写真左が旧豊満水力発電所ダム、右が建設中の新ダム。(吉林=新華社記者/張楠)
【新華社長春11月10日】豊満ダム再建プロジェクト建設局によると、近く吉林省吉林市の松花江上流にある豊満水力発電所のダム取り壊しが始まり、同ダムは80年の長きにわたる使命を終えることになるという。取り壊し工事は2019年4月30日に完了する計画。完全には取り壊さず、一部は歴史的建造物として保存する。
豊満水力発電所ダムは1937年に建設を開始、ダムの大部分は偽満州国(日本のかいらい政権)時代に工事が行われた。1943年に第1号発電機が稼働し、1946年から一連の工事や改修などを経て1953年に全体が完成。現在、中国の大型重力式コンクリートダムの中では稼働時間の最も長いものの一つに数えられる。
史料によると、日本軍は1937年、中国を長期的に占領するために、吉林省の豊満で「アジア最大プロジェクト」と称する「松花江水力発電所」の建設を開始した。日本の現場監督、特務工作員、警察の残酷な虐待の下、豊満ダムの建設過程で何千もの中国人労働者が命を失った。遺体は付近の大きな3カ所の溝に投棄され、悪名高い豊満「万人坑(まんにんこう)」となった。
プロジェクト建設局の孟継慧(もう・けいけい)副技師長は、歴史の記録を残すために、ダムを完全には取り壊さず、左右の川岸にそれぞれダムの一部を歴史的建造物として保存する計画であると説明した。
偽満州国時代に建設されたダムはすでに80年近く稼働しており、松花江全流域で最大規模のダムであるが、時間の経過とともに、徐々に水防機能が不足となり、ダムの一部は不安定で、コンクリート強度が低いことなどが弱点となっており、補修では問題を完全に解決することが難しい。
多方面にわたる検証を経て、現在のダムから120メートル下流に転圧コンクリート技術を採用した新しいダムを建設することが決定された。孟副技師長は「新しいダムのコンクリート注入は現在すでに99%まで完了した。新水力発電所総設備容量は148万キロワットで、発電出力は旧発電所より50%近く向上する」と述べた。(記者/段続)