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習近平主席のダボス・アジェンダでの特別演説全文
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2021-01-28 14:56:11 | 新華社 | 編集: 张一

【新華社北京1月28日】中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は25日、世界経済フォーラム(WEF)のオンライン会合「ダボス・アジェンダ」に北京から出席し、「多国間主義のトーチで人類の前途を照らそう」と題する特別演説を行った。全文は次の通り。

多国間主義のトーチで人類の前途を照らそう

―世界経済フォーラムのオンライン会合「ダボス・アジェンダ」における特別演説(2021年1月25日)

  習近平 中華人民共和国主席

尊敬するシュワブ会長

出席の皆さん、友人の皆さん

過去1年、突如起きた新型コロナウイルス感染症が世界中に猛威を振るい、世界の公衆衛生が深刻な脅威に直面し、世界経済が深い衰退に陥り、人類は史上まれに見る多重危機を経験した。

この一年、各国人民は極めて大きな決意と勇気で、病魔と決死の闘いを展開し、科学と理性の力に依拠し、人道主義の精神を発揚し、世界の新型コロナ感染症対策で初歩的成果を収めた。現在、感染症の終息にはまだほど遠く、最近は再流行が見られ、闘いは依然続いている。しかし、われわれは、寒い冬が春への歩みを阻むことはできないし、暗夜が黎明の曙光を遮ることもできないと信じている。人類は必ず感染症に打ち勝ち、災難との闘争の中で成長、進歩し、苦難の中から再生することができる。

出席の皆さん、友人の皆さん

歴史は常に絶えず前進し、世界は前には戻れない。われわれの今日の一つ一つの選択、一つ一つ行動がみな世界の未来を決定付けるものである。われわれはこの時代が直面する四大課題を解決しなければならない。

第一、マクロ経済政策の協調を強化し、力強く持続可能で、バランスが取れ、包摂的な世界経済の成長を共同で推進する。人類は現在、第二次世界大戦終結以来、最も深刻な経済衰退に遭遇し、各大経済セクターが史上初めて同時に深刻なダメージを受け、グローバル産業チェーン・サプライチェーンの運用が阻害され、貿易・投資活動の低迷が続いている。各国が数兆ドル(1ドル=約104円)の経済救済措置を打ち出しているが、世界経済回復の勢いは依然非常に不安定で、前途には非常に大きな不確実性がある。われわれは現状を把握し、感染症予防・抑制と経済発展を一体化し、マクロ経済政策支援を強化し、世界経済を早期に危機の影から抜け出させ、また将来を見据え、決意を固めて世界経済の原動力転換、方式転換、構造調整を推進し、世界経済を長期的かつ健全で安定した発展の軌道に乗せなければならない。

第二、イデオロギー的偏見を捨て、平和共存と互恵ウィンウィンの道を共に歩む。世界に完全に同じ木の葉はなく、完全に同じ歴史文化、社会制度もない。各国の歴史文化と社会制度にはそれぞれ優れた点があり、高低も優劣もなく、鍵はそれぞれの国情にかなっているか否か、人民の擁護、支持を得ることができるか否か、政治安定、社会進歩、民生改善をもたらすことができるか否か、人類進歩事業に貢献できるか否かにある。各国の歴史文化と社会制度の違いは昔から存在し、人類文明の内的属性である。多様性がなければ、人類文明はない。多様性は客観的現実で、長期にわたり存在するものである。違いは恐れるべきものではなく、恐れるべきは傲慢、偏見、敵視で、恐れるべきは人類文明をさまざまな等級に分けること、恐れるべきは自らの歴史文化と社会制度を他人に押し付けることだ。各国は相互尊重と「求同存異(小異を残して大同につくこと)」を踏まえ平和共存を実現し、各国の交流・相互参照を促進し、人類文明発展・進歩のため原動力を注入しなければならない。

