行・維持し、国連を核心とする国際システムを断固として守り、世界の多極化と国際関係の民主化を揺ぎ無く推進していく。

新華社記者:最近、米国は南中国海問題への介入を明らかに強化している。ポンペオ氏が南中国海における主権権益を否定する声明を発表し、米軍が南中国海で2空母演習を行い、頻繁に軍機や軍艦を派遣して異常接近や偵察活動を行う。米国が南中国海で摩擦や衝突を引き起こす可能性が高まっているという見方がある。南中国海は平穏無事を維持できるのだろうか。

王毅:最近、米国は南海で挑発活動を絶えず行っている。その一は、立場をとらないという長年来の約束に違反し、公然と南中国海の領土主権係争に介入することである。その二は、南中国海における軍事的プレゼンスを絶えず拡大・誇示している。今年上半期のみで、米軍機の南中国海における活動は2千回を超えた。その三は、中国とASEAN諸国との関係に水を差し、「南海行動規範」(COC)策定協議のプロセスを妨害することである。米国側の目的は、南中国海をかく乱し、地域の国々を米国の戦車に縛り、自国の国内政治や地政学的戦略のために利用しようとすることである。地域の国々は、有難い平和と発展の成果を米国側に恣意的に破壊されないよう、警戒を高めるべきである。

南中国海は、地域の国々の共同の家で、国際政治の闘技場になるべきではない。長年の努力を経て、地域の国々はすでに食い違いを適切に解決する有効的なルートを見出し、中国とASEAN諸国が南中国海の平和安定を共同で維持するという明確なコンセンサスに達成した。事実に証明されたように、対話で食い違いと紛争を解決するこそ、最も地域の国々の利益に合致した正しい道で、南中国海の平和安定を維持することは地域国々の共同の任務である。当面の情勢の下で、中国側はすべての妨害を排除し、COCの策定協議を早期に再開し、南中国海の長期的な安定に資する地域のルールを早期策定するよう提案する。同時に、中国としても引き続き沿岸諸国と海上協力を強化し、安全面の相互信頼関係を深化させ、共同開発を推進し、南中国海を真に平和の海、友好の海、協力の海にしたい。

新華社記者:当面、中米関係は国交樹立以来、最も困難な時期にある。現在から11月の米大統領選挙までの中米関係について、楽観的か、悲観的か、どう感じられるか。当面、中米双方は最もやるべきことは何だろうか。

王毅:中国の対米政策は、連続性と安定性を保っている。同時に、われわれも中米関係が紆余曲折や波風を経験する用意ができている。根本的なところ、米国が中国をライバルにしようとすることは、深刻な誤った戦略的判断であり、自国の戦略的リソースを誤った方向に投じることだ。中国側は終始、衝突や対抗をせず、相互尊重、協力ウィンウィンの精神に基づき、米国側と共に協調、協力、安定した中米関係を構築したい。同時に、我々は必ず自国の主権、安全、発展の利益を断固として守る。これは独立の主権国家としての正当な権利だ。米国は「国連憲章」の提唱した各国の主権平等の原則を履行し、異なる制度や文明と平和共存することを学び、世界が多極化している現実を受け入れるべきだ。

中米関係の国交樹立以来最も複雑な局面に直面し、われわれは中米関係の明確な枠組みを作る必要がある。

第一に、越えてはいけない一線を明確にし、対抗を回避する。中米関係の健全且つ安定した発展を実現するには、最も肝心なのは、相互尊重を堅持することだ。中国は、米国の大統領選や内政を干渉するつもりも無ければ、そうするわけがない。米国も自分のニーズに従って中国を改造しようとする幻想を諦め、中国の内部事務に対する理不尽な干渉を止め、中国の正当な権益に対する横暴な抑圧を停止すべきだ。

第二に、ルートを円滑にし、率直な対話を行う。対話こそ問題解決の前提だ。対話がなければ、問題がますます多く溜まる一方で、さらにはコントロールできなくなる。中国側の対話の扉は開いている。我々は、平等でオープンな態度をもって米国側と意思疎通と交流を行い、各レベル、各分野の対話メカニズムを再開する用意がある。

