北京の古い四合院は貴重な歴史的伝統建築であるだけでなく、北京の伝統文化の象徴でもある。しかし老朽した家屋の使用と保護の間には、長期的な矛盾が存在している。一方で文化保護区の四合院は、レンガや瓦1つにも歴史的価値があるため、改装の難度はきわめて高い。また一方で四合院の基礎設備は古く、下水道管もなく、保温や密閉、湿度などの状態はますますひどくなっている。住民の生活環境は悪化するばかりである。
2013年8月、「衆建築事務所」の建築家で、古い四合院を愛する臧峰氏と何哲氏、そしてアメリカ人の沈海恩氏が、ボックス型四合院のアイデアを思い立ち、同年の北京国際デザインウィークで設計の展示を行った。ボックス型四合院は、プレハブ式のモジュール建築システムで古い建築の機能を更新するもの。本質的には「家の中の家」といえる。この設計は、後に国内外で数々の設計賞を受賞した。
今年になってボックス型四合院は、北京大柵欄のリノベーション計画に取り入れられた。すでに北京大柵欄の梅竹斜街にある数々の古い四合院で実践されている。これらの建物では機能がよみがえっている。