中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は15日、タジキスタンの首都ドゥシャンベで開かれたアジア相互協力信頼醸成措置会議(CICA)第5回サミットに出席し、「アジアの安全保障・発展の新局面を共に切り開く」と題した重要演説を行った。(ドゥシャンベ=新華社記者/謝環馳)
【新華社ドゥシャンベ6月16日】中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は15日、タジキスタンの首都ドゥシャンベで行われたアジア相互協力信頼醸成措置会議(CICA)第5回サミットに出席し、「アジアの安全保障・発展の新局面を共に切り開く」と題した重要演説を行った。その主な内容は次の通り。
アジアは今、世界で最も発展の活力と潜在力を持っている地域の一つであると同時に、政治的相互信頼の不足や経済発展の不均衡、安全とガバナンスの問題が際立っているなどの共通の課題に直面し、恒久的な平和と共同の繁栄を実現するには任務は重く、行くべき道は遠い。
2015年、私はアジア運命共同体の構築を提起し、アジアの素晴らしい明日を建設するという共通の目標について述べた。数年来、アジア諸国は運命共同体に向かう過程で協力意識を強め、協力の実践を豊かにし、協力の経験を蓄積してきた。新しい情勢の下で、われわれは既定の目標を堅持し、共にチャンスを迎え、共に課題に対応し、アジアの安全保障と発展の新たな局面を手を携えて切り開いていかなければならない。
尊敬し合い、信頼し合うアジアを作ることがわれわれの共通の願いである。われわれは国連憲章が確立した趣旨と原則に従い、各国の主権、独立、領土保全を尊重し、ゼロサム思考と保護主義を捨て、政策の意思疎通を強め、政治的相互信頼を増進し、戦略的共通認識を徐々に拡大していかなければならない。
安全で安定したアジアを作ることがわれわれの共通の目標である。われわれは対抗ではなく対話を行い、同盟関係ではなくパートナーシップを結ぶことを堅持し、各種の伝統的、非伝統的な安全保障問題に対処、特にあらゆる形態のテロリズムを断固として取り締まらなければならない。アジアの特徴にかなった地域の安全保障の枠組みを構築し、普遍的な安全と共通の安全を追求することを模索しなければならない。
発展し繁栄するアジアを作ることがわれわれの共通のビジョンである。われわれは貿易と投資の自由化、円滑化を共に推し進め、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などの地域一体化文書の早期締結に向けて取り組んでいかなければならない。
開放的で包摂的なアジアを作ることがわれわれが共通して追い求めることである。われわれは今年5月のアジア文明対話大会(CDAC)の共通認識をしっかりと実行し、平等、相互学習、対話、包摂の文明観を確立しなければならない。
協力してイノベーションを起こすアジアを作ることがわれわれの共通のニーズである。われわれは時代の変化に応じて、理論や制度、科学技術、文化などの各方面のイノベーションを強化し、アジアの発展の活力を永遠に保たなければならない。
中国は終始、アジア諸国との善隣友好関係を堅持しており、CICA、上海協力機構(SCO)、アジアインフラ投資銀行(AIIB)などの多国間の安全保障と発展メカニズムの構築に参加し、アジアの安定と繁栄のために重要な貢献を果たしてきた。
第1に、われわれは断固として平和発展の道を歩み、自己の利益のみを考えて、災いを他に押し付けることは決してしない。中国は引き続き平和共存五原則を基礎に、各国との友好・協力を深め、平和的な方法で関係国との領土・主権および海洋権益を巡る紛争を解決し、対話と協議を通じて地域の問題を解決することを支持する。
第2に、われわれは開放とウィンウィンを堅持し、各国と発展のチャンスを共有する。中国は各方面と「一帯一路」という国際協力のプラットフォームを共同建設し活用して、共同発展のために強力な原動力を持続的に注入していきたい。
第3に、われわれは多国間主義を断固として実行し、国際法を基礎とする国際秩序を維持する。中国は各国と共に、国連を中心とする国際システムを守り、世界貿易機関(WTO)を中心とする多角的貿易体制を断固として守る。経済・貿易往来で生じた問題については、各当事者が、相互尊重の精神に基づき、平等な対話と協議を通じて、保護主義や一国主義に訴えることなく、国際関係の準則と多角的貿易規則に基づいて適切に対処すべきである。
中国は各方面と手を携えて努力し、平和・安定・繁栄をたゆまず追求することで、アジアと世界の素晴らしい未来を共に切り開いていきたいと考えている。