第三に、デカップリングを拒否し、協力を保つ。中米間の利益はすでに深く融合しあって、無理やりにデカップリングしようとしたら、中米関係の発展に長期的なインパクトを与え、国際的サプライチェーンの安全と各国の利益に損害を及ぼしていくことになる。コロナ感染症を前に、我々は米国側と感染症対策や経済回復などの分野で互恵協力を展開し、感染症と闘う経験を学びあって共有し、共に感染症対策の国際協力に参加する用意がある。

第四に、ゼロサムの思考を捨て、責任を共に担う。今回のコロナ感染症は、人類はもちつもたれつの運命共同体であることを改めて証明した。今日の世界で、地球規模の課題が次々と現れ、伝統的安全保障と非伝統的安全保障分野のチャレンジが錯綜し、ほぼすべての国際と地域のホットイッシューへの取り組みには、中米及び世界各国が協調して対応することが求められている。中米双方は、全人類の大局的観点から、大国の責任を履行し、国連などの多国間メカニズムの中で必要な協調と協力を展開し、共に世界の平和と安定に取り組んでいくべきだ。

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新華社による中米関係についての王毅国務委員兼外交部長単独インタビュー

新華網日本語 2020-08-07 07:52:35

5日、新華社の単独インタビューに応じる王毅氏。(北京=新華社記者/翟健嵐)

【新華社北京8月7日】王毅(おう・き)国務委員兼外交部長は5日、新華社の単独インタビューに応じた。

新華社記者:ポンペオ米国務長官は最近、カリフォニア州のニクソン大統領図書館で演説し、ニクソン大統領以来の米歴代政府の対中関与政策は予想していた目標に達成できず、すでに失敗したと述べた。米国内には、同氏の発言は明確かつ実行可能な進路を示さず、「イデオロギーの咆哮」だと疑問や批判を示す人も多い。これについてどう思うか。

王毅:いわゆる「米国の対中関与政策失敗論」は冷戦思考を再び持ち出し、中米両国数十年にわたる交流の成果を全否定した。これは歴史のプロセスに対する無知だけでなく、中米両国の人民を尊重していない。このような「政治ウイルス」を撒き散らすやり方は当然、米国内ひいては国際社会から疑問視され、批判を浴びるだろう。

40数年前、中米両国の指導者が太平洋を越えて握手を実現したもっとも根本的な理由は、互いに尊重しあい、求同存異(大同を求めて小異を残し)の原則を堅持し、双方のイデオロギーの違いを棚上げしたからだ。1972年ニクソン大統領が初めて訪中した際に、周恩来総理は、中米双方は互いの食い違いを明らかにし、力を入れて共通点を探し、我々両国の関係に新たなスタートを切るべきだと強調した。ニクソン大統領も中米の間には大きな食い違いが存在したが、これらの食い違いを超える共通利益こそ両国が歩み寄ってきた原因だと明確に語った。

その後の歴史が証明したように、双方が共に下したこの重大な決断は完全に正しい。国交樹立から40年余り、双方の複数世代にわたる人々の共同の努力により、中米関係は世界中で相互の融合がもっとも深く、協力分野がもっとも広く、共通利益がもっとも大きい二国間関係の一つとなる。中米両国の経済総生産は世界の三分の一を超え、世界経済に対する貢献率は50%を上回った。二国間貿易総額は国交樹立当初から250倍以上も成長し、世界の五分の一に達していた。双方の投資額はほぼゼロから2400億ドル近くまで上がり、年間人的往来は延べ500万人に達した。両国は世界の平和と発展に関わるほぼすべての地球規模の課題で重要な責任を担っていた。これらは全部否定を許さず、否めない事実だ。