第三、先進国と発展途上国の発展格差を克服し、各国の発展と繁栄を共に推進する。現在、公平の問題が日増しに目立ち、南北格差が埋まることが待たれ、持続可能な発展事業が厳しい課題に直面している。感染症が広がる中、各国経済の回復に二分化がみられ、南北発展格差が拡大さらには固定化のリスクに直面している。幅広い発展途上国は発展のためのより多くの資源と余地の獲得を普遍的に待望し、グローバル経済ガバナンスの中でより多くの代表性と発言権の享受を要求している。発展途上国が発展すれば、全世界の繁栄・安定により堅固な基礎が得られ、先進国もそこから利益を得ることができることを見て取らなければならない。国際社会は将来を見据え、約束を守り、発展途上国の発展のために必要な支援を行い、発展途上国の正当な発展の権益を保障し、権利の平等、機会の平等、ルールの平等を促し、各国人民が発展のチャンスと成果を共有するようにしなければならない。

第四、世界的な課題に手を携え対応し、人類の美しい未来を共に創造する。経済グローバル化時代にあって、新型コロナウイルス感染症のような突発的な公衆衛生上の事態は決して今回が最後ではなく、世界の公衆衛生ガバナンスの強化が待たれる。地球は人類が生存するための唯一のふるさとで、気候変動対応に力を入れ、持続可能な発展を図ることは人類の前途・未来に関わるものである。人類が直面するすべてのグローバルな問題は、いかなる国も単独で解決できるものではなく、世界中が行動し、対応し、協力しなければならない。

出席の皆さん、友人のみなさん

世界の問題は複雑に錯綜しており、問題解決の道は多国間主義を守り、実践し、人類運命共同体の構築を推進することである。

―われわれは閉鎖・排他ではなく、開放・包摂を堅持しなければならない。多国間主義の要の意義は国際的なことは皆が話し合って取り組み、世界の前途・運命を各国が共に手にすることにある。国際的な「小さなグループ」や「新冷戦」を進め、他を排斥、威嚇、脅迫し、何かというとすぐにデカップリング、供給遮断、制裁に出て、人為的に相互隔離、さらには隔絶を作り出すなら、世界を分裂さらには対抗に向かわせるだけである。分裂した世界は人類が直面する共通の挑戦に対応できず、対抗は人類を袋小路に陥らせる。この問題で人類はすでに痛ましい代償を払った。前人の教訓はすぐ目の前にある。われわれは決してかつての道を歩んではならない。

われわれは人類運命共同体の理念を堅持し、平和、発展、公平、正義、民主、自由の全人類共通の価値を堅守し、イデオロギーの偏見から脱し、協力の仕組み、理念、政策の開放性と包摂性を最大限強め、世界の平和と安定を共に守らなければならない。開放型世界経済を築き、多角的貿易体制を断固守り、差別的、排他的基準、ルール、システムをやらず、貿易、投資、技術を分断する高い障壁を作ってはならない。20カ国・地域(G20)の主要世界経済ガバナンス・プラットフォームとしての位置付けを固め、マクロ経済政策の協調を緊密にし、グローバル産業チェーン・サプライチェーンの安定・円滑化を維持し、グローバル金融システムの安定を維持し、構造改革を推進し、世界の総需要を拡大し、世界経済の質的に一層高く、強じん性を一層有する発展の実現を後押ししなければならない。

―われわれは独り善がりではなく、国際法・ルールを基礎とすることを堅持しなければならない。中国の古人は「法は治のはじまりなり」と言った。国際社会は各国が合意したルールと共通認識で統治すべきで、一カ国や数カ国が命令するものではない。国連憲章は広く認められた国と国の関係の基本準則である。こうした国際社会が共同で定め、広く認められている国際法・ルールがなければ、世界は最終的に弱肉強食のジャングルの法則に陥り、人類社会に壊滅的結果をもたらすことになる。

われわれは国際法治を励行し、揺るぎなく国連を核心とする国際体系を守り、国際法を基礎とする国際秩序を守らなければならない。多国間機関は多国間主義を実践するプラットフォームであり、多国間主義を守る基本的枠組みでもあり、その権威性と有効性は当然守られなければならない。制度とルールによって各国の関係を調整、規範化することを堅持し、強さを頼りにした弱い者いじめに反対しなければならない。腕の太さ、拳の大きさで決まるべきでなく、多国間主義の名の下に、実際には一国主義をやるようなことがあってはならない。原則を堅持し、ルールが決まれば、みな有効に順守しなければならない。「選択的多国主義」がわれわれの選択となってはならない。

