今回の買収は三一にとって海外での初の買収であり、中国がドイツで行う最大の買収ともなる
プツマイスター社は1958年に設立され、業界内では、世界のセメント機械の代表ブランドとして「巨象」との愛称もある。「三一は起業の時からドイツの『巨象』を学習のモデルとしてきた。当時はこれを超えるなどとは予想しておらず、買収など夢にも思っていなかった」と向氏は語る。
だがこのことは「偶然のようでありながら必然でもある」と向氏は指摘する。三一はすでに、ドイツで「ドイツ三一」を設立しており、ここ数年は現地での努力を通じて、欧州経済が低迷する中で高い負債比率に苦しめられていたプツマイスター社が自ら買収を持ちかけるほどとなった。
三一の努力は、中国企業に対する欧州の見方を変えている。「現在も欧州企業数社と協力の交渉を続けている。最大のプロジェクトはフィンランド企業が持ちかけている買収話だ」と向氏は語る。
▽公平な競争環境を求めて挑戦
輝かしい成果を語るのと同時に、向氏は、直面しなければならなかった困難も語ることを忘れなかった。
2012年9月28日、三一の関連会社であるRalls社が、米オレゴン州の海軍軍事基地付近の4つの風力発電所事業を買収した。だが米国外国投資委員会(CFIUS)は、米国の国家安全に脅威を与えるとの理由で、Ralls社に即時の生産停止を求めた。さらにすべての設備が移転されるまでは譲渡してはならないとされた。米オバマ大統領は大統領令を出し、この風力発電プロジェクトの停止を求めた。