40数年が過ぎた現在、中米は社会制度など多くの面で依然としてまったく異なっているが、これらの相違は過去、現在、将来にわたり両国が引き続き平和的に共存し、協力・ウィンウィンを進めることに影響を与えることはなく、与えるべきではない。双方は相手を変える必要も可能性もなく、相手国の人民の自主的な選択を尊重すべきだ。数十年以来中国が収めた大きな発展の成果が証明しているように、中国の特色ある社会主義の道は中国に合っていて、終始して中国人民のもっとも広くて断固たる支持を得ているだけでなく、世界にも恩恵をもたらし、米国を含む各国の人々に恵みを与えている。中国はかならず引き続き中国人民の願いに沿って、とどまることなく発展と進歩を続け、人類に更なる新たな貢献をしていく。いかなる人物がこのプロセスを阻止し、又は変えようとするなら、身の程知らずだけでなく、自分で悩みの種をまくことになる。

新華社記者:最近の一時期、米国側の一部の人は、米中関係が長期にわたって不公平、不対等で、米国が中米の往来で「損をした」とし、米国が中国の再建を助けたと言い続けている。これは事実に合致すると思われるか?

王毅:中米協力は従来、一方的に恩恵を施すことや利益を奪い取ることではない。中米双方とも協力で大きな利益を獲得し、どちら側が損をして、どちら側が得したようなことは存在しない。

長年以来、中米両国は優位性の相互補完、互恵協力を生かし、互いに融合する利益共同体を構築した。中国の高速発展は米国を含む世界各国の開放と協力から益を得ていると同時に、中国が成長し続けることもまた米国などの国々に持続的な成長の原動力と大きな市場を提供した。統計によると、中米経済貿易関係は米国で260万の雇用を創出し、両国貿易で毎年米国の家庭が一戸当たりの家計支出を850ドル節約できる。中国に投資・進出する米国企業は7万社も超え、年間売上高は7000億ドルに達し、その中の97%の企業が利益を上げている。中米貿易摩擦と新型コロナウィルスの影響を受けても、絶対多数の米国企業が依然として中国に残ることを望み、逆境を乗り越えて対中投資を拡大している。もし本当に一部の人が言ったように、中米の協力は不公平や不対等であれば、このような状況はどのようにして数十年も持続できたか?中米関係はどのようにして今日のような深さと広さに発展できたか?

もちろん、グローバル化と自由貿易は発展のボーナスを作り出すと同時に、各国の経済構造と利益の配分に矛盾と問題をもたらすこともある。これは自国の改革によって調整すべきで、自分の病気で他人に薬を飲ませる筋合いはない。ひたすら責任を他人になすりつけて、さらにはいわゆる「デカップリング」によって問題解決を図ろうとは、木に縁りて魚を求むようなことや南轅北轍にほかならなく、結局米国の企業と人民をさらに傷つけることになる。

グローバル化が今日に発展して、各国の利益がすでに互いに融合している。中国側は一貫して、中米両国の発展がゼロサムな関係ではなく、相手を排斥する必要がなく、互いに力を借り合って発展を成し遂げられると主張する。目下、世界経済は新型コロナウィルスの深刻な打撃を受けている。中米は世界最大の二つの経済大国として、平等互恵を堅持し、デカップリングではなく協力をもって両国関係の発展を推進し、世界のために然るべき責任を担うべきだ。

新華社記者:最近、米国は中米の人的文化交流を損なう一連の消極的な措置を取った。中国留学生を妨げたり、正常な学術交流を妨害したり、中国メディアを制限、弾圧するなどのことが挙げられる。マッカーシズムの「幽霊」が再び米国で現れたとする見方が多くあるが、中米が本当に「新冷戦」に陥ると思われるのか。

王毅:現在、中米関係が国交樹立以来最も厳しい局面に直面し、各分野における交流協力が深刻に妨害されている。その根本的な原因は、米国内の一部の政治勢力が中国に対する偏見と敵視がゆえに、手に握った権力を利用し、たくさんの嘘をでっち上げ、悪意的に中国に濡れ衣を着せ、さまざまな口実を作って中米間の正常往来を妨げている。彼らがこうするのは、マッカーシズムの「幽霊」を復活させ、中米間のつながりを破壊し、両国民意の対立を煽り立て、両国の相互信頼の根幹を損なうことによって、再び中米を衝突や対抗に引きずり込み、世界を不安定や分断に向かわせるためである。

