10日、シンガポールのチャンギ国際空港に到着した朝鮮最高指導者の金正恩(キム・ジョンウン)氏。
【新華社北京6月12日】朝鮮の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン)氏とトランプ米大統領が10日、相次いでシンガポール入りした。12日に予定されている両首脳の会談はカウントダウンに入った。
あるアナリストは、朝米首脳会談が紆余曲折を経てなお前進できたのは、双方が朝鮮の核問題について対話を通じた平和的解決を望んでいることの表れだと指摘。だが、朝米の相互信頼の度合いが低いことから、一度の首脳会談ですべての問題を解決することは難しく、朝鮮半島の真の平和への道はまだ遠いと語った。
共通の願い
今回の朝米首脳会談の核心となる議題は、朝鮮半島の非核化と米国が朝鮮の体制の安全を保証するかの2点に絞られる。米シンクタンク韓国経済研究所(KEI)のアナリスト、Kyle Ferrier氏は、米朝が平和協定締結を推進する方向で共通認識に達することができた場合、各方面が引き続き外交手段により朝鮮半島の核問題を解決する流れを後押しすることになると指摘した。
朝鮮側から見ると、今年開催された朝鮮労働党第7期中央委員会第3回全体会議は発展戦略を調整し、すべての力を社会主義経済の建設遂行に集中させると決定した。このため、朝鮮半島の戦争状態を早期に終結させ、米側から体制の安全を保証するとの確約を得て、関係各国との国交正常化を実現することが、朝鮮側の主要な関心事となっている。朝米首脳会談はこうした朝鮮の願いの実現にとって重要な一歩だ。
米国から見ると、朝鮮半島の非核化実現は米国の安全保障に関わる。朝鮮と半島の非核化について合意することができれば、トランプ氏の大統領在任中の重要な外交上の成果となり、有権者の支持固めに有利に働き、将来の再選のためにもポイントを稼げる。
残る食い違い
あるアナリストは、朝鮮半島非核化をどのように実現するかなどの核心的な議題について、朝米の間に食い違いが見られ、両国が乗り越えなければならない主要な障害と指摘する。
米側は朝鮮側に先に「完全かつ検証可能で不可逆的な」核放棄(CVID)するよう要求し、その後に朝鮮への制裁を解除するとしているのに対し、朝鮮側は「段階的で歩調を合わせた措置」による非核化実現を主張している。
中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院の王俊生副研究員は、米国が期待する朝鮮の早期「核放棄」実現と、朝鮮が主張する「段階的」核放棄には明らかな隔たりがあると指摘。さらに、米国は一貫して「まず核放棄、それから体制安全の保証の議論」を主張しており、これも朝鮮が望む「体制の保証と核放棄の同時推進」とは隔たりが大きいとみている。
アナリストの一人は、トランプ氏の最近の態度には変化が見られると指摘。朝鮮側との交渉は「一つの過程」で、一回の会談で朝鮮の核問題を完全解決するのは困難だと気付いたのではとした。
米カーネギー国際平和基金のダグラス・H・パール副会長は、一度の首脳会談で米朝それぞれの願いを実現することはできないが、両者が正しい方向に進んでいるのは間違いないと表明。将来的に双方がさらに意思疎通を重ねて、具体的な細かい問題を解決していく必要があるとの見方を示した。
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