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日差しはまだ見えず、忍耐強いられる武漢の住民たち
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2020-02-25 22:07:16 | 新華社 | 編集: 张一

【新華社武漢2月25日】中国国家衛生健康委員会によると、中国では22日までに、新型コロナウイルスによる死者が2442人、感染者が7万6千人以上に上っている。このうちウイルス流行の中心地である湖北省武漢では、死者が全体の76・0%に当たる1856人に達した。

春節が始まる2日前の先月23日、政府はウイルスの感染拡大を抑えるため、人口1千万人超の武漢で移動制限に踏み切った。

市バスやフェリー、地下鉄など市街地の公共交通機関はすべて停止し、国外行きの便が出る空港や鉄道駅は閉鎖された。

通りは閑散とし、レストランは休業、春節のお祝いムードはどこにもなく、武漢は突然、動きを止めたかのように見えた。

■難しい決定

公衆衛生上の緊急事態により、武漢のような大都市が活動停止に陥ったことは、中国の現代史では例がない。大半の地域では徐々に工場が再開し、人々が職場に戻るようになってきているが、政府がウイルス封じ込めに全力を挙げている武漢では今も都市機能が停止したままだ。

上海外国語大学で国際公衆衛生の研究をしている湯蓓(とう・ばい)氏は、「感染拡大の封じ込みが遅れれば、パンデミック(世界的大流行)に発展するだろう」と警鐘を鳴らした。

9日、湖北省武漢市江岸区にあるコミュニティーを訪ねるボランティア。(武漢=新華社記者/程敏)

湯氏によれば、人から人へのウイルス感染を防ぐには、ワクチンおよび人と接触する機会を減らすことが唯一効果的な方法だという。「前者はまだ準備が整っていない。武漢で高い感染率と多数の人々の濃厚接触が同時に確認されていることを考慮すれば、住民の流出を減らすため交通機関を遮断する以外に最善策はない」と同氏は話す。

最新の情報によると、新型肺炎の死亡率は、武漢を除く中国本土で約0・7%であるのに対し、武漢では4・0%に達している。

世界全体では、感染が広がった国と地域は30未満で、2009年の「H1N1型インフルエンザ」流行時の200超に比べるとはるかに少ない。また、新型肺炎患者の90・0%以上が中国で確認されている。

湯氏は「武漢での封じ込めが、市外への感染拡大を遅らせる驚くべき効果をもたらしていることがこの数字で示された」と述べ、「武漢で取られた措置は、中国国内における感染拡大の抑制だけでなく、国際社会がさらなる拡大に備えるための貴重な時間を生んだ」と指摘している。

新型肺炎は多くの人々の命を奪っている。一般市民だけでなく、1700人以上の医師や看護師が感染し、うち少なくとも10人が死亡した。

このほか、政府職員や中国工程院の会員、大学教授、ボディービル王者、定年退職者、運転手など、さまざまな職業の人々が命を落としている。

■24時間態勢の救命活動

習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は1月20日、人々の安全と健康を最優先に掲げ、新型肺炎の感染拡大を抑制するため断固たる措置を取るよう命じた。

政府は国家総動員、全面配備、迅速な対応により、最も包括的で厳格な予防・制御策を適用するとともに、感染拡大に対する人民戦争に乗り出した。

湖北省は同月24日、公衆衛生上の警戒レベルを2級から1級に引き上げ、中国政府がモデル化した重症急性呼吸器症候群(SARS)の治療法を踏襲する対応策を発表し、新型肺炎患者を対象とした仮設病院建設に着手した。

3日と8日、仮設病院の火神山医院と雷神山医院が相次いで完成し、2週間以内にそれぞれ運用が開始された。両病院の病床数を合わせると2600床になる。

武漢で主に重症患者を収容している専門の指定病院の数は、19日時点で45に上り、病床数は合計1万9161床となっている。

一方、すべての新型肺炎患者の収容場所を確保するため、武漢市政府は、展示会場や体育館などの公共施設を軽症患者専用の仮設病院へ転用するようにもなっている。

12日、湖北省武漢市にある武漢スポーツセンターを利用した仮設病院の内観。(武漢=新華社記者/程敏)

武漢を支援するため、政府は先鋭医療チームを含む3万人以上の医療従事者を現地に派遣。このうち約1万1千人は集中治療専門医で、国家衛生健康委員会のデータによると、国内にいる集中治療専門医の総数のおよそ10・0%に当たるという。

■希望の兆し

武漢は、3300超のすべての市鎮村を徹底した管理下に置き、感染の確認または疑いのあるすべての患者の現在地と過去の移動経路を把握した。

9日、湖北省武漢市の武昌区の大東門で、住民の体温を測るコミュニティーのスタッフ。(武漢=新華社記者/程敏)

住民らの不安の解消と心のケアに取り組むため、武漢市政府は武漢大学中南病院および武漢心理カウンセラー協会の協力を得て、封鎖期間中の24時間ホットラインを二つ開設した。

また、タクシー運転手6千人を雇用し、地元住民を無料で輸送するほか、食事や医薬品の配達、救急医療サービスの提供などを行えるようにした。タクシーは、政府の管理の下、一括して派遣される。