中国はこのような陰謀の実現を容認できない。われわれは人為的に「新冷戦」を作り出すことを断固反対する。それは、中米両国国民の根本的な利益に背き、世界の発展と進歩の潮流に逆行しているからだ。過去の冷戦が世界人民にもたらした傷と苦痛の二の舞を決して踏んではいけない。平和を共に図り、発展を共に促すことこそが世界各国の普遍的な願望である。もし、誰かが21世紀の現在に、いわゆる「新冷戦」を引き起こそうとするなら、前進する歴史の反対側に立つこととなり、国際協力の最大の破壊者となり、歴史上に恥を残すことになる。

今日の中国は当時の旧ソ連ではなく、二つ目の米国になるつもりもない。中国はイデオロギーを輸出せず、他国の内政も干渉しない。世界最大の発展途上国と安保理の常任理事国として、中国は引き続き揺ぎ無く平和発展の道を歩み、互恵ウィンウィンの開放戦略を遂行し、引き続き世界平和の推進者、世界発展の貢献者、国際秩序の維持者としていく。

新華社記者:現在の米政権が、中米間で対話を行うことに冷淡な態度をとり、「対話無用論」を打ち出していることに留意している。ポンペオ氏が最近、中国に対して「不信と検証」をとるべきだと述べた。これについて、コメントをお伺いする。

王毅:現在の国際関係において、対話こそが食い違いを解決する賢明な選択であり、相互信頼を築く正確なルートである。対抗ではなく対話を望むことは中国側の立場だけではなく、世界の絶対多数の国々の共通認識でもある。中米は社会制度が異なり、歴史文化に相違がある二大国として、それぞれの利益と関心事を有しているのは正常なことである。肝心なのは、いかなる時でも対話の扉を一方的に閉ざさず、食い違いや誤った判断、対抗によって両国関係が主導されることを放置しないことだ。

中国は責任ある大国であり、正々堂々と米国側と率直且つ有効な意思疎通を行い、冷静と理性で米国側の衝動と焦りに対応する用意がある。われわれはいつでも米国側と各レベル、各分野の対話メカニズムを再始動する用意があり、いかなる問題もテーブルに載せて対話することができる。さらに、われわれは、協力、対話、食い違いのマネージについての三つのリストを策定し、今後の交流のためにロードマップを確定することを提案した。われわれの目的は一つしかない。即ち、米国側に傲慢と偏見を捨て、平等かつ建設的な対話を通じて、当面の緊張な局面を緩和させ、衝突や対抗をせず、相互尊重、協力ウィンウィンの正しい軌道に戻るよう促すことである。これこそが、両国国民の共通利益に合致し、国際社会の普遍的な期待に応じたものだ。

新華社記者:最近、香港問題は中米関係において非常に際立っている。米国側は中国の国家安全法実施が「一国二制度」を放棄したと主張し、香港に対する一連の制裁措置を発表した。米国側は香港問題において更なるトラブルを引き起すと思われるのか。

王毅:香港は中国領土の一部であり、香港事務は中国の内政である。内政不干渉は国際関係の基本原則で、いかなる国も、他国による自国の主権と領土保全への恣意的な破壊を容認することはできない。今般行われた国連人権理事会の会合で、70以上の国々が中国の正当な立場を支持し、香港問題を利用する中国への内政干渉を非難した。これは国際社会の共通な声と公正な立場を反映したものだ。

国家安全法制は一国の安全と安定を守る基本であり、各国な普遍な法律実践でもある。香港国家安全法の制定は長年存在する香港における法律上の抜け穴を塞ぎ、「一国二制度」が法治の道で安定的かつ長期的発展の実現及び香港の長期的安定の維持に資するものだ。数百万人の香港市民が自発的に国家安全法を支持すると署名したことは、香港の人々は平和的で安定した生活を望んでいて、国家安全法の制定は民意に応えた必然的な流れだと証明している。