―われわれは衝突・対抗ではなく、協議・協力を堅持しなければならない。各国の歴史文化と社会制度の違いは対立・対抗の理由ではなく、協力の原動力である。違いを尊重、包摂し、他国の内政に干渉せず、協議・対話を通じ、意見の相違を解決しなければならない。歴史と現実がわれわれに繰り返し教えているように、現在の世界が対立・対抗の岐路に進めば、「冷たい戦争」でも、「熱い戦争」でも、貿易戦争でも科学技術戦争でも、最終的に各国の利益を損ない、人民の福祉を犠牲にすることになる。

われわれは冷戦思考、ゼロサムゲームの古い理念を捨て、相互尊重・理解を堅持し、戦略的意思疎通で政治面の相互信頼を増進しなければならない。互恵ウィンウィンの協力観を厳守し、災いを隣人に押しやり、私利をはかる狭隘な政策を拒否し、発展の優位性を独占する一方的やり方を放棄し、各国の平等発展の権利を保障し、共同発展・繁栄を促進しなければならない。公平・公正を基礎とする競争を提唱し、互いに攻撃し、死ぬか生きるかの格闘技ではなく、追いつ追われつして共に向上する陸上競技を行うべきだ。

―われわれは現状に甘んじて進歩を求めないのではなく、時代と共に前進することを堅持しなければならない。世界は現在、この百年なかった大変局を経験しており、大発展の時代であり、大変革の時代でもある。21世紀の多国間主義は正しさを守って新しさを出し、未来を志向し、多国間主義の核心の価値と基本原則を堅持し、また世界の枠組みの変化を踏まえ、世界的挑戦に対応するニーズを見据え、幅広く協議し、共通認識を凝集したうえで、グローバル・ガバナンスシステムを改革し、整えなければならない。

われわれは世界保健機関(WHO)の役割を発揮させ、人類衛生健康共同体を築かなければならない。世界貿易機関(WTO)と国際金融通貨システムの改革を推進し、世界経済の成長を促し、発展途上国の発展の権益と余地を保障しなければならない。人を中心とし、事実に基づく政策方向を堅持し、グローバル・デジタル・ガバナンスのルールを模索、制定しなければならない。気候変動対応「パリ協定」を実行し、グリーン(環境に配慮した)発展を促進しなければならない。発展優先を堅持し、国連の持続可能な開発のための2030アジェンダを実行に移し、各国、特に発展途上国が世界の発展による恩恵を共有することを確実にしなければならない。

出席の皆さん、友人の皆さん

中国人民は長期にわたる奮闘を経て、小康(ややゆとりのある)社会全面完成の勝利を目の前にし、貧困脱却の難関攻略で歴史的成果を収め、現代的社会主義国家全面建設の新たな道のりを開いた。われわれは新たな発展段階を踏まえ、新たな発展理念を貫徹し、国内大循環を主体として国内と国際の双循環が促進し合う新たな発展の枠組を積極的に構築し、各国と共に平和が永続し、普遍的に安全で、共に繁栄し、開放・包摂で、クリーンで美しい世界を共に築く。

中国は引き続き感染症対策の国際協力に積極的に参加する。感染症対策は国際社会が直面する最も差し迫った任務である。これは人民至上、生命至上を堅持するうえでの基本的要求であり、また経済安定回復の基本的前提である。われわれは団結・協力を深め、情報共有と共同予防・抑制を強化し、世界の感染症阻止戦に断固勝利しなければならない。特にワクチン研究開発・生産・分配協力を強化し、ワクチンを真に各国の人々が利用、負担できる公共財にしなければならない。中国はこれまでに150余りの国と13の国際機関に感染対策援助を行い、支援を必要とする国に36の医療専門家チームを派遣し、ワクチン国際協力を積極的に支持し、参加している。中国は引き続き各国と感染症予防・抑制の有益な経験を共有し、感染症対応能力の弱い国と地域に力の及ぶ限りの支援を行う。発展途上国がワクチンを利用、負担できるよう図り、世界が感染症に早期に完全に勝利するよう後押しする。

