「私は『悪魔の子孫』という極端なレッテルを背負っている」。今年42歳の日本の商人・東条英利氏は、そんな言葉で人をびっくりさせた。東条氏の曽祖父は、第2次大戦後に極東国際軍事裁判でA級戦犯とされた日本の元首相・東条英機である。日本が第2次大戦で敗北し降伏してから70年を迎えた15日、東条氏はAP通信の取材を受け、「東条英機のひ孫」としての自らの人生を振り返り、米元大統領のトルーマンの子孫とともに国家の和解に役割を発揮したいとの希望を語った。
AP通信の報道によると、東条氏は30年前、第2次大戦の戦犯を裁いた国際軍事裁判の白黒の記録映画で自らの曽祖父を見たことがあるにすぎない。印象的な場面があった。頭のはげた、眼鏡をかけ、ひげを伸ばした男が、法庭に座っている。後ろに座っていた被告が男の頭を突然はたいた。男は振り返って、にっと笑った。「これがあなたの曽祖父(東条英機)ですよ」。母親は東条氏にそう告げた。
東条英機は、日本軍の真珠湾奇襲の背後の画策者であり、降伏を拒んで米国による広島と長崎への原子爆弾投下をもたらした張本人とみなされている。東条氏によると、この歴史から、小さい頃には学校で同級生に差別を受け、名前でなく「東条英機のひ孫」と呼ばれた。だが両親は東条氏に、黙って言わせておくようにと言った。東条氏は歴史の授業が嫌いになり、できるだけ人の注意を引かないようにしていた。東条氏はいつも、「悪魔の子孫」という境遇から抜け出したいと思っていた。
だが時間が経つにつれ、東条氏の考えは変わっていった。第2次大戦における日本の敵と関係を修復し、歴史の重荷を下ろす手伝いができないかと考えるようになったのである。東条氏は、米国の元大統領・トルーマンの孫であるダニエル氏と連絡を取り、講演などの方式でともに平和を訴えようと提案した。東条氏は、曽祖父の罪を晴らそうという意図はなく、巨大な歴史のレガシーを抱えた家族の一員としての苦しみをダニエル氏と共有したいと考えたのだという。「私と違って、ダニエル氏は勝った側だ。だが広島と長崎に原子爆弾を投下したトルーマンの孫である彼がどう考えているのかを知りたいとも思った」。AP通信によると、ダニエル氏は、核兵器廃絶を訴える社会運動に取り組み続けている。
日本と周辺の国々との関係を改善したいと考える戦犯の子孫は東条氏だけではない。東条英機と同時期に靖国神社に合祀された戦犯の一人に、戦中の外交官・東郷茂徳がいる。東郷茂徳の孫で自身も外交官だった東郷和彦氏は退官後も、靖国問題の外交手段での解決に取り組んでいる。東郷氏は7月に出版した『危機の外交』で、第2次大戦の被害国との間で双方の認められる解決方法が見つかるまで、自らの祖父を含むA級戦犯の名前を靖国神社から一時的に取り除くことを提案している。東郷氏は、「現在最も厄介な政治的議題を取り除くことが最重要」とし、「この難題を解決するために重要なのは日本自らが反省することだ。同時に、外交手段を通じて問題を解決することも重要で、そうすれば靖国神社も問題ではなくなる」(注:中国語からの翻訳)としている。
「環球時報」の記者の見るところ、東条英利氏は最近、非常に活発に活動している。15日には、テレビ東京の戦後70周年の特別番組にも出演。東条氏はこの番組で、日本の芸人の田村淳らと靖国神社を訪れ、「靖国神社はどのような神社か」を説明していた。
(チャイナネット)
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