2016ヤブリ氷雪フォーラム 開会の様子
2022年北京冬季五輪の招致成功を背景に、中国ではスキー関連産業が高度成長期を迎えました。スキー産業の研究者、経営者らがこのほど黒竜江省のヤブリで開かれた「2016中国ヤブリ氷雪産業(ウィンタースポーツと冬季レジャー関連産業)発展国際ハイレベルフォーラム」で明らかにされたものです。
それによりますと、2015年、中国のスキー場関連設備の輸入に大きな伸びが見られました。2014-2015シーズン現在、中国全土にある568社のスキー場には、320台の圧雪車と195本のリフト、600本のマジックカーペットが納入されています。このうち、2010~2015年まで、年間輸入台数が15~28台だった圧雪車は2015年には61台、600本あるマジックカーペットのうち、100本が2015年に導入されたものです。リフトの中では一段と高い技術力が求められる自動循環式高速リフトのニーズが高まり、海外との生産協力案件が増え続けています。
また、2022年冬季五輪のスキー種目のメイン会場である張家口崇礼県では、この冬、スキー用品専門店がこれまでの4~5店舗から一気に約30店舗にまで増え、宿泊施設も3桁を突破しました。2016年元旦の3連休では、延べ12.6万人のスキーヤーがここを訪れ、売り上げも人数とともに昨年同期比約3割もの伸びとなりました。張家口は今後5年にわたり、さらに6か所の大型スキー場、200キロのゲレンデを新規に整備するということです。
中国の大衆スキー発祥の地・ヤブリ スキーリゾートに入る入口の道路
北京の冬季五輪招致を背景に、近年、万達や万科に代表される不動産大手も相次いでスキー場開発に巨額な投資を行うようになりました。中でも、世界最先端の設備を導入した万達・長白山スキーリゾートは2013年の開業後、来場者の人数が年々伸びており、今シーズンは昨シーズンの24万人から大幅に増加し、32万人に達する見込みです。
1996年、第3回冬季アジア大会が黒竜江省のヤブリで開かれたのをきっかけに、中国では初の大衆向けスキー場が開業しました。その後、スキー場は主に東北や華北、新疆を中心に数を伸ばしてきましたが、人工降雪技術の発展とともに、上海、四川、雲南など南方各省でも室内や海抜の高い山間部で相次いでスキー場が作られるようになりました。
2022年までの約6年で、中国のスキー場はほぼ倍増し、1100社になると見られています。しかし、その一方では、現在1250万人いるスキー人口は、9割が初心者で占められており、そのうち、初心者から滑り続けていくスキーヤーは全体の2割にも達していません。スキー場の開設ラッシュの中、今後の持続可能な運営、管理に精通する専門職の養成、インストラクターの素養の向上、子ども向けスキーの普及など、多くの課題も抱えています。(取材:王小燕)
氷雪フォーラム会場周辺の様子
ホテル付設の初心者向け小型練習場には多くの若者の姿が見られました
(中国国際放送局)
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