―中国は引き続き互恵ウィンウィンの開放戦略を実施する。経済グローバル化は社会生産力発展の客観的要求であり、科学技術進歩の必然的結果であり、パンデミックを利用して「脱グローバル化」をやること、封じ込め・デカップリングをやることは、いかなる国の利益にも合致しない。中国は常に経済グローバル化を支持し、対外開放の基本国策を断固実施する。中国は引き続き貿易・投資の自由化、円滑化を促進し、世界の産業チェーン・サプライチェーンの円滑化・安定を維持し、質の高い「一帯一路」共同建設を推進する。中国は規則、制度、管理、基準などの制度型開放の推進に力を入れ、市場化、法治化、国際化ビジネス環境を持続的に築き、超大市場の優位性と内需の潜在力を生かし、各国の協力により多くのチャンスをもたらし、世界経済の回復・成長により多くの原動力を注入する。

―中国は引き続き持続可能な発展を促進する。中国は国連の持続可能な開発のための2030アジェンダを全面的に実行する。中国はエコ文明建設を強化し、産業構造、エネルギー構造の調整、最適化を加速し、グリーン低炭素の生産・生活方式を提唱する。私は既に中国が2030年までに二酸化炭素排出量をピークアウトさせ、60年までにカーボンニュートラル(炭素中立)を実現させるよう努めていくと宣言した。この目標を実現するには極めて大きな困難を伴う努力が必要だ。われわれは、中国が全人類の有益になることを当然のこととして取り組み、しっかりやるべきだと考える。既定の目標の実現を確実にするため中国は現在、行動プランを策定中で、既に具体的措置を取り始めた。中国がこうするのは、実際の行動で多国間主義を実践し、われわれの共通のふるさとを守り、人類の持続可能な発展の実現に貢献するためである。

―中国は引き続き科学技術イノベーションを推進する。科学技術イノベーションは人類社会発展の重要なエンジンであり、多くの世界的挑戦に対応する強力な武器であり、中国の新たな発展の枠組み構築と質の高い発展を実現するうえで通らなければならない道でもある。中国は科学技術に対する投入を増やし、イノベーションシステム作りに力を入れ、科学技術の成果を現実の生産力に転換させ、知的財産権の保護に力を入れ、イノベーション駆動に依拠した内包型成長の実現を推進する。科学技術の成果は全人類に幸福をもたらすものであるべきで、他の国の発展を制限、阻止する手段としてはならない。中国は一段と開放する考えと措置で科学技術の国際交流・協力を推進し、各国と手を携えて開放、公平、公正で差別のない科学技術発展環境を築き、互恵共有を促進する。

―中国は引き続き新型国際関係の構築を推進する。ゼロサムゲームや勝者総取りは中国人の処世哲学ではない。中国は独立自主の平和外交政策を断固進め、対話によって意見の相違を埋め、交渉によって紛争を解消し、相互尊重と平等互恵を踏まえ、各国との友好協力関係を積極的に発展させるため努力している。発展途上国の不動の一員として中国は南南協力を絶えず深め、発展途上国の貧困削減、債務圧力緩和、経済成長実現のため貢献する。中国はグローバル経済ガバナンスに一段と積極的に参加し、経済グローバル化を一段と開放、包摂、恩恵、バランス、ウィンウィンの方向に発展させる。

出席の皆さん、友人の皆さん

人類には一つの地球しかなく、また人類には一つの共通の未来しかない。目下の危機への対応は無論、すばらしい未来を共に築くうえでも、人類はいつも同舟相救い、団結協力しなければならない。実践で繰り返し証明されているように、災いを隣人に押しやるいかなるやり方も、単独で闘ういかなる考えも、自ら孤高だと思い陶酔するいかなる傲慢さもも、最後には必ず失敗に終わる。われわれは手を携え、多国間主義のトーチが人類の前途を照らすようにし、人類運命共同体の構築に向かって絶えずまい進しようではないか。