最新のデータによると、中国で新型肺炎から回復し、退院した患者の1日当たりの数は、新たな感染者数を5日連続で上回っている。

武漢は今も闘いの中心地であるが、新たに感染の確認または疑いのある患者の数は減ってきている。

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新華網日本語

日差しはまだ見えず、忍耐強いられる武漢の住民たち

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【新華社武漢2月25日】中国国家衛生健康委員会によると、中国では22日までに、新型コロナウイルスによる死者が2442人、感染者が7万6千人以上に上っている。このうちウイルス流行の中心地である湖北省武漢では、死者が全体の76・0%に当たる1856人に達した。

春節が始まる2日前の先月23日、政府はウイルスの感染拡大を抑えるため、人口1千万人超の武漢で移動制限に踏み切った。

市バスやフェリー、地下鉄など市街地の公共交通機関はすべて停止し、国外行きの便が出る空港や鉄道駅は閉鎖された。

通りは閑散とし、レストランは休業、春節のお祝いムードはどこにもなく、武漢は突然、動きを止めたかのように見えた。

■難しい決定

公衆衛生上の緊急事態により、武漢のような大都市が活動停止に陥ったことは、中国の現代史では例がない。大半の地域では徐々に工場が再開し、人々が職場に戻るようになってきているが、政府がウイルス封じ込めに全力を挙げている武漢では今も都市機能が停止したままだ。

上海外国語大学で国際公衆衛生の研究をしている湯蓓(とう・ばい)氏は、「感染拡大の封じ込みが遅れれば、パンデミック(世界的大流行)に発展するだろう」と警鐘を鳴らした。

9日、湖北省武漢市江岸区にあるコミュニティーを訪ねるボランティア。(武漢=新華社記者/程敏)

湯氏によれば、人から人へのウイルス感染を防ぐには、ワクチンおよび人と接触する機会を減らすことが唯一効果的な方法だという。「前者はまだ準備が整っていない。武漢で高い感染率と多数の人々の濃厚接触が同時に確認されていることを考慮すれば、住民の流出を減らすため交通機関を遮断する以外に最善策はない」と同氏は話す。

最新の情報によると、新型肺炎の死亡率は、武漢を除く中国本土で約0・7%であるのに対し、武漢では4・0%に達している。

世界全体では、感染が広がった国と地域は30未満で、2009年の「H1N1型インフルエンザ」流行時の200超に比べるとはるかに少ない。また、新型肺炎患者の90・0%以上が中国で確認されている。

湯氏は「武漢での封じ込めが、市外への感染拡大を遅らせる驚くべき効果をもたらしていることがこの数字で示された」と述べ、「武漢で取られた措置は、中国国内における感染拡大の抑制だけでなく、国際社会がさらなる拡大に備えるための貴重な時間を生んだ」と指摘している。

新型肺炎は多くの人々の命を奪っている。一般市民だけでなく、1700人以上の医師や看護師が感染し、うち少なくとも10人が死亡した。

このほか、政府職員や中国工程院の会員、大学教授、ボディービル王者、定年退職者、運転手など、さまざまな職業の人々が命を落としている。

■24時間態勢の救命活動

習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は1月20日、人々の安全と健康を最優先に掲げ、新型肺炎の感染拡大を抑制するため断固たる措置を取るよう命じた。

政府は国家総動員、全面配備、迅速な対応により、最も包括的で厳格な予防・制御策を適用するとともに、感染拡大に対する人民戦争に乗り出した。

湖北省は同月24日、公衆衛生上の警戒レベルを2級から1級に引き上げ、中国政府がモデル化した重症急性呼吸器症候群(SARS)の治療法を踏襲する対応策を発表し、新型肺炎患者を対象とした仮設病院建設に着手した。

3日と8日、仮設病院の火神山医院と雷神山医院が相次いで完成し、2週間以内にそれぞれ運用が開始された。両病院の病床数を合わせると2600床になる。

武漢で主に重症患者を収容している専門の指定病院の数は、19日時点で45に上り、病床数は合計1万9161床となっている。

一方、すべての新型肺炎患者の収容場所を確保するため、武漢市政府は、展示会場や体育館などの公共施設を軽症患者専用の仮設病院へ転用するようにもなっている。

12日、湖北省武漢市にある武漢スポーツセンターを利用した仮設病院の内観。(武漢=新華社記者/程敏)

武漢を支援するため、政府は先鋭医療チームを含む3万人以上の医療従事者を現地に派遣。このうち約1万1千人は集中治療専門医で、国家衛生健康委員会のデータによると、国内にいる集中治療専門医の総数のおよそ10・0%に当たるという。

■希望の兆し

武漢は、3300超のすべての市鎮村を徹底した管理下に置き、感染の確認または疑いのあるすべての患者の現在地と過去の移動経路を把握した。

9日、湖北省武漢市の武昌区の大東門で、住民の体温を測るコミュニティーのスタッフ。(武漢=新華社記者/程敏)

住民らの不安の解消と心のケアに取り組むため、武漢市政府は武漢大学中南病院および武漢心理カウンセラー協会の協力を得て、封鎖期間中の24時間ホットラインを二つ開設した。

また、タクシー運転手6千人を雇用し、地元住民を無料で輸送するほか、食事や医薬品の配達、救急医療サービスの提供などを行えるようにした。タクシーは、政府の管理の下、一括して派遣される。

最新のデータによると、中国で新型肺炎から回復し、退院した患者の1日当たりの数は、新たな感染者数を5日連続で上回っている。

武漢は今も闘いの中心地であるが、新たに感染の確認または疑いのある患者の数は減ってきている。

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