「一国二制度」は中国の既定の国策である。「一国二制度」の維持と発展は祖国本土の力強い支持、より完備された法的環境、香港同胞の団結奮闘に依拠している。香港事務への横暴な干渉は、「一国二制度」の健全的な実行を破壊することであり、必ず香港同胞を含む炎黄子孫に断固として反対される。

新華社記者:最近、米国側は在ヒューストン中国総領事館を閉鎖し、総領事館が中国側のスパイと知的財産窃取の拠点だと主張している。中国側はすでに対等な対抗として、在成都米国総領事館を閉鎖した。中米の「外交戦」がエスカレートすることを懸念されるのか。

王毅:在ヒューストン中国総領事館は中米国交樹立後中国側が設立した総領事館第一号として、一貫して中米友好の重要な象徴であり続けた。40年以上、在ヒューストン中国総領事館は両国民の友好と協力の促進に重要な役割を果たしてきた。コロナ感染症が蔓延している中でも、総領事館は進んで困難を乗り越え、中国とアメリカ南部との感染症対策協力の架け橋となった。このような重要な歴史と現実的な意義を有する総領事館を閉鎖することは、中米両国民の相互交流と理解の窓口を閉鎖するようなまねであり、中米関係の正常な発展と民間友好を損害している。加えて、アメリカ側が挙げた理由はすべて事実無根な捏造であり、検証に耐えられる証拠は一つも示されていない。

アメリカ側の横暴で理不尽な振る舞いに対し、中国側は当然座視できない。我々の対抗措置は合法で情理にかなっていて、外交慣例にも合致している。中国側はアメリカ側と所謂「外交戦」をする意欲も興味もない。これは両国民の利益により大きな損害を与えるにしかないからだ。「外交戦」を引き起こすことは米国の強さを証明することはできなく、かえって米国が自信不足になりつつあることを露にした。アメリカ側がこれ以上過ちを繰り返すのなら、中国側も必ず最後まで付き合う。

新華社記者:アメリカ側はファーウェイを全方位的に包囲して封鎖・抑圧し、他国と共に「クリーン国家連盟」を作り上げるとまで宣言している。このような行動は実際にアメリカ側の焦りと恐怖の表れだとする見方も少なくはないが、これについてはどう思われるのか。

王毅:なんら事実根拠も出せないまま、アメリカは中国の一民間企業を手段を選ばずに世界範囲で封鎖・抑圧し、教科書的ないじめを見せている。誰が見ても一目瞭然なことに、アメリカの目的は自国の科学技術上の独占的地位を維持し、ほかの国の正当な発展する権利を剥奪するにほかならない。このあからさまな横暴さは公平な国際貿易のルールを破壊するだけでなく、自由なグローバル市場環境をも損害している。重ねて強調したいのは、ファーウェイを含め、現在アメリカに一方的に制裁されている多くの中国企業は無辜であり、彼らの技術や製品は安全で、いかなる国を害したことは一向にない。反対に、「プリズム事件」や「エシュロン」のようなスキャンダルの裏にはいつもアメリカの存在があり、彼らが世界中で他国を盗聴、監視する良からぬ行為は世に知りわたっている。米国には「クリーン国家連盟」なんてものを作る資格がなく、彼ら自身はすでに泥まみれだからだ。

情報化が代表する新たな科学技術革命は加速している。中国は引き続き世界各国と共に、公平・公正・開放・非差別的なビジネス環境の維持に取り組み、国際科学技術交流と協力を促進し、安全で信頼できる質の高い情報技術を世界経済の回復と各国人民のより良い生活に新たな原動力を提供させていく。アメリカにも狭量で利己的な考え方を改め、開放と協力の正しい道に戻ってくるよう希望する。

新華社記者:最近、アメリカの一部の政治屋は事ある度に中国共産党に言及し、極力中国共産党と中国人民の関係に水をさそうとしている。中米国交樹立から41年が経ち、アメリカ側は今更手のひらを返して中国の与党を中傷するのは、どのような動機があると思われるのか?

