21日、マルチ温度センサー制御装置を点検する河北省秦皇島市撫寧区気象局の職員。(石家荘=新華社記者/郭雅茹)
【新華社石家荘3月25日】技術革新の進む中国では、高精度データの取得や災害リスクの早期警戒、精密農業などに各種の先進的な気象観測ツールが活用されている。
気象観測装置のモバイル化や小型化は、場所や状況に応じたきめ細やかな気象情報の取得を可能にする。山東省済南市の気象局が開いた世界気象デー(3月23日)のイベントでは「モバイル気象台」や「マイクロ気象台」が来場者の注目を集めていた。
市気象総合保障センターの技術者、馬蕾(ば・らい)さんによると、モバイル気象台はリュック一つに納まるサイズで、温度や湿度、風速・風向、降水量などの気象データをリアルタイムで観測できる。マイクロ気象台は、太陽光パネルやスマート街灯などさまざまな方式で電力を供給できる新型の地上気象観測装置。済南市では現在、600個以上が設置され、気象データの空間密度を大幅に高めているという。
精度の高い地温データの予測が可能な「地温CTシステム」は、農業に利用することで、災害の回避や作業の効率化に役立っている。河北省秦皇島市撫寧区にあるジャガイモ栽培拠点では今年、区の職員が地温データを農家に提供し、春季の農作業の注意点を伝えた。タイムリーで正確なデータに基づき、農家は半月早い植え付けを行い、30万平方メートル以上の農地で、地温の急激な低下による苗の枯死を回避することができた。
23日、山東省済南市気象局が世界気象デーに合わせて開いたイベントで、「モバイル気象台」や「マイクロ気象台」などの気象観測機器を紹介する市気象総合保障センターの馬蕾(ば・らい)高級工程師(シニアエンジニア)。(済南=新華社配信)
撫寧区気象局の技術者、薛雪(せつ・せつ)氏によると、このシステムでは、既存の機器で得られた実測データに基づき、浅層地温の予測モデルを構築。前日の気温、地温、風速、日照などの気象データに基づき、今後1週間から半月の浅層地温を比較的正確に予測することで、農家がちょうど良い時期に春の播種を行うよう指導できるようになった。
山東省煙台市にある養殖と観光を融合した巨大施設「耕海1号」には、風向、風速、紫外線、気温、湿度、視程の六つの気象要素を同時に観測・記録できる新型の海上気象観測装置が設置されている。「海洋牧場の監視員」として施設の運営を支援し、分単位での気象データを取得することで、漁業者や釣り客にきめ細かな情報を提供している。
河北省秦皇島市では、気象部門が市の養殖業者と協力し、海上多機能レジャー漁業プラットフォームに自動気象観測装置を設置。正確な海洋気象情報を提供することで、企業が養殖品の育成や収穫を科学的に計画し、安全で効率的な養殖ができるようサポートしている。(記者/葉婧、郭雅茹)