少数民族ワ族の伝統医薬、産業化で新たな可能性 中国雲南省

少数民族ワ族の伝統医薬、産業化で新たな可能性 中国雲南省

新華社 | 2025-03-17 15:15:35

患者にワ族の薬を塗る医師。(3月撮影、臨滄=新華社配信/張慧)

 【新華社昆明3月17日】中国では現在、花椒が食卓に欠かせない調味料となっている。一方、国内最大のワ族集住県、雲南省臨滄市滄源ワ族自治県には古くから、花椒の短いトゲを使った独特の鍼灸(しんきゅう)治療法、花椒針療法が伝わっている。

 花椒針はリウマチによる関節痛や打撲による腫れ、痛みなどの症状に顕著な効き目があり、滄源に住むワ族の人々の間で古くから伝えられてきた。臨滄市中医(中国伝統医学)医院の専門家らは改良しながら標準化し、この古い医術を安全で効果的、現代化された民族伝統医薬の診断・治療方法へと発展させている。

 花椒針療法の変化は、ワ族の医薬が民間療法から臨床応用へ向かう具体的な実践を示している。

ワ族の医薬製品と写真に収まる子ども。(3月撮影、臨滄=新華社配信/田秀蘭)

 滄源ワ族自治県はここ数年、地域の特色ある民族医薬の発展・拡大を目標に、民族医薬研究機関とチームの構築を強化し、伝統医薬の研究人材を育て、ワ族の医薬についての知識体系を充実させ、整理し、標準化と臨床応用を進め、サービスのレベル向上を促進するための強固な基礎を築いてきた。

 同県ではワ族の医薬の家、研究所、研究拠点などが相次ぎ出現。地元は省級無形文化遺産項目の「ワ族の医薬」を活用し、「ワ族の医薬+(プラス)」という産業発展の新モデル確立に力を入れている。観光客が花椒針やワ族の薬浴、薬酒塗布など一連の独特な診断・治療技術が体験できるよう、「医療・保養・美食・観光」を融合した産業発展の道は、ワ族の医薬の伝承と発展に新たな活力をもたらしている。

花椒針を使って患者を治療する医師。(3月撮影、臨滄=新華社配信)

 2021年には中国民族医薬学会ワ族医薬分会が正式に設立された。臨滄市はこれを機に、ワ族の医薬の年次学術大会を数回開催し、ワ族の医薬の対外交流の重要な懸け橋となっている。

 臨滄市は11年、民間に伝わる処方を多数収録するワ族の初の医薬専門書「ワ族民間常用植物薬」を出版した。1種類の薬草を使う処方だけでも400以上が収録され、ワ族の人々独特の薬物への理解とその運用をつぶさに見て取ることができる。

 ワ族医薬分会の劉宝林(りゅう・ほうりん)執行会長は「ワ族の医薬の課題プロジェクト研究を引き続き推進し、科学的で詳細かつ確実な、標準化された理論と操作手順を提供し、社会と人々の役に立つよう、ワ族の医薬の発展を加速させたい」と述べた。(記者/厳勇)

若い医師に知識を伝えるベテランのワ族医師。(3月撮影、臨滄=新華社配信/周正華)

天日干しされるワ族の薬。(資料写真、臨滄=新華社配信)

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