ジエ・フィッシャーさん。(資料写真、新華社配信)
【新華社北京1月16日】自然や野生動物のカメラマンとして世界的に活躍する華人がいる。米国在住で国際的なフォトコンテストでの受賞歴もあるジエ・フィッシャー(中国名:梁婕=りょう・しょう)さん。カメラを始めたきっかけや作品にこめた思いを聞いた。写真を通じ「自然環境保全に貢献したい」と抱負を語る。
▽父の影響 アフリカへの旅
父が趣味で写真を撮っていた。一緒に暗室でモノクロフィルムを現像していた頃を懐かしく思う。父は狩猟などアウトドアも好きで、野生動物に関する多くの知識を教えてもらった。私は動物との触れ合いを暮らしの中でずっと楽しんできた。
2013年に初めてアフリカ大陸を旅した。現地の自由でワイルドな大自然や、野生動物と人間が平和的に共存している環境に魅了された。視覚的、感情的なインパクトが好きなので、動物の親子や家族間の触れ合いを撮影して思い出に残した。
かつては写真は記録で、瞬間を捉えるものだと思っていた。だが実際には視覚的な楽しみを得られるだけでなく、「世界の調和共存、自然との融合」の表現を通じてインスピレーションと満足感も得られることに気付いた。
私の師匠は野生動物写真家のフィリップ・チャンとジェフリー・ウー。2人について何度もアフリカに行った。2人ともアフリカ大陸の人々と環境、自然との共存を独自の撮影角度と形で表現している。2人から大きな影響を受け、写真で思いを伝える力を高めることができた。(モノクロの野生動物写真で知られる)デビッド・ヤロウとの撮影ツアーでは、モノクロ撮影や作品の背景とストーリーへの理解を広げることができた。
ジエ・フィッシャーさんの受賞作。(資料写真=新華社配信)
▽自然環境保全に貢献したい
作品を撮っているうちに動物の行動をより深く理解できるようになった。ちょうど良い角度や自然光、姿勢の写真を撮るには何時間も待たなければならないこともある。私はとうとう辛抱強くなり、その瞬間の到来を待てるようになった。優秀な野生動物写真家になるには技術だけでなく、動物への理解と根気が必要だと実感している。
写真作品を通して、生息地の規模や環境の変化、気候の変動など、野生動物が直面している脅威についてもっと広く伝えていきたい。広角レンズを使って動物の生息地を記録することが私の新たな興味となった。写真を撮ることで、環境の悪化が生息地の消滅や種の絶滅につながる危険性があることを示し、人々に環境保護の重要性を訴えることができると確信する。この仕事を通じ自然環境保全に積極的に貢献したい。
ジエ・フィッシャーさんは中国広州市生まれ、1990年代には日本に留学、日本での仕事の経験もある。今は米国に居住しており、米国写真協会(PSA)会員、全米プロ写真家協会(PPA)会員、加華写真協会理事、ニューヨーク写真協会会員。英国の「トラベルフォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」、オランダの「ネイチャーフォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」など世界的に有名なフォトコンテストで優秀な成績を収めている。世界の新聞や雑誌など多くのメディアで作品を発表、中国、英国、フランス、ケニア、アラブ首長国連邦(UAE)、韓国などの写真展にも作品を出展している。(記者/張一、彭純)