皆さん、ありがとう。

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新華網日本語

習近平主席のダボス・アジェンダでの特別演説全文

新華網日本語 2021-01-28 14:56:11

【新華社北京1月28日】中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は25日、世界経済フォーラム(WEF)のオンライン会合「ダボス・アジェンダ」に北京から出席し、「多国間主義のトーチで人類の前途を照らそう」と題する特別演説を行った。全文は次の通り。

多国間主義のトーチで人類の前途を照らそう

―世界経済フォーラムのオンライン会合「ダボス・アジェンダ」における特別演説(2021年1月25日)

  習近平 中華人民共和国主席

尊敬するシュワブ会長

出席の皆さん、友人の皆さん

過去1年、突如起きた新型コロナウイルス感染症が世界中に猛威を振るい、世界の公衆衛生が深刻な脅威に直面し、世界経済が深い衰退に陥り、人類は史上まれに見る多重危機を経験した。

この一年、各国人民は極めて大きな決意と勇気で、病魔と決死の闘いを展開し、科学と理性の力に依拠し、人道主義の精神を発揚し、世界の新型コロナ感染症対策で初歩的成果を収めた。現在、感染症の終息にはまだほど遠く、最近は再流行が見られ、闘いは依然続いている。しかし、われわれは、寒い冬が春への歩みを阻むことはできないし、暗夜が黎明の曙光を遮ることもできないと信じている。人類は必ず感染症に打ち勝ち、災難との闘争の中で成長、進歩し、苦難の中から再生することができる。

出席の皆さん、友人の皆さん

歴史は常に絶えず前進し、世界は前には戻れない。われわれの今日の一つ一つの選択、一つ一つ行動がみな世界の未来を決定付けるものである。われわれはこの時代が直面する四大課題を解決しなければならない。

第一、マクロ経済政策の協調を強化し、力強く持続可能で、バランスが取れ、包摂的な世界経済の成長を共同で推進する。人類は現在、第二次世界大戦終結以来、最も深刻な経済衰退に遭遇し、各大経済セクターが史上初めて同時に深刻なダメージを受け、グローバル産業チェーン・サプライチェーンの運用が阻害され、貿易・投資活動の低迷が続いている。各国が数兆ドル(1ドル=約104円)の経済救済措置を打ち出しているが、世界経済回復の勢いは依然非常に不安定で、前途には非常に大きな不確実性がある。われわれは現状を把握し、感染症予防・抑制と経済発展を一体化し、マクロ経済政策支援を強化し、世界経済を早期に危機の影から抜け出させ、また将来を見据え、決意を固めて世界経済の原動力転換、方式転換、構造調整を推進し、世界経済を長期的かつ健全で安定した発展の軌道に乗せなければならない。

第二、イデオロギー的偏見を捨て、平和共存と互恵ウィンウィンの道を共に歩む。世界に完全に同じ木の葉はなく、完全に同じ歴史文化、社会制度もない。各国の歴史文化と社会制度にはそれぞれ優れた点があり、高低も優劣もなく、鍵はそれぞれの国情にかなっているか否か、人民の擁護、支持を得ることができるか否か、政治安定、社会進歩、民生改善をもたらすことができるか否か、人類進歩事業に貢献できるか否かにある。各国の歴史文化と社会制度の違いは昔から存在し、人類文明の内的属性である。多様性がなければ、人類文明はない。多様性は客観的現実で、長期にわたり存在するものである。違いは恐れるべきものではなく、恐れるべきは傲慢、偏見、敵視で、恐れるべきは人類文明をさまざまな等級に分けること、恐れるべきは自らの歴史文化と社会制度を他人に押し付けることだ。各国は相互尊重と「求同存異(小異を残して大同につくこと)」を踏まえ平和共存を実現し、各国の交流・相互参照を促進し、人類文明発展・進歩のため原動力を注入しなければならない。

