【新華社北京4月13日】2013年11月18日、米国のケリー国務長官は、米州機構(OEA)の会議で「モンロー主義は終結した」と宣言した。(1823年にモンロー大統領が出した宣言に由来する米国の外交原理の一つ。アメリカ大陸への不干渉を求めた。孤立主義全般を指す語としても用いられる。)ケリー国務長官はまた、次のように述べた。米国は北米大陸の他国の国内事務に干渉することなく、平等のパートナーシップと共同責任を基盤として、北米大陸諸国との関係を築くために尽力する。南米諸国の経済力と自発的な意識が強まったことで、米国は南米諸国に対する干渉とコントロールを緩めざるを得なくなったと人々は、信じ始めたようだ。
一方で、アルゼンチンの政治評論家、ジョアン·ガブリエル氏からみれば、「モンロー主義」はまだ終結しておらず、米国は「一度も決別したことがない」。対照的に、米国人は「より聡明な方法」で南米諸国への影響力を強固にしている。以前のように単純かつ粗暴に軍事力で干渉するのではなく、政変を企てること、あるいはアメとムチを使い分けることによって、南米諸国を服従させたり、丸め込ませたり、分裂させたりするに過ぎない。なぜなら、米国は「自国の実力が低下し、世界の構造が変化したことを直視する」必要があるからだ。
2001年に米国がテロと闘う戦争を始めて以降、戦略の重点の移行と長期的な放任によって、米国の南米諸国での影響力は低下し続けている。2008年に米国で金融危機が蔓延し、経済力が失速し、対外への資金投入が減少したことによって、米国の南米諸国に対する経済的影響力は大幅に減退した。
これと同時に、南米諸国はバルク品の価格の優位性から益を得て、経済力が絶えず増強し、金融危機によって南米諸国とアジア諸国の経済的な結びつきが加速した。アジア太平洋市場に向け、新興市場諸国との協力を強化することが南米諸国の経済と外交の多元化における重要な方向になっている。
世界の構図の調整、特に過去十数年間における南米諸国地域の新しい変化によって、米国は南米諸国政策により実務的な調整を行うように迫られた。米国が必ず直面するもう一つの現実は、南米諸国地域の大国の台頭と地域一体化の急速な進展だ。実力が向上しているブラジルは、新しい地域リーダーになり、同時に、南米諸国は政治的団結を強め、地域一体化のプロセスを加速してきた。このうち、2011年の米国とカナダを除いた南米諸国とカリブ共同体の発足は、南米諸国が米国主導の西半球システムから離脱した重要で象徴的な出来事となった。
現在の国際的背景のもとで、米国が「モンロー主義」の終結を宣言したことは賢明と言える。しかし、今後にかけて米国がケリー国務長官が述べたように、南米諸国を「平等のパートナー」と位置付け、「どのようにして、又はいつ南米諸国の事務に干渉するという声明を発表しない」かどうかは尚、観察する必要がある。
昨年12月末に、キューバと米国は半世紀にわたる国交断絶を克服し、国交正常化のプロセスに乗り出した。オバマ大統領が提供した政策に対する解釈に「キューバへの制裁が効力のない政策だったことを歴史が立証している。」と記載されてある。しかし、その2カ月後、米国とキューバの関係、さらには南米諸国との関係改善へと期待感が高まりつつあるときに、オバマ大統領が「歴史によって効力がないと立証された制裁政策」を「米国の安全保障に脅威となる」ベネズエラに実施すると宣言した。
発言も、行動もすべて自国の利益が最優先だ。まさに米国の南米諸国に対する政策のこういった二面性が長期的に南米諸国の米国への不信任を招いている。第7回米州サミットの開催を前に、キューバと米国の国交正常化への動きが示唆する米国と南米諸国との関係回復と米国の制裁によるベネズエラと米国の緊張化といった矛盾のある状況下で、会議に出席する南米諸国は、オバマ政権の南米諸国と関係改善に向けた米国側の誠意と動機に疑念を持たずにはいられないだろう。
(新華網日本語)
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