王毅:アメリカ国内には常に中国共産党の指導と中国の特色ある社会主義の道を否定しようとする勢力が存在している。彼らの目的は明白であり、すなわち中国を抑圧し、中国を乱れようとすることである。

来年は中国共産党成立100周年にあたる年である。100年間を振り返れば、中国共産党があるからこそ、中国人民は殖民され、支配される運命から完全に脱却し、民族の解放と独立を真に実現できた。中国共産党の導きのもと、我々は中国の特色ある社会主義という発展の道に辿り着き、中国を貧弱状態から世界第二の経済大国にまで建設できた。中国共産党の導きの下、我々は中国に一人当たりの国内総生産を40年前の200ドル足らずから今の1万ドル以上に向上させ、8億以上の人々を貧困から脱却させた。中国共産党が牽引する中国人民の偉大なる奮闘は歴史に輝かしい一ページを刻み、人類近代化の歴史的プロセスにおけるもっとも壮大な一章を綴った。

実践は真理を検証する唯一の基準であり、人民は歴史の採点者である。中国の制度は良いかどうか、中国人民にこそ最大の発言権がある。ハーバード大学のケネディ行政大学院が中国で13年連続行った調査の結果によると、中国人民は中国共産党が指導する中国政府に対する満足度は93%にも達している。近年多くの国際機関による世論調査も、中国国民が政府に対する信頼度は九割以上であると示している。中国共産党と中国人民との関係は、水魚の交わりで、大地と種のように共生している。中国共産党と中国人民の血肉のつながりを動揺させ、切り離そうとすることは、14億の中国人民を敵に回す行為である。

我々は中国の特色ある社会主義制度に強大な自信を持っていると同時に、世界各国人民が自主的に選択した発展の道を尊重し、いかなる国とイデオロギー上で対抗するつもりがない。米国側にも中国の社会制度と中国人民の選択を尊重し、必ず失敗する干渉主義を放棄してもらいたいと思う。習近平主席が指摘したように、我々は挑戦に立ち向かう確固たる決意と意志と国力を有し、いかなるリスクや試練を打ち勝てる十分な勇気、能力と知恵を持っている。いかなる国や人物も、中華民族が偉大な復興を実現する歴史的な歩みを阻むことはできない。

新華社記者:ポンペオ氏は新民主連盟を結成し中国に対応することを煽り、他国にいわゆる「自由」と「専制」から二者択一するよう威嚇しているが、彼の言論は国際社会で反応わずかであることに留意している。アメリカ側の企みが実現できると思われるのか。

王毅:対抗を煽り立て、分断を作り出す振る舞いは歴史上に珍しくないが、最終的には全部歴史に唾棄されることになる。まさか人類が21世紀に入った現在、また新しい「鉄のカーテン」を降ろし、新たな分断を引き起こし、政治的アイデンティティー作りと陣営対抗の古いやり方を再び持ち出そうとする人が現れている。これは人類の進歩や知恵を公然と蔑視し、公然と歴史に逆行することであり、時代の潮流と相容れなく、多数の国の願望と反対の方向へ向かっているから、当然人心を得られなく、応える人が少ないに決まっているだろう。

中国は帝国主義と殖民主義の支配や専制を破り、自由を勝ち取った国である。自由、民主、法治はとっくに中国の憲法に書き込まれており、中国の特色ある社会主義核心価値観の重要な内容ともなっている。同時に、自由とは放任ではないこと、科学と理性、法的秩序及国際ルールも全部自由の土台であることを我々が深く認識している。コロナ感染症を前に、中国人民は防疫専門家の科学的なアドバイスに基づき、マスクをつけることにしたが、一部の米国の政治屋に中傷され、中国は「専制」と「自由がない」の表れだと言われた。結局のところ、彼らは今自分に恥じをかくことになった。

