7月13日、四川省眉山市東坡区悦興鎮で、イグサを収穫する村民。(新華社記者/江宏景)
【新華社成都8月14日】中国四川省眉山市東坡区は西南地区最大のイグサ栽培基地で、現地の農業当局のデータによると、同区で栽培したイグサはすべて日本向けに輸出されており、イグサとその初期加工製品の日本市場シェアは最も多い時期で30%前後に達している。
しかし、中国の農家のイグサ栽培規模は大幅に縮小しつつある。同区農業局のデータによると、同区のイグサ作付面積は年々縮小し、全盛期の3万5千ムー(約2300ヘクタール)から、今年の1万800ムー(720ヘクタール)まで減少した。
同区農業局農村経営管理所の李革副所長は、イグサ業界低落の主な原因は、日本経済の長期的な不景気にあり、日本の若い世代の生活の西洋化や、代替品の増加で畳の需要が落ち込み続けていることも原因に挙げられると分析した。
このほか、中国の労働コスト上昇が、日本の畳業界の中国における利益を圧縮している。同区でイグサ栽培業を営む胡振華さんは「収穫期に農民工(出稼ぎ農民労働者)を雇う必要があり、費用は重さで計算しているが、毎年値上がりしている」と語った。
中日関係も両国の貿易に影響を及ぼしている。日本政府は2012年9月、釣魚島および付属の南小島、北小島の「購入」を宣言し、いわゆる「国有化」を実施した。これにより中日関係が急激に悪化、中日貿易額が明らかに減少し、長年3千億ドル(1ドル=約111円)以下の状態が続いている。
それにもかかわらず、中国の業界関係者や学者は中日貿易の前途が明るいとみなしている。「堅持しさえすれば、イグサを植えても金が稼げる」。東坡区秦家鎮古新村の村民、陳金方さんは7ムー(約0・469ヘクタール)のイグサを植え、1ムーあたり五千元以上の利益を得ることに成功した。これに比べ、稲作は種や農薬、化学肥料のコストを除くと、1ムー当たりの利益は300元ほどにしかならない。
中国社会科学院日本研究所の徐梅研究員は現在の国際環境について、地政学的リスクが高まるなかで東アジア地域の協力のニーズが強まっており、中国は全面的な開放という新たな局面を推進し、日本は国内の構造改革を積極的に促進しているとの認識を示した。こうした情勢において、中日両国が経済・貿易関係を強化する必要性や余地が拡大しており、両国はまさに、いっそう広範な協力の前途を目前にしているとした。
中国のイグサ栽培業者の間にはこれまで、盲目的な栽培と加工という問題が存在していた。日本では消費税が引き上げられ、市民がより良い製品を慎重に選ぶようになっている。現在みられる作付面積の減少は産業調整の契機となり得るもので、中日両国のイグサ生産、加工企業は市場ニーズにより適した製品を開発しなければならない。
徐氏は「試練とリスクに満ちた新たな情勢において、中日両国はさらに経済・貿易の協力を強化拡大し、産業構造の転換とアップグレードを推進する必要がある。中国の原料生産拠点と巨大市場は、日本企業に広大な発展の余地を提供するだろう」と語った。(記者/陳健)