1月26日、ハルビン市のスイーツ店で、冬季アジア大会のマスコットをかたどったケーキを紹介する店員。 (ハルビン=新華社記者/邱虹)
【新華社ハルビン2月2日】第9回アジア冬季競技大会(冬季アジア大会)が中国黒竜江省ハルビン市でまもなく開幕する。中国で最も重要な節句の春節(旧正月、今年は1月29日)と冬季アジア大会が共にハルビンの文化と経済に新たなブームをもたらしている。東北地方のご当地グルメや文化クリエーティブ製品、無形文化遺産体験など、ハルビンの商店主たちは氷雪文化と春節の要素を巧みに組み合わせ、観光客にユニークな体験を提供している。
市内の群力音楽公園に設置された高さ約18メートルの巨大雪だるまが、観光客に人気の撮影スポットとなっている。今年は石膏製の雪の塊から「雪だるま」を掘り出すブラインドボックスも注目を集める。中から出てくる雪だるまは、同公園に設置された歴代の巨大雪だるまのデザインをベースに全4パターン用意されている。ブラインドボックスを設計した、文化クリエーティブギフト製品を手がけるハルビン礼物文化創意のマネージャー、張寒霜(ちょう・かんそう)さんは「発掘ブラインドボックスを通じて、より多くの人々にハルビンの氷雪文化の魅力と斬新な体験を楽しんでもらいたい」と語った。
張さんは「氷雪シーズンに向けて、わが社は冷凍柿や冷凍梨をかたどったチャーム、ハルビンの街の地図をデザインしたマグネットなど、地元の有名な食べ物や文化をテーマにした一連の文化クリエーティブ製品を発売した。これらの商品は地元市民だけでなく、市外からの観光客にも注目されている」と紹介した。
1月26日、ハルビン市の中央大街にある国芸小作無形文化遺産工房で無形文化遺産の技術を体験する人々。(ハルビン=新華社記者/邱虹)
市内の繁華街、中央大街沿いの国芸小作無形文化遺産工房では、静かで文化的な雰囲気が多くの観光客を引きつけている。ここでは景泰藍(けいたいらん、七宝焼)の掐絲(こうし、金属線を使用して繊細な模様を作り出す技法)や点翠(金銀や玉石とカワセミの羽毛を使った装飾品)制作、扎染(模様染め技術)など、無形文化遺産の手工芸技術を体験できる。店内に飾られた冬季アジア大会のマスコット「浜浜(ビンビン)」「妮妮(ニーニー)」の有線七宝の絵はとりわけ目を引く。店のスタッフは「冬季アジア大会やハルビンのランドマーク的な建物を無形文化遺産と結び付けたワークショップは人気がある」と紹介した。春節期間中の特別企画、蛇年の縁起物のつるし飾りや福灯籠などの手作り体験も、良い記念になると観光客に好評だという。
ハルビンの飲食業界も春節と冬季アジア大会に合わせて知恵を絞っている。地元のスイーツ店は冬季アジア大会のマスコットやカーリング、巨大雪だるまなどを模したケーキやデザートを発売、氷上・雪上スポーツの魅力を伝えるとともに、いつもの春節とは一味違う趣を添えている。これらの精巧なスイーツはタグ付けされ、交流サイト(SNS)上で瞬く間に人気を集めた。
「凍梨花茶」や「凍柿コーヒー」などの地方色豊かなフュージョン飲料も、SNS上で観光客に広くシェアされている。中華バロック歴史文化街区にある飲食店は、東北地方伝統のグルメ「粘豆包」(あん入りきびもち)とコーヒーを組み合わせた「粘豆包コーヒー」を開発し、「粘豆包」シリーズの文化クリエーティブ商品を発売して消費者から好評を博している。
ハルビン商業界の革新的精神に富んだビジネスは、製品のデザインやサービス形態の工夫にとどまらない地元文化への深い洞察と伝承の表れであり、多様化した観光客のニーズを満たすだけでなく、地元経済に新たな活力をもたらしている。(記者/邱虹)