中国は古来から「和合」を尊ぶ国で、「分かてば争い、争えば乱れ、乱れば窮す」と認識しいる。中国側は一貫してイデオロギーで世界を区分けする危険なやり方に反対する。従いまして、われわれは協力・ウィンウィンの新型国際関係を積極的に提唱し、全面的に各国との友好協力を発展させ、全世界をカバーするパートナーシップ・ネットワークを築き上げた。習近平主席が人類運命共同体を構築する重大な提案を打ち出したのは、制度の違いとゼロサムゲーム思考を乗り越え、異なる国、異なる民族、異なる文明の共通した奮闘の方向性を示すためである。中国側はこの全人類の明るいビジョンを実現させるためにたゆまぬ努力をしていく。

新華社記者:ポンペオ氏は中国が世界覇権を握ろうとすると述べたが、ご周知のとおり、米国こそが国際条約や国際機関から脱退する一方だ。未来の国際秩序が重大な影響を受けると国際社会から広く懸念されている。これについてはどう考えているのか。

王毅:今国際秩序と国際体制が直面する現実的な挑戦とは、米国は総合的実力が最も強い国であるにもかかわらず、「自国優先」を行動規範にしており、一国主義と覇権主義を極端まで推進し、国際責任と多国間のルールを見捨てるのも惜しまず、コロナ感染症が最も深刻な時期でさえ、WHOを理不尽に中傷し、脱退したということである。いまの米国政権が脱退した国際条約の数は嘗ての歴代政権より多いもので、現行の国際秩序のる最大な破壊者となっている。

中国は終始して、国際秩序と国際体制の断固たる擁護者である。新中国成立70年来、中国は自ら戦争を起こしたことは一度もなく、他国の領土を一寸も占拠したことがない。われわれは自国の平和発展を堅持するとの内容を憲法の中に書き込み、世界で初めてこのような承諾をした国となっている。われわれは、この平和発展の道を揺ぎ無く歩み続け、永遠に覇権を唱えず、永遠に拡張をせず、永遠に平和を守る中堅的な力であるよう取り組んでいく所存である。

今年は世界反ファシズム戦争勝利と国連設立75周年にあたる。痛ましい歴史の教訓を汲み取った上で、世界は近代以来最も長い時期の安定と繁栄を実現した。今日になって、われわれは国際体制が再び破壊されるのを放置するわけにはいけなく、世界を再び分断に陥らせるわけにはいかない。中国は最初に国連憲章にサインした国である。われわれはほぼ全ての国際条約と協議に参加し、然るべき国際責任と義務を忠実に履行する。世界の前途運命のかかる大事な瀬戸際には、われわれは引き続き揺ぎ無く多国間主義を実行・維持し、国連を核心とする国際システムを断固として守り、世界の多極化と国際関係の民主化を揺ぎ無く推進していく。

新華社記者:最近、米国は南中国海問題への介入を明らかに強化している。ポンペオ氏が南中国海における主権権益を否定する声明を発表し、米軍が南中国海で2空母演習を行い、頻繁に軍機や軍艦を派遣して異常接近や偵察活動を行う。米国が南中国海で摩擦や衝突を引き起こす可能性が高まっているという見方がある。南中国海は平穏無事を維持できるのだろうか。

王毅:最近、米国は南海で挑発活動を絶えず行っている。その一は、立場をとらないという長年来の約束に違反し、公然と南中国海の領土主権係争に介入することである。その二は、南中国海における軍事的プレゼンスを絶えず拡大・誇示している。今年上半期のみで、米軍機の南中国海における活動は2千回を超えた。その三は、中国とASEAN諸国との関係に水を差し、「南海行動規範」(COC)策定協議のプロセスを妨害することである。米国側の目的は、南中国海をかく乱し、地域の国々を米国の戦車に縛り、自国の国内政治や地政学的戦略のために利用しようとすることである。地域の国々は、有難い平和と発展の成果を米国側に恣意的に破壊されないよう、警戒を高めるべきである。

