【新華社ジュネーブ3月13日】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は10日、ジュネーブで新華社の取材に応じ、中国では最近になって新型コロナウイルスの感染による肺炎患者の減少傾向が顕著になり、形勢が逆転しウイルスが退却しているとの見方を示した。国際社会は中国が勝ち取った「チャンスの窓口」を十分活用し、ウイルスの広がりを早急に封じこめる必要があると述べた。
テドロス氏は、中国の国連ジュネーブ事務局・スイスのその他国際機関常駐代表を務める陳旭(ちん・きょく)大使と寄付協定を締結した際、このように述べた。中国政府は新型コロナウイルス対策を支援するためWHOに2千万ドル(1ドル=約103円)を寄付した。
テドロス氏は「中国の経験は非常に印象深い。現在、中国の感染の流行は収まりつつあり、明らかな減少を見せている。ウイルスはダメージを受け、退却している。形勢が逆転しうれしく思う」と述べた。
また、今回の成果は中国政府の指導と人民の協力によるものだとの考えを示し、「政府による断固とした誓約がなければ(人民の)強い協力は得られず、実現不可能なものだった。どの国もこのようにすれば、ウイルスの爆発的流行を抑え込むことができるだろう。このことも世界のその他の国々に伝えたいことだ」と話した。
テドロス氏は、感染流行の初期に、中国は病原体を迅速に識別し、それに対するシークエンシングを行い、ウイルスの遺伝子配列を共有したことが、その他の国・地域が診断および予防・抑制措置のためしっかり準備するのに役立ったとし、「事実上、国際社会の前進を助けており、非常に重要なことだ。これら全てを信じられないスピードで成し遂げた」と評価した。
また、武漢市と湖北省で実施した大規模な予防・抑制措置は、中国のその他の省・自治区・直轄市に時間を与え、世界のその他の地域にも準備期間を与えたとした。中国が大規模な予防・抑制行動を取ったことにより、国際社会は「チャンスの窓口」を得ることができたと述べ、その他の国はこの「チャンスの窓口」を十分活用し、感染患者が見つかればすぐに抑制措置を取り、ウイルスの広がりを早急に封じこめる必要があると強調した。
テドロス氏は、新型コロナウイルスは強い感染力を持った新しいウイルスだが依然として抑制は可能で、「これまでの中国の経験から封じこめは可能」と重ねて述べた。
陳氏は、中国は感染の予防・抑制において実質的な進展を得たが、多くの国でまん延している状況は憂慮されると指摘。人々は強い警戒心を持ち続けなければならないとした上で、中国は自国の予防・抑制をしっかり行うとともに、できる限り助けを必要とする人々に援助の手を差し伸べるとし、「これがWHOに2千万ドルの寄付をした理由だ。WHOの呼び掛けに応え、公衆衛生体制が脆弱(ぜいじゃく)な国の感染拡大防止を支援する」と述べた。
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