第三、先進国と発展途上国の発展格差を克服し、各国の発展と繁栄を共に推進する。現在、公平の問題が日増しに目立ち、南北格差が埋まることが待たれ、持続可能な発展事業が厳しい課題に直面している。感染症が広がる中、各国経済の回復に二分化がみられ、南北発展格差が拡大さらには固定化のリスクに直面している。幅広い発展途上国は発展のためのより多くの資源と余地の獲得を普遍的に待望し、グローバル経済ガバナンスの中でより多くの代表性と発言権の享受を要求している。発展途上国が発展すれば、全世界の繁栄・安定により堅固な基礎が得られ、先進国もそこから利益を得ることができることを見て取らなければならない。国際社会は将来を見据え、約束を守り、発展途上国の発展のために必要な支援を行い、発展途上国の正当な発展の権益を保障し、権利の平等、機会の平等、ルールの平等を促し、各国人民が発展のチャンスと成果を共有するようにしなければならない。

第四、世界的な課題に手を携え対応し、人類の美しい未来を共に創造する。経済グローバル化時代にあって、新型コロナウイルス感染症のような突発的な公衆衛生上の事態は決して今回が最後ではなく、世界の公衆衛生ガバナンスの強化が待たれる。地球は人類が生存するための唯一のふるさとで、気候変動対応に力を入れ、持続可能な発展を図ることは人類の前途・未来に関わるものである。人類が直面するすべてのグローバルな問題は、いかなる国も単独で解決できるものではなく、世界中が行動し、対応し、協力しなければならない。

出席の皆さん、友人のみなさん

世界の問題は複雑に錯綜しており、問題解決の道は多国間主義を守り、実践し、人類運命共同体の構築を推進することである。

―われわれは閉鎖・排他ではなく、開放・包摂を堅持しなければならない。多国間主義の要の意義は国際的なことは皆が話し合って取り組み、世界の前途・運命を各国が共に手にすることにある。国際的な「小さなグループ」や「新冷戦」を進め、他を排斥、威嚇、脅迫し、何かというとすぐにデカップリング、供給遮断、制裁に出て、人為的に相互隔離、さらには隔絶を作り出すなら、世界を分裂さらには対抗に向かわせるだけである。分裂した世界は人類が直面する共通の挑戦に対応できず、対抗は人類を袋小路に陥らせる。この問題で人類はすでに痛ましい代償を払った。前人の教訓はすぐ目の前にある。われわれは決してかつての道を歩んではならない。

われわれは人類運命共同体の理念を堅持し、平和、発展、公平、正義、民主、自由の全人類共通の価値を堅守し、イデオロギーの偏見から脱し、協力の仕組み、理念、政策の開放性と包摂性を最大限強め、世界の平和と安定を共に守らなければならない。開放型世界経済を築き、多角的貿易体制を断固守り、差別的、排他的基準、ルール、システムをやらず、貿易、投資、技術を分断する高い障壁を作ってはならない。20カ国・地域(G20)の主要世界経済ガバナンス・プラットフォームとしての位置付けを固め、マクロ経済政策の協調を緊密にし、グローバル産業チェーン・サプライチェーンの安定・円滑化を維持し、グローバル金融システムの安定を維持し、構造改革を推進し、世界の総需要を拡大し、世界経済の質的に一層高く、強じん性を一層有する発展の実現を後押ししなければならない。

―われわれは独り善がりではなく、国際法・ルールを基礎とすることを堅持しなければならない。中国の古人は「法は治のはじまりなり」と言った。国際社会は各国が合意したルールと共通認識で統治すべきで、一カ国や数カ国が命令するものではない。国連憲章は広く認められた国と国の関係の基本準則である。こうした国際社会が共同で定め、広く認められている国際法・ルールがなければ、世界は最終的に弱肉強食のジャングルの法則に陥り、人類社会に壊滅的結果をもたらすことになる。

われわれは国際法治を励行し、揺るぎなく国連を核心とする国際体系を守り、国際法を基礎とする国際秩序を守らなければならない。多国間機関は多国間主義を実践するプラットフォームであり、多国間主義を守る基本的枠組みでもあり、その権威性と有効性は当然守られなければならない。制度とルールによって各国の関係を調整、規範化することを堅持し、強さを頼りにした弱い者いじめに反対しなければならない。腕の太さ、拳の大きさで決まるべきでなく、多国間主義の名の下に、実際には一国主義をやるようなことがあってはならない。原則を堅持し、ルールが決まれば、みな有効に順守しなければならない。「選択的多国主義」がわれわれの選択となってはならない。

