9日、山東省浜州市恵民県で開かれた胡集書会の会場で、「岳飛伝」の一節を上演する著名な評書(講談)芸術家、劉蘭芳(りゅう・らんほう)氏。(浜州=新華社記者/郭緒雷)
【新華社済南2月20日】中国山東省浜州市恵民県で13日までの5日間、各地方の語りものなどが一堂に会する年に1度の演芸イベント「胡集書会」が開かれ、見どころ満載の大衆演芸が次々と披露された。
同県胡集鎮の解鴻章(かい・こうしょう)共産党委員会書記によると、今年の胡集書会では65種類の地方大衆演芸による約300演目が代わる代わる上演され、全国26都市から集まった大衆演芸家300人余りが方言を駆使して各地の物語を披露した。
9日、山東省浜州市恵民県の「胡集小書場」で開かれた胡集書会の公演で、河北省の伝統芸能「燕山大板」を披露する同省の民間演芸家。(浜州=新華社記者/高天)
胡集書会は、河南省の馬街書会と並び、中国北方を代表する二大書会の一つと称される。同県の歴史や地理、風俗などを記した「恵民県志」によると、胡集書会は800年の歴史を持ち、宋・元時代に始まって明・清時代に隆盛を極めた。2006年には第1次国家級無形文化遺産に登録され、中国の大衆演芸界における「生きた化石」と呼ばれる。
9日、山東省浜州市恵民県で開かれた胡集書会の会場で、演目を鑑賞する観客。(浜州=新華社記者/高天)
控室では出演を終えた若手大衆演芸家の李倫(り・りん)さんが、今年は現代的な表現を伝統的な大衆演芸に取り入れたと紹介。農村発展の新たな姿を描いた客家竹板歌(ちくばんか、竹の拍子木を伴奏に歌う伝統芸能)作品の「村BA」を披露したところ、観客は夢中になって見入っており、終演後にはサインや記念写真を求める人もいたという。「村BA」とは、ここ数年中国のネット上で人気を集めている農村バスケットボール大会のこと。
9日、山東省浜州市恵民県で開かれた胡集書会の会場で、演目を鑑賞する人々。(浜州=新華社記者/郭緒雷)
伝統芸能の継承には新しい世代の参加が欠かせない。今年で3回目の出演となる胡集鎮第一小学校4年生の劉睿希(りゅう・えいき)さんは、河北省を中心とした中国北方地域の伝統芸能、西河大鼓の作品を見事に演じた。そばで見ていたベテラン大衆演芸家の翟立欣(てき・りつきん)さんは「子どもながら一挙一動やちょっとした仕草が本当に見事だった」と語り、スマートフォンを取り出してしきりに写真を撮影していた。
胡集書会が伝統を継承し続ける中で新しい魅力を発信できるように、地元では「胡集書会文化展覧室」や「胡集小書場」、「大衆演芸文化公園」などを設けるとともに、大衆演芸の新作200作品以上を用意し、年間100回以上の公演を実施。これらの取り組みにより、ますます多くの人が大衆演芸の魅力を感じている。(記者/高天)