中国の科学者、集積型光量子チップで画期的進展

中国の科学者、集積型光量子チップで画期的進展

新華社 | 2025-02-23 18:37:56

   【新華社北京2月23日】中国の研究チームが、集積型光量子回路上で連続変数マルチパータイトエンタングルメント(多者間の量子もつれ)とクラスター状態を世界で初めて実現し、関連論文を20日、国際的学術誌ネイチャーに発表した。専門家は、今回の画期的成果が連続変数エンコード方式を採用する光量子チップの重要な技術的空白を埋め、光量子チップの大規模普及や量子計算、量子ネットワークへの応用に向けた重要な基礎を築いたと指摘した。

   集積光量子回路は、ナノ・マイクロスケールで光量子情報をエンコード、処理、伝送、保存できる先進的なプラットフォームだが、チップ上で大規模な量子もつれを実現することが世界の量子研究の課題となっていた。

   18日、北京大学の実験室で、集積光量子チップをテストする王剣威教授(中央)と博士課程の賈新宇(か・しんう)さん(左)、翟翀昊(てき・ちゅうこう)さん。(北京=新華社配信)

   ネイチャーの査読者は、今回の研究が「光量子チップ上で初めて多ビットの連続変数エンタングルメントを実現し、光量子情報処理の応用を拡大する重要なマイルストーンになった」と評価した。

   論文の責任著者、北京大学物理学院の王剣威(おう・けんい)教授は「エンタングルメントのクラスター状態は多ビット量子もつれ状態の一種。量子情報科学のコア資源であり、世界の科学界が克服を競っていたが、確定的で大規模な作成は長年、大きな実験上の困難が伴い、特に連続変数クラスター状態の光量子チップの製造と検証技術は国際的に空白状態が続いていた」と紹介した。

   北京大学と山西大学の専門家からなる研究チームは、数年の研究の末に大きな技術的ボトルネックを克服。連続変数光量子チップの制御、多色共鳴ポンピング、検出技術を刷新し、確定的で再構成可能なもつれクラスター状態の作成を実現したほか、クラスター状態のもつれ構造を実験的に検証した。

   王氏によると、光量子チップ上の量子ビットは離散変数、連続変数の二つの方法で実現できるが、これまで超高忠実度の量子ビットを作るために広く用いられていた単一光子による離散変数方式では、量子ビット数の増加に伴い成功率が指数関数的に低下していた。

   研究チームは光場に基づく連続変数方式を採用して量子ビットと量子もつれの「確率」問題を解決。量子もつれのクラスター状態をチップ上で「確定的」に生成することに初めて成功した。

   チームは約2500個の素子を集積した超大規模光量子チップを開発し、グラフ理論に基づく光量子計算と情報処理機能を実現。量子コンピューターの開発に、拡張性があり、プログラム可能で、安定性が高い量子チップコアをもたらした。

   中国の量子計算と量子通信はここ数年、実用化が加速し、成果や応用事例が次々と生み出されている。

   中国科学院の龔旗煌(きょう・きこう)院士(アカデミー会員)は今回の研究成果について「中国の科学者が集積光量子チップ技術分野で成し遂げた新たな進展」と指摘。今回の独創的成果は大規模な量子もつれ状態の作成と制御に新たな技術的アプローチをもたらしたとし、量子計算や量子ネットワーク、量子シミュレーションなどを実用化する上で重要な意義を持つとの見方を示した。(記者/魏夢佳)

   18日、集積光量子チップを手に取る北京大学博士課程で、論文第一著者の賈新宇(か・しんう)さん。 (北京=新華社配信)

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