―われわれは衝突・対抗ではなく、協議・協力を堅持しなければならない。各国の歴史文化と社会制度の違いは対立・対抗の理由ではなく、協力の原動力である。違いを尊重、包摂し、他国の内政に干渉せず、協議・対話を通じ、意見の相違を解決しなければならない。歴史と現実がわれわれに繰り返し教えているように、現在の世界が対立・対抗の岐路に進めば、「冷たい戦争」でも、「熱い戦争」でも、貿易戦争でも科学技術戦争でも、最終的に各国の利益を損ない、人民の福祉を犠牲にすることになる。

われわれは冷戦思考、ゼロサムゲームの古い理念を捨て、相互尊重・理解を堅持し、戦略的意思疎通で政治面の相互信頼を増進しなければならない。互恵ウィンウィンの協力観を厳守し、災いを隣人に押しやり、私利をはかる狭隘な政策を拒否し、発展の優位性を独占する一方的やり方を放棄し、各国の平等発展の権利を保障し、共同発展・繁栄を促進しなければならない。公平・公正を基礎とする競争を提唱し、互いに攻撃し、死ぬか生きるかの格闘技ではなく、追いつ追われつして共に向上する陸上競技を行うべきだ。

―われわれは現状に甘んじて進歩を求めないのではなく、時代と共に前進することを堅持しなければならない。世界は現在、この百年なかった大変局を経験しており、大発展の時代であり、大変革の時代でもある。21世紀の多国間主義は正しさを守って新しさを出し、未来を志向し、多国間主義の核心の価値と基本原則を堅持し、また世界の枠組みの変化を踏まえ、世界的挑戦に対応するニーズを見据え、幅広く協議し、共通認識を凝集したうえで、グローバル・ガバナンスシステムを改革し、整えなければならない。

われわれは世界保健機関(WHO)の役割を発揮させ、人類衛生健康共同体を築かなければならない。世界貿易機関(WTO)と国際金融通貨システムの改革を推進し、世界経済の成長を促し、発展途上国の発展の権益と余地を保障しなければならない。人を中心とし、事実に基づく政策方向を堅持し、グローバル・デジタル・ガバナンスのルールを模索、制定しなければならない。気候変動対応「パリ協定」を実行し、グリーン(環境に配慮した)発展を促進しなければならない。発展優先を堅持し、国連の持続可能な開発のための2030アジェンダを実行に移し、各国、特に発展途上国が世界の発展による恩恵を共有することを確実にしなければならない。

出席の皆さん、友人の皆さん

中国人民は長期にわたる奮闘を経て、小康(ややゆとりのある)社会全面完成の勝利を目の前にし、貧困脱却の難関攻略で歴史的成果を収め、現代的社会主義国家全面建設の新たな道のりを開いた。われわれは新たな発展段階を踏まえ、新たな発展理念を貫徹し、国内大循環を主体として国内と国際の双循環が促進し合う新たな発展の枠組を積極的に構築し、各国と共に平和が永続し、普遍的に安全で、共に繁栄し、開放・包摂で、クリーンで美しい世界を共に築く。

中国は引き続き感染症対策の国際協力に積極的に参加する。感染症対策は国際社会が直面する最も差し迫った任務である。これは人民至上、生命至上を堅持するうえでの基本的要求であり、また経済安定回復の基本的前提である。われわれは団結・協力を深め、情報共有と共同予防・抑制を強化し、世界の感染症阻止戦に断固勝利しなければならない。特にワクチン研究開発・生産・分配協力を強化し、ワクチンを真に各国の人々が利用、負担できる公共財にしなければならない。中国はこれまでに150余りの国と13の国際機関に感染対策援助を行い、支援を必要とする国に36の医療専門家チームを派遣し、ワクチン国際協力を積極的に支持し、参加している。中国は引き続き各国と感染症予防・抑制の有益な経験を共有し、感染症対応能力の弱い国と地域に力の及ぶ限りの支援を行う。発展途上国がワクチンを利用、負担できるよう図り、世界が感染症に早期に完全に勝利するよう後押しする。

