『日本青書(2015)』発表会並びに日本情勢シンポジウムの現場(彭純 撮影)
【新華社北京5月15日】『日本青書(2015)』発表会並びに日本情勢シンポジウムが5月13日午後、北京で開催された。青書編集長で、中国社会科学院日本研究所の李薇所長、社会科学文献出版社の周麗副編集長及び中国社会科学院の関係職能局の指導者、青書作成者代表らが会議に出席し、談話を発表した。
『日本青書(2015)』は総論、政治安全編、対外関係編、経済社会編及び付録の5つの章で構成されている。2014年の日本の国家戦略、安全保障政策、対外関係、行政改革及びエネルギー、人口、思想と意識、ニュースメディアなどの経済社会の多くの分野の動向に対しモニタリングと分析を行っている。また、2014年度日本の主な出来事を収録している。
青書は安倍内閣の2014年の内政、外交、経済などを総括している。
青書は次のように指摘している。2014年に安倍内閣は内政で安全保障方面の「三本の矢」の実施に早急に取り組み、憲法解釈の改定を通じて、集団的自衛権行使を解禁したことは、日本が69年(1945年の敗戦後)ぶりに再び「戦争を行うことができる国家」になり、「全面的正常化」路線の追求に徹底的に踏み出したことを意味する。外交では「戦略的外交」を全面的に推進し、日米同盟を強化すると同時に、欧州との協力も強化し、日米欧の三極の協調を推進し、東南アジアを陣営に引き込んでいるが、隣国関係との改善に実質的な進展は見られない。経済では、2014年4月1日に消費税率を引き上げた後、日本の内需が深刻な打撃を受け、その後の経済は6カ月連続でマイナス成長に陥った。「アベノミクス」の円安に乗じて輸出拡大を図り、内需の縮小を補うという見通しも外れた。
青書はまた、次のような見解を示している。2015年,安倍内閣はいわゆる「日本再建」の戦略目標に向かって前進し続ける。この目標は次の内容を含む。「強軍」を核心とし、安全保障法制を整備する。日米同盟を基軸に、『日米防衛協力のための指針』を改定する。集団的自衛権行使の解禁を実施するため、『自衛隊法』、『周辺事態法』などの関連法律の修正を推進する。関係調査で、日本の民衆が最も関心を示しているのは経済、民生問題であることがわかった。このため、「安全保障の特色」が際立つ「安倍路線」は、日本の主流の民意と著しく離反し、日本国内で強い制約を受けると見られる。
青書は2015年の中日関係の動向を次のように展望している。歴史的な転換期にある中日関係はまさに深層からの張り合うと協力が並行する状態に突入している。中日は4つの原則的共通認識の実行を前提に、多数の分野における協力と民間、政党、地方交流が発展していくと予想される。国際的な多国間会議を契機としたハイレベル会談も増える可能性が高く、国民感情の対立緩和が期待される。しかし、中日関係の改善の基盤は依然として脆弱で、政治関係の明らかな改善は尚、不確実であり、経済関係の全面的な改善は一定の制限を受ける。特に、安倍内閣は日本敗戦70周年に発表する「安倍談話」が今後の一時期の中日関係の行方に直接的な影響を及ぼすと言える。
『日本青書(2015)』は、『日本青書:日本研究報告(2015)』と称され、中華日本学会、中国社会科学院日本研究所及び社会科学文献出版社が共同で作成した。(取材/彭純)