中国科学院成都生物研究所の実験室で試験計画について議論する、合成微生物群・汚水資源化イノベーションチームの研究員。(3月18日撮影、成都=新華社記者/劉坤)
【新華社成都4月1日】中国四川省にある中国科学院成都生物研究所の合成微生物群・汚水資源化イノベーションチームはここ数年、汚染物質の転換と汚水の資源化に関する一連の研究を進めてきた。その結果、微細藻類を利用して処理した生活排水や水産養殖排水、畜産排水、酒造排水、そして「黒臭水(黒くにごり、悪臭を放つ水)」などが、排水基準を満たすだけでなく、飼料やバイオ肥料といった「宝」に変えられることが明らかになった。
同チームの責任者である譚周亮(たん・しゅうりょう)氏は、「微細藻類とは、顕微鏡でないと形状を観察できないほど小さな藻類を指す。われわれは、汚水中に含まれる炭素や窒素、リンなどの元素を『食事』とする微細藻類を選別、培養し、汚水中の汚染物質を飼料やバイオ肥料に転換することで、汚染物質の資源利用や二酸化炭素(CO2)の排出削減といった目標を達成する」と語った。
チームは2016年、クロレラへの重イオンビーム照射の研究を進める中で、突然変異したクロレラ株が窒素やリンを効率よく吸収、同化する能力を持つことを偶然発見。その後、突然変異株のアンモニア態窒素耐性試験、生活排水処理施設での小規模・中規模試験、農村部での生活排水処理実証、水産養殖排水の資源化利用など、一連の研究を展開した。
22年には複数の研究の結果、突然変異藻類株が水産養殖排水や黒臭水の処理に優れた効果を発揮することを発見。処理後の水質が排水基準を満たすだけでなく、回収した藻類には豊富なタンパク質が含まれており、微細藻類が良質な飼料資源となる可能性が証明され、汚水処理とその資源利用の新たな道筋を切り開いた。
24年の実証試験では、微細藻類で処理した生活排水の排出水質が地表水3類基準(水質基準5段階の3番目)を満たした。同年には生活排水の現場で、処理後の藻類を肥料に加工し、その肥効を評価する小規模試験も実施。藻類肥料の利用により化学肥料の使用量を削減できるだけでなく、作物の収量や品質も向上することが分かった。
譚氏は「今後、技術の最適化と普及が進めば、微細藻類による汚水処理技術はさらに多くの分野で大きな役割を果たし、高炭素型の汚水処理を『低炭素型の生産プロセス』へと転換する動きを推進する一助となるだろう」と語った。