―中国は引き続き互恵ウィンウィンの開放戦略を実施する。経済グローバル化は社会生産力発展の客観的要求であり、科学技術進歩の必然的結果であり、パンデミックを利用して「脱グローバル化」をやること、封じ込め・デカップリングをやることは、いかなる国の利益にも合致しない。中国は常に経済グローバル化を支持し、対外開放の基本国策を断固実施する。中国は引き続き貿易・投資の自由化、円滑化を促進し、世界の産業チェーン・サプライチェーンの円滑化・安定を維持し、質の高い「一帯一路」共同建設を推進する。中国は規則、制度、管理、基準などの制度型開放の推進に力を入れ、市場化、法治化、国際化ビジネス環境を持続的に築き、超大市場の優位性と内需の潜在力を生かし、各国の協力により多くのチャンスをもたらし、世界経済の回復・成長により多くの原動力を注入する。

―中国は引き続き持続可能な発展を促進する。中国は国連の持続可能な開発のための2030アジェンダを全面的に実行する。中国はエコ文明建設を強化し、産業構造、エネルギー構造の調整、最適化を加速し、グリーン低炭素の生産・生活方式を提唱する。私は既に中国が2030年までに二酸化炭素排出量をピークアウトさせ、60年までにカーボンニュートラル(炭素中立)を実現させるよう努めていくと宣言した。この目標を実現するには極めて大きな困難を伴う努力が必要だ。われわれは、中国が全人類の有益になることを当然のこととして取り組み、しっかりやるべきだと考える。既定の目標の実現を確実にするため中国は現在、行動プランを策定中で、既に具体的措置を取り始めた。中国がこうするのは、実際の行動で多国間主義を実践し、われわれの共通のふるさとを守り、人類の持続可能な発展の実現に貢献するためである。

―中国は引き続き科学技術イノベーションを推進する。科学技術イノベーションは人類社会発展の重要なエンジンであり、多くの世界的挑戦に対応する強力な武器であり、中国の新たな発展の枠組み構築と質の高い発展を実現するうえで通らなければならない道でもある。中国は科学技術に対する投入を増やし、イノベーションシステム作りに力を入れ、科学技術の成果を現実の生産力に転換させ、知的財産権の保護に力を入れ、イノベーション駆動に依拠した内包型成長の実現を推進する。科学技術の成果は全人類に幸福をもたらすものであるべきで、他の国の発展を制限、阻止する手段としてはならない。中国は一段と開放する考えと措置で科学技術の国際交流・協力を推進し、各国と手を携えて開放、公平、公正で差別のない科学技術発展環境を築き、互恵共有を促進する。

―中国は引き続き新型国際関係の構築を推進する。ゼロサムゲームや勝者総取りは中国人の処世哲学ではない。中国は独立自主の平和外交政策を断固進め、対話によって意見の相違を埋め、交渉によって紛争を解消し、相互尊重と平等互恵を踏まえ、各国との友好協力関係を積極的に発展させるため努力している。発展途上国の不動の一員として中国は南南協力を絶えず深め、発展途上国の貧困削減、債務圧力緩和、経済成長実現のため貢献する。中国はグローバル経済ガバナンスに一段と積極的に参加し、経済グローバル化を一段と開放、包摂、恩恵、バランス、ウィンウィンの方向に発展させる。

出席の皆さん、友人の皆さん

人類には一つの地球しかなく、また人類には一つの共通の未来しかない。目下の危機への対応は無論、すばらしい未来を共に築くうえでも、人類はいつも同舟相救い、団結協力しなければならない。実践で繰り返し証明されているように、災いを隣人に押しやるいかなるやり方も、単独で闘ういかなる考えも、自ら孤高だと思い陶酔するいかなる傲慢さもも、最後には必ず失敗に終わる。われわれは手を携え、多国間主義のトーチが人類の前途を照らすようにし、人類運命共同体の構築に向かって絶えずまい進しようではないか。

皆さん、ありがとう。

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