南中国海は、地域の国々の共同の家で、国際政治の闘技場になるべきではない。長年の努力を経て、地域の国々はすでに食い違いを適切に解決する有効的なルートを見出し、中国とASEAN諸国が南中国海の平和安定を共同で維持するという明確なコンセンサスに達成した。事実に証明されたように、対話で食い違いと紛争を解決するこそ、最も地域の国々の利益に合致した正しい道で、南中国海の平和安定を維持することは地域国々の共同の任務である。当面の情勢の下で、中国側はすべての妨害を排除し、COCの策定協議を早期に再開し、南中国海の長期的な安定に資する地域のルールを早期策定するよう提案する。同時に、中国としても引き続き沿岸諸国と海上協力を強化し、安全面の相互信頼関係を深化させ、共同開発を推進し、南中国海を真に平和の海、友好の海、協力の海にしたい。

新華社記者:当面、中米関係は国交樹立以来、最も困難な時期にある。現在から11月の米大統領選挙までの中米関係について、楽観的か、悲観的か、どう感じられるか。当面、中米双方は最もやるべきことは何だろうか。

王毅:中国の対米政策は、連続性と安定性を保っている。同時に、われわれも中米関係が紆余曲折や波風を経験する用意ができている。根本的なところ、米国が中国をライバルにしようとすることは、深刻な誤った戦略的判断であり、自国の戦略的リソースを誤った方向に投じることだ。中国側は終始、衝突や対抗をせず、相互尊重、協力ウィンウィンの精神に基づき、米国側と共に協調、協力、安定した中米関係を構築したい。同時に、我々は必ず自国の主権、安全、発展の利益を断固として守る。これは独立の主権国家としての正当な権利だ。米国は「国連憲章」の提唱した各国の主権平等の原則を履行し、異なる制度や文明と平和共存することを学び、世界が多極化している現実を受け入れるべきだ。

中米関係の国交樹立以来最も複雑な局面に直面し、われわれは中米関係の明確な枠組みを作る必要がある。

第一に、越えてはいけない一線を明確にし、対抗を回避する。中米関係の健全且つ安定した発展を実現するには、最も肝心なのは、相互尊重を堅持することだ。中国は、米国の大統領選や内政を干渉するつもりも無ければ、そうするわけがない。米国も自分のニーズに従って中国を改造しようとする幻想を諦め、中国の内部事務に対する理不尽な干渉を止め、中国の正当な権益に対する横暴な抑圧を停止すべきだ。

第二に、ルートを円滑にし、率直な対話を行う。対話こそ問題解決の前提だ。対話がなければ、問題がますます多く溜まる一方で、さらにはコントロールできなくなる。中国側の対話の扉は開いている。我々は、平等でオープンな態度をもって米国側と意思疎通と交流を行い、各レベル、各分野の対話メカニズムを再開する用意がある。

第三に、デカップリングを拒否し、協力を保つ。中米間の利益はすでに深く融合しあって、無理やりにデカップリングしようとしたら、中米関係の発展に長期的なインパクトを与え、国際的サプライチェーンの安全と各国の利益に損害を及ぼしていくことになる。コロナ感染症を前に、我々は米国側と感染症対策や経済回復などの分野で互恵協力を展開し、感染症と闘う経験を学びあって共有し、共に感染症対策の国際協力に参加する用意がある。

第四に、ゼロサムの思考を捨て、責任を共に担う。今回のコロナ感染症は、人類はもちつもたれつの運命共同体であることを改めて証明した。今日の世界で、地球規模の課題が次々と現れ、伝統的安全保障と非伝統的安全保障分野のチャレンジが錯綜し、ほぼすべての国際と地域のホットイッシューへの取り組みには、中米及び世界各国が協調して対応することが求められている。中米双方は、全人類の大局的観点から、大国の責任を履行し、国連などの多国間メカニズムの中で必要な協調と協力を展開し、共に世界の平和と安定に取り組んでいくべきだ。

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