4月20日、四川省臥竜国家級自然保護区で撮影された白いジャイアントパンダ。(成都=新華社配信)
【新華社成都5月27日】中国四川省臥竜国家級自然保護区管理局が25日、世界で初めて撮影された白いジャイアントパンダの写真を公開した。同保護区内の標高約2千メートル地点に設置された野外赤外線カメラが4月中旬に撮影した映像で、このパンダ特有の形態や特徴がはっきりと確認できる。
このパンダの毛色は全身白一色で、爪も白く、眼は赤色をしている。専門家の分析によると、画像からわかるこうした外見的特徴から、このパンダはアルビノ(先天性白皮症)の個体と判断できるという。体型からして亜成体かまだ若いパンダで、年齢は1~2歳だとみられる。
IUCN(国際自然保護連合)クマ類専門家グループのメンバーである北京大学生命科学学院の李晟(り・せい)研究員によると、「アルビノ」は脊椎動物の各分類群に広く存在しているが、数としてはいずれも希少とされる。一般には遺伝子の突然変異のため、動物の体内で通常のメラニン色素が合成できないことから、体色が白色や黄白色、または淡黄色になる。単純な突然変異のアルビノの場合、動物の通常の身体構造や生理機能に影響が及ぶことはない。自然環境の中で目立ちやすい、直射日光に比較的敏感になるなどのほかには、通常、動物の活動や繁殖に明らかな影響は見られない。
今回臥竜で撮影されたパンダは、野生のジャイアントパンダの中で記録された初の完全なアルビノの個体で、これは臥竜のジャイアントパンダ生息域の個体群の中にアルビノの突然変異遺伝子が存在することを意味している。画像からわかる個体のがっしりした体格や、しっかりした歩調も、遺伝子変異がパンダの通常の生活に影響を及ぼしていないことを裏付けている。
アルビノの突然変異遺伝子は劣性遺伝する。どの動物の個体にも父母それぞれから伝わる2組の遺伝子が備わり、父方、母方双方の該当遺伝子がいずれも突然変異型であったときのみ、その個体にアルビノの性状が現れる。現時点のデータからはまだ、この個体の性別は判断がつかない。
このパンダと突然変異遺伝子を持たない通常の野生の個体(いわゆる一般的な「白黒」のパンダ)との間で繁殖が成功すれば、一世代目の赤ちゃんの見た目は通常の白黒型になるが、その体内にはアルビノの突然変異遺伝子が1組受け継がれている。さらにその後、共に突然変異遺伝子を持った個体が再び交配・繁殖すると、その子孫の中に2組の遺伝子が共に突然変異型となる状況が出現する可能性があり、その場合、アルビノの個体が現れることになる。臥竜のジャイアントパンダ個体群の中でアルビノの変異遺伝子が伝わり続けるかどうかを確認するには、保護区の継続的な野外モニタリングで観察・研究をしていく必要がある。
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