【新華社広州7月29日】日本京都府のアニメ制作会社「京都アニメーション」のスタジオが18日に放火された事件は、世界中の注目を集めている。同社は、今回の火災で30数人の死者と多数の負傷者が出たと発表し、第1スタジオにあった過去の作画や資料、コンピューターに保存されていた作品が焼失したことを明らかにした。これを受け、中国のアニメ・漫画界は驚愕と痛惜の念を表明すると同時に、京都アニメーションの1日も早い復活を願っている。
中国の動画サイト「嗶哩嗶哩(bilibili、ビリビリ)」は、事件を受けアニメの配信ページを白黒に変更。「Pray for 京阿尼(京アニ)」のメッセージを表示し京都アニメーションへの哀悼を示した。
中国美術家協会アニメ・漫画芸術委員会委員で国際的なアニメ・漫画作家、葉正華(よう・せいか)氏は、今回の事件で数多くの人材と大量の作品が失われたと指摘。世界のアニメ・漫画産業にとって大きな打撃と語った。中国の漫画家、司達明(し・たつめい)氏は「アニメ会社は警戒心を強め、自身の安全に最善を尽くしてほしい」と呼び掛けた。
手塚プロダクションの子会社で「鉄腕アトム(新)」や「ジャングル大帝」などの作品制作に関わった北京写楽美術芸術品の夏占泉(か・せんせん)制作部長は、京都アニメーションの作品に見られる日本のアニメーターの職人魂と勤勉精神は学ぶ価値があると指摘。今回の事件に遺憾を表した。
中国美術家協会でアニメ・漫画芸術委員会の副主任を務める画家の金城(きん・じょう)氏は、非常に心が痛むと語る一方、今回の火災は従来の労働集約的なアニメ制作のやり方に一石を投じたと指摘する。
今回取材した中国国内のアニメ・漫画関係者らは、日本のアニメ・漫画界が今回の打撃から少しずつでも立ち直ってほしいと語り、またそれを確信しているとも語る。求められれば中国の同業者として喜んで日本側に相応の支援をする考えを示し、中国と日本のアニメ・漫画業界は手を取り合い前進していきたいと述べた。
金氏は「中国と日本のアニメ・漫画業界は頻繁に交流している」と語り、両国の同業者は共通の話題が多く、これまでも多くの協力や交流をしてきたと述べた。
中国国務院新聞(報道)弁公室と中国国家広播電視総局、在日中国大使館の共催でこのほど大阪府と奈良県で開催された「中国アニメ・漫画の日本ツアー 水墨の中から来る」展で中日両国は、互いの文化と芸術に対する認識と理解をより一層深め、アニメ・漫画分野でも討論が行われた。
金氏は、日本のアニメ作品は比較的整った業界内の分業体制を持つと指摘。日本との結び付きを深めていきたいと語る一方、中国の巨大な市場は、日本の動画業者にとっても大きな魅力があるとの考えを示した。
葉氏は「芸術を愛する心に国境はない。中日両国はアニメ・漫画業界で共に発展してほしい」と語った。(記者/鄧瑞璇)
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