日本侵華罪行館の外観。(資料写真、成都=新華社配信)
【新華社成都9月15日】中国四川省成都市大邑県の安仁鎮に、中国最大の民間博物館「建川博物館」がある。抗日戦争、民俗、紅色年代、汶川大地震(四川大地震)の四大テーマに基づき複数の分館が設けられており、抗日戦争関連では16の分館がある。国や地方政府に登録された文化財3600点余りを含む戦争文化財80万点余りを所蔵している。
館長を務めるのは今年63歳になる樊建川(はん・けんせん)氏。企業家として成功を収めると、1億元(1元=約15円)を超える私財を投じて、旧日本軍の侵略の物証などを長期にわたり収集。2005年に同博物館を設立した。
幾つかの分館の中でも抗日戦争期の日本の犯罪行為を展示する「日本侵華罪行館」は特別な地位を占めており、建築界のノーベル賞とされるプリツカー賞を2019年に受賞した日本の建築家、磯崎新氏が設計を手掛けた。磯崎氏は抗日戦争に関する博物館の設計依頼を引き受けた理由について、両国が末永く平和的に共存するためだとし、より良き未来を得るためには相互理解から始める必要があると説明した。
館内には、当時の日記や手紙、命令書、資料、地図、写真など日本の侵略行為を証明する品々6千点余りが展示されている。8割以上が日本からの寄贈品だという。
樊氏は「われわれ自身は語らずにこれらの戦争遺物に語らせる。日本軍の資料や写真、装備、兵器、将兵の私信を見れば侵略行為を否定することはできない。両国が歴史をかがみとし、友好的に共存を続け、再び戦うことがないことを願う」と述べた。
遺物の収集に当たっては多くの日本人の支援を受けたという。中でも当時兵士として参戦した小林寛澄さんや塩谷保芳さんらは、日本国内で戦争当時の遺物を購入し博物館に寄贈したほか、博物館設立に寄付をし、樊氏が遺物収集で日本を訪れた際にはその活動を支援した。
両氏とも既に故人となったが、樊氏は今でも彼らのことを思い出す。(記者/童芳)