4日、あいさつする「暖流」実行委員会の中国側実行委員長で元駐大阪中国総領事の王泰平氏。(東京=新華社配信/橋口いずみ)
【新華社東京7月6日】中日国交正常化を記念するため制作されたドキュメンタリー「暖流」の記者発表会とプレミア試写会が4日、東京で開催され、制作に関わった両国の関係者らが中日友好の未来に寄せる思いなどを語った。
ドキュメンタリー「暖流」は元中国人民政治協商会議(政協)全国委員会常務委員の胡徳平(こ・とくへい)氏が企画し、中日両国の要人が実行委員会に名を連ねる一大プロジェクトとして制作された。第二次世界大戦前後から現在までの中日両国間で実際に起こった、知られざる真実や感動的なエピソードなどが、貴重なニュース映像や両国の人々の証言によってまとめられている。2011年の撮影開始直後に中日関係が「寒流」に襲われ、プロジェクトは頓挫しかけたが、このほど日本で来春公開されることが決まった。
試写に先立ち、胡氏からのビデオメッセージが上映された。胡氏は「暖流」が一部の歴史の真実を映し出したものであり、歴史を総括し未来思考の態度から出発していると強調した。また中国は百年に一度の大変革の真っただ中にあり、世界もまた激動の時代にあると述べ、そうした中で中日両国が平和を勝ち取ることは、世界平和を勝ち取るための極めて重要な一部分であるとの考えを示した。
日本側の「暖流」実行委員を代表してあいさつした元文部・農林水産相で公益財団法人日本プロスポーツ協会会長の島村宜伸氏は、制作に携わった関係者をたたえながら、この作品や文化交流を通じて中日両国が互いに心を通わせ、さらに前進していくことを期待すると述べた。また1年後に迫った東京五輪についても、常に両国が固く手を取り合い、積極的に交流を深めていきたいと語った。
中国側の実行委員長で元駐大阪中国総領事の王泰平(おう・たいへい)氏は、この作品は世に知られていない感動的な出来事や、両国の往来の歴史に記載されていなかった秘話を忠実に記録し、1人でも多くの中日両国の人々と共有することを目的としていると紹介。両国に共通の貴重な精神的財産であり、時が経つにつれその価値が明らかになるに違いないと強調した。
ドキュメンタリーを媒体とする一連の中日文化交流活動は「暖流」プロジェクトと名付けられ、両国の経済、文化、青少年交流のプラットフォームとなっている。プロジェクトの一環として、中日文化交流演劇「ペコロスの母に会いに行く」が10月に北京で上演されることも同日発表された。
これは、介護や認知症などをテーマとした笑いあり涙ありの舞台劇で、厚生労働省の推薦を受け、2016年から日本各地で上演され好評を博した。日本と同様に高齢化が進む中国でも介護の問題は避けて通れない社会問題で、中日両国が共に取り組むべきテーマを扱う作品の北京公演に大きな注目が集まっている。